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書くことが浮かばないので犬の話を。

家のなかで最近、犬と追いかけっこをする。

追いかけっこといっても、さほど広くもない日本のマンション事情。リビングルームの同じところをぐるぐるまわるだけだ。犬はおおいに興奮し、しっぽをばたばた振りながら逃げ回る。キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン、と笑うように。興奮が頂点に達した犬は、しばしばトイレに駆け込む。どうも興奮すると便意をもよおす癖(へき)があるようで、「漏れる漏れる〜」という感じでトイレに駆け込み、大や小の用を足す。かわいい。

おかげで最近、犬を留守番させる前には、かならず追いかけっこタイムを設けるようになった。わあわあ追いかけっこをして、さんざん興奮させて、便意をもよおさせて、おなかのなかを空っぽにさせてようやく、安心して外出することができる。おもしろいことに犬も、(とくに大きいほうの)用を足してすっきりすると、しっぽをゆらゆらさせてどこかご満悦なのだ。

つぎにオフィスを引っ越すときは、ぜったいにペット可物件にしたいと思っているのだけど、そうなれば会社のなかでわあわあ追いかけっこをしたり、それで用を足させたりすることになるのか。

でも、犬と一緒にいるときの、デレデレおじさんな自分は、できればあんまり他人に見せたくない。これはほんとに、見せたくない。

たとえば犬と話すとき、ぼくは博多弁になるんです。博多弁で、犬に「なんしよっと?」「おとうさんのこと好いとーと?」とかしゃべってるんですよ。なにかの冗談としてではなく、ごくごく自然なこととして。もう人生の半分以上を東京で暮らしているはずなのに、どうしても犬との会話だけは地元のことばになってしまうんです。

犬と暮らすようになってから、ずいぶん「ひみつ」が増えたよなあ、と思います。「うそ」が多い人生は苦しいけれど、「ひみつ」が多い人生ってのは豊かな証拠ですよね、きっと。