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生産性のある投資か、単なる消費か?

10年以上前、同じチームで仕事をしていた、先輩同僚(男性)と久々に顔を合わせ、近況を話している中で、お嬢さまがご結婚された話があった。
「おおー、おめでとうございます。おめでとう~ではありますけど......、寂しくなっちゃったんじゃありません?」と聞くと、間を置かず「うん」と即答であった。

彼は、面倒見のいい体育会系の兄貴分な人。こういう反応はどちらかというとギャップがある印象になる。だからこそ、かわいいなあ、と思わず思った。わたしもこういうのを平気で声に出すタイプなので「素直ですねえ。かわいいなあ~」と言うと、ふふふ、と笑っていた。

件のお嬢さまの結婚式・披露宴は少々波乱万丈だったようだ。予定日の10日前に旦那さまがコロナ陽性となってしまい、急遽キャンセルすることになったそうだ。ところがその日からキャンセル料が発生するという、タイミングの悪さ。その金額200万円。

「キャンセル料200万!?高っ~」「まあね。もともと560万くらい?だからね」「結婚関係の相場に詳しいわけじゃないですけど、けっこう高額ですね...…そうすると式場自体がお高めのところだったんですか?」「いや?そんなことないかな」「じゃぁ参加人数が多いお式ですか?」「いや?そんなことないなあ。披露宴に凝ってたんだよな。やりたいことあったらしくて披露宴に力入れてたからね」「なるほど~」

キャンセル料は一旦、この先輩同僚が出したそうで、後日お嬢さまからはすでに100万円を返金済みとのこと。「まあ、返却意思があるなら1年後でも10年後でもいいんだけど、思ったより早かったなあ」としみじみされていた。

なお、ひと月遅れでお式と披露宴は無事できたそうでなによりである。

しかし、驚いたのが、560万円の式・披露宴代をお嬢さまご夫妻はローンを組んでのお支払いだそうである。えぇ...…そこまでして?と、一瞬思ってしまったが、どこにお金をかけるかは人それぞれ。私がとやかくいうことではない。それにローンとはいっても戦略的なものなら何ら問題もないし、なによりも"やりたい披露宴"があったわけだし、先輩同僚も"なかなか楽しめた"と言っている。

結婚するっておめでたいことだけれども祝っておわりじゃなく、したがってお式も披露宴もあくまでもスタートラインでしかないと私は考えている。ゆえに二人で歩んでいくための種銭はあまり減らしたくないとさえ思ってしまう。そういう目線で考えると披露宴の費用って投資になるのか消費になるのか?と考えると、私には”消費”になるのだ。

しかし、お式も披露宴も最低限は必要だと思っている。特に、お式はある意味”覚悟を決める場”と考えているからだ。だから”やるべきだが、極力お金は掛けない”だなあ、というところに落ち着く。

20代の終わりの短期間、結婚式場で働いていた。すべての式場がそうだとは思わないが、バックヤード側にいて利用者が食い物にされている感をひしひしと感じていた。その経験が結婚式のイベントについてシビアに見るようになっているところがわたしにはある。このことを抜きにしても、"お金が未来への投資になるか?単なる消費になるか?"には冷静な目をいつでも持っていたいと思う。


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