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もしも宝くじで3億円当たったら?

ときどきここにも書いてるけど、ライターとしてのぼくは、赤貧と呼べる時代を経験している。なんといってもフリーランス。「給料日までガマンしよう」とは違う、本格的な貧乏を経験している。

当時、けっこう真剣に考えていた。「貯金が100万円あるって、どんな気分なんだろうな」と。いっつもギリギリで、いっつもカツカツで、けれども貯金するつもりなどさらさらなくて、無計画なまま生きてきた。


最近ある方から、ほとんど出会い頭に「いっぱい本が売れて、税金たいへんでしょう」と言われた。他意も悪気もない発言だと思うけど、そうなのかあ、と思った。印税という、ある種の公明正大な成果報酬を受けとっている立場だけに「あの本が売れた」と「そんだけ儲かった」は、ほかの仕事以上に可視化されやすいのかもなあ、と思った。


本が売れて、赤貧時代の自分には想像もできなかったような金額のお金が入ってきて、ぼくがやったこと。

それはバトンズという会社をつくることだった。税金対策としての法人化ではなく、「これからの大きな仕事」として、ひとを育てたいと思った。ライターを育てることに、お金と時間を使いたいと思った。

これからこの会社がどうなるかわからないけど、ひとが育ちつつある実感は、ちょっとだけある。あのとき自然なこととしてこの選択をできた自分が、いま少しだけうれしい。


「もしも宝くじで3億円当たったら?」の答えが貧困なひとって、たぶん一緒に遊んでてもつまらないからね。