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12年前の企画書

ぼくのパソコンには「その他ボツネタ」という名前のフォルダがある。諸般の事情によって頓挫してしまった企画、また企画にさえならなかったメモ書きが保管された、想念の青山墓地みたいなフォルダだ。

書くことがまるっきり思いつかず、なんとなく開いてみたところ、ほんとにやらなくてよかったなあ、という企画のメモ書きが出てきた。仮タイトルさえついてないものの、内容的には「50歳で引退して、第二の人生をエンジョイしよう」みたいな本である。作成日を確認すると、2004年。いまから12年前に考えたダメ企画だ。

なぜこれがダメ企画なのか?

たしかに50歳で引退して、あたらしい人生に踏み出すという道はある。それで成功されている方も大勢いる。そういう生き方にあこがれる自分は、いまも確実にいる。

けれども企画書を読み返してつくづく思うのは、当時の自分が「50歳」という年齢を「はるか遠い先のこと」としてしか考えてなく、要は60歳や70歳、下手をするなら80歳と変わらない距離感でとらえているのだ。これじゃあ、ぜんぜんダメというか、なんのために「50歳」という数字を挙げてるのかわからない。


いまのぼくは、ほんの少しだけ「50歳の自分」を想像できるようになってきた気がする。職業人としての45歳なんか、ほんとに目の前の話だ。

60歳は、うーん。まだまだ遠いなあ。