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タイマンだから起きる争い。

人生ってやつは、ほんとに「やってみないとわからないこと」だらけだ。

うちの犬は散歩中、よその犬と出会うと十中八九でわんわん吠える。リードをぐいぐい引っぱって、後ろ足でマイケル・ジャクソンのスムース・クリミナルみたいな姿勢をとって、猛然と襲いかかろうとする。

ああ、うちの犬は「よそのこ」と仲良くあそぶみたいなことはできないんだなあ。犬同士のコミュニケーションはむずかしいのだなあ。それはちょっと残念だけど、そのぶん精いっぱい愛してあげよう。と、そんなふうにあきらめていたぼくの心に「あれ?」という疑念を抱かせたのは、ドコノコ主催のオフ会だった。

初対面である「よそのこ」たちと、しっかり仲良く犬らしく、くんくんお尻の匂いを嗅ぎ合ったりしてあそんでいたのである。あの乱暴な、犬という犬に襲いかかろうとするうちのこが。

やっぱり飼い主の「ここに集まっている人たちはみんな仲間だ」の安心感が、犬にも伝染するのかしら。飼い主が心底リラックスできるドコノコのオフ会だからこそ、こんな平和が訪れたのかしら。そんなふうに自分を納得させつつ、先日思いきってひとつのチャレンジに踏み出した。

あこがれの空間、ドッグランへの挑戦である。


よその犬に吠え立てたり、飛びかかろうとしたり、追いかけ回したりする犬ではあるけれど、本気で噛みつくような犬じゃない。そしていざとなったら呼び止め、捕まえて抱きかかえることもできる。それにほんとは小心者のチキン野郎なのだ、うちのこは。おおきな犬たちに囲まれたら、意外となんにもできないんじゃないか。

最高のパターンと最悪の事態の両方を想定しながら、おそるおそるドッグランへと出かけた。

ぜんぜん大丈夫だった。

むしろ、めちゃくちゃたのしそうだった。

見るに、うちの犬は「1対1」のシチュエーションで誰かと会うと、おおいに興奮もするし対決モードにもなる。けれど、「1対100」みたいなシチュエーションに置かれると闘争心をかき立てられることもなく、おのれもその一員であろうとする。勝とうとせず、溶け込もうとする。なんというかこのへん、人間とまったく同じだ。


ああ、思いきってドッグランに連れていって、ほんとうによかったなあ。

これからもできるだけ時間をつくって、一緒にたくさんドッグラン行こうね。

(帰宅後、熟睡するぺだる)