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凡人だからできること。

急いでいるのでさらっと書く。

さみしい、と思うことがある。いや、ほんとうを言うといつもだいたいさみしく思っている。「自分はこういうふうに思うのだけど、みんなはそうじゃないみたいだ」「自分はこれが大好きなんだけれど、みんなはそれほど好きじゃなかったり、知らなかったりするみたいだ」「みんなはあっちで大喜びしているけれど、ぼくにはそのたのしさがよくわからない」。

そんなさみしさに出会ったとき、気づくことができたとき、ぼくはチャンスだと考える。おれと同じさみしさを抱えている人間は、世界中にたくさんいるはずだ。その人たちに届ける手紙のような本をつくることができたら、きっとみんな大喜びするだろう。これが読みたかったと思ってくれるだろう。なんといってもおれ自身が、それを読みたい。

なのでぼくは、どこでなにが流行っているとか、これからこんな分野が伸びそうだとか、そんなことはいっさい気にすることなく「次はこれをやろう」を考えている。トレンドを嗅ぎつける人間としては、あまりに鈍感な鼻づまりで、追いかける足も遅いのだ。


と、こういう話を書きはじめたらどうしても仕事方面に転がっていくのがぼくの悪い癖なんだけど、「さみしいのはおれだけじゃない」「このさみしさを抱えている人間は、たくさんいる」を信じることは、生きることをずいぶん楽にしてくれるような気がする。

それは自分の凡庸を受け入れることでもあり、天才をめざす生き方からの解放でもあるのだ。