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目的なく香港の街を散策した話

暖かいお粥で腹は満たされた。
次はどこへ行こうか。

とりあえず歩こう。
香港は歩いてあるだけで楽しい。

事前にGoogleマップで保存した「気になる」をみるとそこそこに近くに【雀鳥花園】があった。

よし、ここに向かおう。
歩いて15分ぐらいだ。

公園内に鳥や鳥籠などが売っている店が密集しており、観光客にも人気なスポットらしい。

ひっそりとした公園の入口から階段を上がると商店が軒を連ねているのがみえる。が、開いていない。ほとんどシャッターを下ろしているのだ。只今、8:30am。早すぎたようだ。

まだオープンしていない店も多い。
昼になれば活気が出るのだろうか


それでも鳥のさえずりの頼りに進むと一軒、また一軒と開店準備をしているお店を見つけた。

大量に積まれた鳥籠をみるに他の店も含めれば、この小さい公園に数千羽はいるだろう。

まさに籠の中の鳥


日本でもお馴染みのインコやオウムから見たことのないような可愛らしい鳥まで種類も豊富だ。
鳥籠も木製の美しいものからペンキの剥がれたボロいものまで実に様々ある。

こうして物色しても、明らかに観光客な私は買いそうもないと思われているのか誰も声を掛けてこない。それをいいことにオウムに日本語を教えるなど、勝手に遊ばせてもらおう。

鳥籠の中にある陶器も美しい


公園内は中国式の建築もあり、ベンチもある。開店準備をする店主や散歩に来た地元民を眺めながら鳥の鳴き声とともにベンチに腰掛ける。なんだか時間の流れが随分ゆったりだ。
旅先で何もしない時間、何とも贅沢かつ至福。

中国の庭園チック。餌を求めて野生の鳥も遊びにくる。



とはいえ、そんなにゆっくりする時間がないことも事実だ。数時間後には香港を発ってインドにいるのだから。

少し中心地から離れてしまったので、旺角の方に戻るとしよう。旺角から九龍まで歩いてそのままエアポートエクスプレスで空港まで戻る予定だ。

こうやって街を歩いていると不思議なことに気づく。

香港は同じような店が密集しているのだ。

どうやら私は【花墟道】という通りにいるようだ。その名の通り、花屋が軒を連ねている。

花屋なので見る目麗しく、歩いている分には楽しいが、こんなに花屋だらけだと消費者からするとどこで買えばいいか分からなくなそうだ。
花屋もライバル店ばかりでやっていけるのだろうか。

朝の仕入れを行う花屋


さっきまでいた雀鳥花園も公園に移転する前は【雀仔街】と呼ばれた通りに密集していたそうだ。

他にも
金魚が集まる、金魚街
電化製品が集まる、電気街
手芸関係が集まる、ビーズ街
おもちゃが集まる、おもちゃ街

など、1つの場所に専門店が固まっている。
理由は調べてたけど、出てこなかったので知っている方がいたら教えて欲しい。

でも、よく考えてみると、ここに来れば必ず欲しいものがあるという安心感はあるかもしれない。これだけあれば、きっと気に入ったものも見つかるし、ここになかったら諦めるしかないだろう。

花屋は花屋でも差別化はできていて、ここは観葉植物などグリーン系中心


花屋だらけの道を抜け、次は金魚屋だらけの道を歩く。大量の金魚がビニール袋に入れて吊るされており、早く大きな水槽にうつさないと弱ってしまいそう。

ちゃんとこの子たちは飼い主にありつけるのかと心配になるが、どうやら香港で金魚は幸運を呼ぶと人気みたいだ。

私は風水はよく分からないが、仕事からクタクタになって帰ったとき、暗い部屋に鮮やかで美しい金魚が優雅に泳いでいたら幸せな気分になれるだろう。

鑑賞魚としての人為的な美しさを纏う「金魚」は、豪華絢爛なネオンが妖しく光る「香港」という街はよく似合う。

すぐに持ち帰れるスタイル


眠気覚ましの珈琲が欲しい。

刺激的な街並みに魅せられて、忘れかけていたが若干頭が重い。眠いのだ。

機内での浅い眠りから、休まず観光しているのだから当たり前だ。

なんだか賑わっていそうなカフェっぽい店を見つける。ここにしよう。

心惹かれるミルク色のカフェオレ。
パンの甘いバターの香りもよい



計画にない出会いこそ、旅の醍醐味。一期一会の積み重ねで私の旅は作られている。


ここ【康年餐庁】というレストランは思った以上に賑わっていた。満席だ。満席だと思った瞬間、是が非でもここで食べたくなる心理はなんなんだろう。

並ぶかぁーと覚悟を決めると、お店のお姉さんが上を指すのがみえる。2階もあるのね。

コーヒー1杯だけ頼むつもりだったのに、これだけ混んでいると食事も摂りたくなる。きっと美味しいはずだ。周りが食べているものを観察して麺やスープに目移りしながら、【パイナップルパン】【港式鴛鴦】を頼む。

選ぶ苦しさとはこのことか。最後までパイナップルパンとエッグタルトは迷っていた


珈琲を飲みたくて店に入ったのに、もはや珈琲は頼んでいない。

あ、でも港式鴛鴦は珈琲と紅茶のブレンドティーらしく、一応珈琲も入っているからセーフか。

珈琲と紅茶、どっちが好き?
きのこたけのこ論争、犬猫論争に続き、人間を悩ませる珈琲or紅茶論争をキメラ化して決着をつける画期的な飲み物、鴛鴦。どっちの味が強いのか、それともマリアージュしているのか。ああ待ち遠しい。

ジョッキのようなグラスにたっぷりと入った港式鴛鴦とふっわふっわなパイナップルパンがやってきた。

まず港式鴛鴦を啜ってみる。
初めは珈琲の風味がくる。そしてあれやっぱり紅茶?というような茶葉感があって、そして余韻は珈琲だ。珈琲も紅茶も強くはなく、いい意味で薄いので主張が強くなく、甘さが包み込んで一体感を出している。

筒状の氷をみると異国にきたなぁと思う

次はパイナップルパン。カリッカリの表面にカットナイフを入れるとザクっという音とともに甘いバターの香りが立ち上がる。中はふわふわだ。うん、メロンパンだ。正直そこまでパイナップルは感じない。もちろんメロンも感じないんだけど、香料使っていない自然派メロンパンってこんな感じなんじゃないか。食べたことないけど。どちらにせよ、ふわカリッ優しいバターの甘さで美味しゅうございました。

ビジュアルもメロンパンに近い。
絶対美味しい(美味しかった)

またしてもお腹がいっぱいになった。
歩き始めて暫くすると重大な忘れ物に気がついた。変換器だ。
これからインドに渡って10日間近く過ごすのに、Type-Cのコンセントに適応した変換器がない。


ああ、なんという初歩的なミス。
現代人は悲しきかな、スマホの充電が切れると何もできない。

インドに着いたらすぐジャイサルメールという砂漠の街に行く。砂漠の街より香港の方が見つかる可能性が高い気がする。

う〜ん、探すかぁ…

【次回に続く】

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