宿酔いがつくったウイークエンド

「週明けまでには上げますっ!」

いきなり胃が痛くなるような文言ではじめてしまいましたが、打ち合わせをしていたり、日程調整していたりするとき、たまに「あれっ?」となることがあります。「なんかぼくら、ずれてますよね?」と。

ずれの原因はカレンダーです。

どういうわけか、よのなかには「日曜はじまりカレンダー」と「月曜はじまりカレンダー」の両方が混在していて、人びとは任意に使いやすいほうを選び、それぞれのコマ割りを念頭に生きています。おかげで「今週の日曜日」なんて言ったとき、それがすでに過ぎた週はじめの日曜日なのか、もうすぐやってくる週末の日曜日なのか、混乱が生じてしまうわけです。

どっちが正解なのかでいうと、教科書的に、日曜日を週のはじめにもってくるのが正しい。でも、「週末」といえば土日のことだろうし、週の末ってくらいだから、日曜日がカレンダーの右端にくるほうがすっきりする。まして、労働者にとっては、仕事はじめの月曜日が左端に座ってるほうが「今週っぽさ」が出る。そんなこんなでぼくは月曜はじまりカレンダーを使っていますし、同様の人は多いんじゃないでしょうか。

そういえば。週休二日制が普及する以前、つまり日曜だけがお休みだった19世紀イギリスの話。労働者たちは毎日お酒を飲むなんてことはできず、日曜日にだけ大酒をくらっていたのだそうです。ところが、日曜の夜に深酒するもんだから、思いっきり宿酔いになって月曜の仕事を休んじゃうらしいんですね。

それで困った工場主たちが導入したのが、土曜日の半休制度、いわゆる「半ドン」なのだそうです。酒を飲むなら土曜の夜に飲みなさい。土曜の仕事はお昼までにしてあげるから。そして酩酊したのち、日曜を使ってじっくり宿酔いを治して、月曜からは元気に出てきなさい、と。

「ウィークエンド」という言葉も、土曜日の半ドンをきっかけに生まれたんだとか。そうやって考えると、ぼくらの「週末」も、19世紀イギリスの労働者たちが宿酔いによって勝ち取った権利、といえるのかもしれません。

うーん。宿酔いはいやだけど、べろっべろんに酔っぱらうまで飲むことはしたいなあ。えーと、はい。いま抱えてる原稿、もろに「週明けまでにはっ!」な状況です。

鬼にカネボウ。
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古賀史健

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