ぼくが贈ったプレゼント。

友人が人生の門出を迎えたとき。

あなたは、どんなお祝いを用意するだろうか。おめでとうの声をかけるのだろうか。たくさんの花々を贈るのだろうか。宴を催すのだろうか。象徴的な品々を贈ったり、祝い金を手渡したりするのだろうか。いろんな答えがあってしかるべきだと思う。

ぼくは、インタビューすることにしている。その友人へのインタビュー原稿を書くことにしている。



5年前、友人の加藤貞顕さんが cakes を起ち上げたとき、ぼくは彼にインタビューした。頼まれた仕事ではなく、自分からやらせてほしいと手を挙げてのインタビューだった。cakes の準備中、とある飲み会の席で「加藤さん、いったいなにをやるの?」「なにがやりたいのか、ぜんぜんわからない」「ぼやぼやしないで早く動かなきゃダメだよ」などと手荒な叱咤をされていた加藤さんに、「サービスがはじまるとき、ぼくがインタビューするんで加藤さんのやりたいこと、そこでぜんぶ話してくださいよ。みんながわかるように、最高におもしろいもの書きますから」と手を挙げたのだった。

cakesが見つめる「普通」の未来
加藤貞顕インタビュー 

ティザーサイトから移行された全4回のインタビューなので「前の記事」「次の記事」のリンクがごちゃごちゃになっているけれど、ぜひ読んでほしい。



さて、その飲み会で加藤さんを叱咤していた友人のひとり、佐渡島庸平さんが独立してコルクを起ち上げるとき、やはりぼくは彼にインタビューした。たしか、すでに別の方がインタビューしていたところを「それはぼくがやらなきゃダメでしょう」と手前勝手な割り込みをして、インタビューしたのだった。

コルクの船は世界へ漕ぎ出す
佐渡島庸平インタビュー


加藤さんにしろ佐渡島さんにしろ、いまふたりが取り組んでいる事業と、ここで語っているプランとのあいだには、一定の溝がある。時代は変わり、テクノロジーは進歩し、本人たちも進化する。当たり前のことだ。でも、「創業当時の自分」がこうして残っていることは、正直うらやましいなと思う。創業祝いの胡蝶蘭を500本贈るより、ぜんぜんいいプレゼントになったんじゃないかと思う。


残念ながらぼくが創業するにあたって、こうしたインタビューの機会は得られなかった。それはぼくの人望だったり、社会的信用だったり、期待値だったりに問題があったのだろうと反省するしかないのだけど、幸いにもぼくは創業から毎日このブログを書いている。

いちばんはじめの日に書いたこれ、いまでも読み返すときがあるんですよ。

バトンをつなごう。


つたなくても、熱くても寒くてもいい。なにかのタイミングで、自分の気持ちを真剣に書きとめておくこと。それは、いつかの自分へのプレゼントになるんですよ。プレゼントは、自分に贈ることもできるんです。

教祖猫を噛む。
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古賀史健

ライター。バトンズ代表。著書「嫌われる勇気」「古賀史健がまとめた糸井重里のこと。」「20歳の自分に受けさせたい文章講義」など。週日更新しています。http://www.batons.jp