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だれかを好きになる才能。

明石家さんまさんには、いろんな伝説がある。

なかでもぼくが大好きなのは、「録画した自分の番組を見ながら、深夜にひとりで大笑いしている」という話だ。その姿を見た大竹しのぶさんが、心底おどろいた(そしてあきれた)とか、さんまさん宅に招かれた若手芸人さんたちがその姿に戦慄したとか、どこまでがほんとうでどこからがネタなのかわからない話が、たくさんある。


土曜日にNHKで放送された『ドキュメント矢沢永吉』。

うっとり見ながらぼくは、明石家さんまさんのことを思い出した。矢沢さんもきっと、ご自身のレコードを聴きながら「いいねえ」「最高だよねえ」と言える方なんじゃないかと思う。

そして、「矢沢永吉と一緒にニューアルバムを聴く会」があったら、それは最高だろうなあ、と思う。

いまぼくは、矢沢さんのことを好きになりすぎている。きのうも犬を連れて車を走らせたのだけれど、ずっと矢沢さんのニューアルバムを聴いていた。「矢沢さんだったら、この曲のここ、こんなふうに語ってくれるんじゃないかなあ」なんてことを考えながら、その姿を想像しながら、ひとりシビれている。そしてまた、自分のつくったものを愛すること、誇りに思うことの、カッコよさについても考えている。



あと、昨夜放送された『関ジャム』のなかで——矢沢さんのニューアルバムで5曲を詞作した——いしわたり淳治さんが、こんな内容のことを言っていた。

「いまのラブソングは、みんな『きみとぼく』の歌になってしまう。そのなかで矢沢さんは、ほとんど唯一『俺とお前』のラブソングを表現できる方。矢沢さんにご指名いただいたことも嬉しかったけれど、自分が『俺とお前』のラブソングを書けることは、もっと嬉しかった」


すっごくよくわかると思ったし、作詞家という仕事や存在について、すこし本格的に勉強してみたいと思った。

誰かのことを好きになると、そこから分岐するようにたくさん考えて、たくさん好きになりますよね。好きになる才能、ほんとに大事だと思う。