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ドラマ『セクシー田中さん』で再認識した推し活の喜び

 『セクシー田中さん』第7話。田中さんに影響を受けて変わっていく笙野や朱里を見ていると、これは推し活の話ではないかと感じた。登場人物一人一人が自分を見つめ直し、人との関わりの中で新しい自分に出会っていきいきし始める様子が胸を打つ神回だった。


 堅物で無神経、女性には「謙虚で慎ましやかで倹約家で料理上手で…」といった理想を抱いている笙野。この理想の女性がまさに田中さんそのもの。同僚の小西に「田中さんはお前の天使じゃね?」と言われて初めてそれに気づく。その時は「(田中さんは素敵な女性だと思う)でも、オバサンなんだよ…」とこれまた無神経に口走っていた。しかし、次第に田中さんに癒やされ、励まされ、自分も田中さんのためにできることはないかと今までしたことのないようなことにもチャレンジを始める。


 田中さんの同僚の朱里は、田中さんオタク第一号。田中さんを追っかけ、同じベリーダンス教室にも通い、周囲の人や同僚にも田中さんの魅力を力説する。まさに推し活。かわいくてチヤホヤされて、悩みなんてなさそうに見える朱里も、実は人間関係で悩んでいて、田中さんに愚痴をこぼす。

 そこで田中さんは朱里に『マダム・イン・ニューヨーク』の話をする。

「恋はいらないの。欲しいのは尊重されること。」


「(今、夫や子どもに雑に扱われてしんどいけど)ここではないどこかへ連れ出してほしいわけじゃない。」


「自分を助ける最良の人は自分。」

 この映画は笙野が田中さんに勧めてくれたもの。意外に思っていた朱里も、「あの人すごく無神経だけど、それ以上にものすごく親切です。」と聞き、「田中さんが笙野に尊重されるのは、田中さんが全ての人を尊重しているからだ」と納得する。


 今回、本当に見どころ満載だけど、一番心に残ったのは田中さんに対する笙野の言葉や思い。


 田中さんと食事に行くため同僚の誘いを断る笙野。「デートですか?なんか笙野さん、幸せそうですよ。」「尊敬する女性と二人だけど、デートとか、そういうのじゃ…」「尊敬できる相手って素敵じゃないですか!いいなぁ。理想です。」


ここではたと気づく笙野。


(田中さんのことはすごく好きだし、一緒にいて楽しいし、人として好きすぎる)
(…でも、抱ける?!え?そういう対象?!)
(あーいいなぁ。(田中さんとの外食を想像しながら)こんなふうに時々外食して、二人でキッチンに立って、そういう結婚生活も悪くないなぁ)とニヤける。

さらに、

(いつも新たな気づきを与えてくれる人。尊敬しかない。田中さん!なんて素敵な女性だろう。)


 この後、ものすごいメイクをした田中さんに思わず叫び声を上げるのだが、

「お恥ずかしながら、せっかく素敵なレストランに行くので、おしゃれをした方がいいかと思いまして。初めてのことだったので、どうしたらいいか分からなかったんですけれども、新しいことにチャレンジしてみようと頑張ってしまいました。」とはにかむ田中さんに(めっちゃダメ出ししにくい)と思いつつ言葉を飲み込んでデートに向かう。今までの笙野ならはっきりとダメ出ししてデートも中止したかもしれない。それくらい衝撃的なメイクだったが、はにかむ田中さんはかわいかった。


 デート中も、まだ海外に行ったことのないという田中さんが、「目標額までお金がたまったら海外にダンスの勉強しに行きたい、仕事はやめることになっても構わない」と言うのを聞き、

「やっぱすごいな。田中さんは。」と憧れの眼差しで見つめる。(メイクはど派手だけど、不思議と気にならなくなる。)

「僕、旅先でいろんな生き方をしている人たちとたくさん出会ったはずなんですよ。町中で踊る人、歌う人、ただそこで横たわる人。僕の日常からは遠すぎて、物珍しい景色を眺めるように彼らを見ていました。僕は他人を人として認識してなかったのかもしれません。あそこにいたのは田中さんだったかもしれない。三好さんや、愛子先生だっかも。あるいは、僕だったかも。今度、旅先で彼らに出会ったら、話しかけてみようと思います。」


 この笙野の言葉や妄想を聴いていると、自分の推し活が浮かんできた。笙野の思いは、私の推しである藤井風さんに対する思いそのものではないか。「人として好きすぎる」「いつも新たな気づきを与えてくれる人」「尊敬しかない」
 とんでもない失敗をやらかしてもかわいいと思ってしまうことろもよく似ている。田中さんの夢が叶いますように、田中さんが幸せでありますようにと願ってしまう。素敵なドラマをありがとう。田中さんありがとう。藤井風さんありがとう。

 

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