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くやしかったのだ、きっと。

圧巻だった、と言っていいと思う。

エリック・クラプトン@武道館、4日目の公演である。いまだから言うけれど、先週末に観た初日の公演は「らしくない」ミスの連続だった。バンドメンバー(とくにギターのドイル・ブラムホールII)との連携がちぐはぐで、PAのリレーションもうまくいっていなかったのだろう、入るべきはずのエフェクターが入っていなかったり、フィードバックがコントロールできていなかったり、挙げ句の果てにはドイルが「Layla」のリフに反応できなかったり、2000年代以降の超完璧主義者・クラプトンにあるまじき、リハーサルのようなステージだった(それでもすばらしい公演になっちゃうのが、この人の困ったところなのだけど)。

しかし、きのう観たクラプトンは完璧だった。初日の失態をすべて乗り越えた、ここ10年で最高の来日公演(2009年、もしくは2006年以来)だったと言っていい。観ながらぼくはずっと泣いていた。

くやしかったのだと思う。

初日にあんなステージをやらかしてしまったクラプトンは、くやしかったのだ。関節炎だかなんだかの影響でここ数年ギターを弾くのに痛みを伴うようになったという74歳のクラプトンは、そんな事情や言い訳やをよそに、単純にくやしかったのだ。それで数日のうちに、ここまで仕上げなおしたのだ。

今回は楽曲のアレンジもそれぞれ最高(とくに「I Shot the Sheriff」のカッコよさよ)だったし、初日と違ってきのうは「Layla」がアコースティックバージョンだったのは若干心残りだとしても、あのクラプトンが、いまでもこうして「もっともっと」を求めてもがいていること、自分に活を入れている事実に、かなりの勇気をもらった気がした。

ああ、よかったなあ。何度でも何度でもまた来日してほしいなあ。