忘れてしまう

電話は苦手です。会話のタイミングが合わなくて相手と言葉がかぶってしまうのも嫌なんですが、電話番号を押して、コール している間に何のために電話をしていたのか忘れてしまうのです。
あれ、何で電話したんだっけ?と思った瞬間に相手が電話に出ると、頭が真っ白になって、言葉が出なくなります。

記憶が弱いです。特に、短期記憶が弱いです。
ADHDの特性なのだそうです。

人と話をしていると、話したい事が一度に沢山思い浮かぶ事があります。
順を追って話していくのですが、話している途中で自分がどこまで話していたのかわからなくなったり、言おうとしていた事を忘れてしまったりします。
相手の話を聞きながら、それに対する応えを相手の話に頷きながらまとめて、さあ話そう、と口を開いた瞬間頭の中が真っ白になってしまいます。
ちゃんと落ちを考えて話始めたのに、話しているうちに落ちを忘れてしまうこともしょっちゅうです。

もう、冷や汗ものです。
上手く取り繕えればまだいいのですが、真っ白になったままフリーズしてしまったら、何とも白けた間が会話の中に出来てしまいます。
話が盛り上がっているときなど最悪です。
さらに真っ白になって、何の話をしていたかすら忘れてしまうこともあります。

ひとつの事柄を、長文で時間をかけて説明している人の話を聞いていると、すごいなあ、と思います。
頭の中から言葉が消えていかないんだな、と。

忘れてしまうのは、話だけではありません。
生活全てです。
冷蔵庫を開けた瞬間、何を取ろうとしたか忘れたり。
買い物に行って、何を買いに来たのか思い出せなかったり。そもそも、目的があって買い物に来たのに、その事自体をすっかり忘れて違うものを夢中で選んで買ってしまったり。
毎日会う人、例えば職場の同僚やひどいときには家族の名前が思い出せなかったり。

置き忘れもひどいです。
消えてしまったかのような感覚があります。
帰宅して、鞄から家の鍵を取りだし、開けている時に子供から話しかけられて、話しながら家に入ります。
しばらくして、また出掛ける用事があって家の鍵を探してもありません。
大慌てで探し回って、もしやと思い外を見たら鍵穴に鍵が刺さったまま。何度もあります。一晩刺しっぱなしだった事もあります。
学生の頃は朝、駅まで自転車で行って、夕方、帰って来た時に自転車の存在を忘れて家まで歩いて帰ったりもしょっしゅうでした。

買ってきたものも忘れます。忘れて、何度も買ってきます。一度買わないといけないとインプットされたら、中々消えないんですね。
お陰で我が家の食品や日用品は、同じものばかりが大量にあります。

引き出しや扉つきの棚にしまった物も忘れます。
目に見えないものは無いのと同じです。
衣替えの度にこんな服あったんだと新鮮な気持ちになります。

今やっている事も忘れます。
お湯を沸かしている間にスマホをちらりと見ただけで、お湯を沸かしていることを忘れます。
食器を洗っている途中で洗濯機が止まったので洗濯物を取りに行ったら、食器を洗っている事を忘れます。
雑巾がけをしていて、雑巾を洗って戻ってきたら、どこまで拭いたか思い出せません。

この忘れてしまう、という特性は、工夫しなければ生活が成り立ちません。

物は全て置場所を決める。
電話や買い物はメモする。
棚にはラベルを付ける。
押し入れやストッカーは時々点検する。
日記や手帳をマメに付けて、とにかく記録する。
作業はキリのいいところ迄やってから、他の事に手を付ける。
何かするときはタイマーやリマインダーをセットする。
我が家のガスコンロには、温度が上がりすぎると自動で消火する機能があります。タイマーもついています。
人に頼んで覚えてもらっておく事もあります。

物を増やさないというのも一つの手だと思います。
持ち物が少なければ置き忘れる事も減りますよね。
管理する物が少なければ、脳が思い出す作業も簡単になるはずです。

あともうひとつ。睡眠時間を確保すること。
睡眠不足だと、うっかりが格段に多くなります。
脳が疲れるんですね。

忘れてしまうと激しく落ち込んで、自分が嫌になります。
でも、落ち込んでも何の解決にもなりません。
自分は忘れる、という前提で工夫して乗り切るしかありません。
周りの人には天然キャラをアピールしておくといいかも知れませんね。

後は、そんな自分を許してあげること。
それができれば、楽になれると思います。

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