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2021.8.24 UNISON SQUARE GARDEN 「Revival Tour "CIDER ROAD"」 東京ガーデンシアター 感想レポ

まえがき

2013年、UNISON SQUARE GARDENは4枚目のアルバム、「CIDER ROAD」を引っ提げてツアーを行った。

そのアルバムは田淵智也さん曰く、当時音楽界隈の人が土下座しにくるであろうと思っていたほどの肌感覚で製作された快作でボリュームも随一となっている。

今年はとにかくライブをやるぞという意気込みのもと、8年前に行われたこのツアーがリバイバルされることとなった。

今回はそのリバイバルツアーの東京公演に参加してきたので感想を綴っていこうと思う。

本編

参加するにあたって事前に体温を測ったり、消毒液を使うなり、マスクは不織布にカバーを重ねるなり、あんまり激しく息を乱さないようにしとくなり自分なりにどうやって鑑賞するかーなんて考えながら当日を迎えた。

今回の公演は座席が2席ごとに1席空けるような配列となっており、以前とはまた異なった配置のように思う。

ステージ構成はとてもシンプルで床にUNISON SQUARE GARDENというロゴが貼ってあったり...というのも特別ない。

いつも通り、絵の具が鳴るとメンバーがいつもと同じように登場する。
このいつも通りにとてつもなく安心感を感じた。

絵の具のSEと被せるようにしてto the CIDER ROADの前奏が始まる。

to the CIDER ROAD

開演前まで色もなく壁に佇んでいた背景のCIDER ROADのロゴが色づく。
8年前のライブに参加していないので当時のことは映像からでしかわからないが、おそらく当時ライブに来てた人が感じていたであろう高揚感を今同じように味わえるのがとても嬉しい。

日々の鬱屈からCIDER ROAD→炭酸のような刺激のある道を選んで進む様相を考えるとツアーロゴのCIDERとROADが交差するような構成はうまい表現だなと思ったり(不思議なことにこの場で初めて生で聞いて浮かんできた)

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もちろん一個人の考えであり、公式見解ではない。

日々の鬱屈から解放されて今まさにライブの高揚感に身を任せるという心象とこの曲はぴったりだなと思った。


ため息 shooting the MOON

本ツアーは私にとって実は生で聞いたことなかった楽曲のオンパレードで、to the CIDER ROADもため息 shooting the MOONも生で聞いたことはなかった。(多分)

照明が早速暴れ出すと低音から「4、枚、目ぇ!」と始まるCDと違ってそんな残響が残る感じでもなかったかも(感覚値)

いつぞやの6拍子を3で割ったら2拍子じゃん!を思い出してクスッとする反面、畳み掛けるような皮肉と純粋さが混じり合った語彙の応酬に恐ろしさを感じるという。


Cody beats

一時期はなかなか生で聞けないと思っていたのに今年になってリバイバルの影響かとても聞けている気がする。
ため息から流れるように入っていたのも印象的だが、CIDER ROADのトレイラームービーのto the CIDER ROADのイントロからcody beatsのサビにいく繋ぎがマジでうますぎるせいでその印象がめちゃめちゃ強かった。

生と映像と設備ともろもろ違うとこは当たり前にあるけどなんか照明も含めてできる限りで再現できる場所はしてくれようとしてるのかなと思いつつでもやっぱわっかんね。そんなことないかも。


MC

今回はMC箇所が多めで(おそらく当時と同じような構成のため?)本編では3箇所、アンコールで1箇所である。

さすがにMCまで当時と内容が同じというわけではなかったが、8年前のツアーのリバイバルであることを告げ、当時ひたすら足し算しまくってしまくってできた作品で〜と話す

このアルバム及びツアーがボリューム過多というのは共通認識...?


ラブソングは突然に 〜What is the name of that mystery?〜

ステージ地面に円形のライトが照らされていたのだけど、客席から見て右側(斎藤さん側)のライトだけ、ずっと他のライトと違う色の円形で照らされていたシーンがあってそれはどんな意図なのだろうかと悶々としていたら終盤に差し掛かっていたという不覚。何だったんだろう...。

「heartbeat, new sensation!」早くみんなでもみくちゃになりながら叫びたいフレーズ。あと2年以内にやりたい。

セレナーデが止まらない

Live (on the) Seatのときとはまた違う照明効果だっただろうか。全然別角度からだったのでまた捉え方が大きく異なってしまうのだが、何故かその部分が大いに気になってしまった。語尾のディレイ感がライブだとちょっと増し気味にも感じる。曲に合わせたライティングの速度も気持ちよくてメリハリを助長させているようにも感じた。シンプルな効果演出かつ最良のライブ効果を出している曲に思う。

Miss. サンディ

めちゃくちゃ気になった挙動が、Aメロ部分の田淵さんの歩行動作。
なんかその場で足踏みというか歩いてる動作をしていてすごく気になった。
声がなかなか出せない環境下でも楽しめるようなクラップしてノレる曲っていうのは良いもの。

聴くのは実にDr.Izzyツアーぶりではあったけどその間に感覚が一回りも二回りも変わっている...のかもしれない。

直近の機材車ラジオで田淵さんがいい曲!とプッシュしていたのを思い出した。

カウンターアイデンティティ

足元だけ淡く暖かめのライトで照らす感じがとっても見栄えしたイメージ。
セットリスト入りが珍しいだけにカウンターアイデンティティ→オリオンをなぞるみたいなスムーズな繋ぎの入りが貴重なので見ることができて嬉しかった。

DVD比で声の伸びが良くなって荒い感じが無くなっている感を受けた。
今回はカウンターアイデンティティで(2Bかな?)ドラムが荒ぶっていたような気がする。

オリオンをなぞる

カウンターアイデンティティからの繋ぎで代名詞とも呼べるイントロへ
前曲でドラムの手数が荒ぶっていたからか、オリオンをなぞるではいつもと比べたら控えめな2番だったように思う。
NormalやSpring Spring Spring Revivalを経て今年だけでツアー3回目の枠組みになるオリオンをなぞるだけれども、今回が一番忠実と言えば忠実だったのかも。

ライティングって毎回変わってるのかな(会場が同じ、曲目が同じ、ツアーが異なる場合)っていうのが前述したセレナーデが止まらないから悶々と気になっているのでどこかで検証をしたいところ。


MC

バラードゾーンを前にMCが挟まる。
斎藤さん曰く「押しの強いバラード」が揃ったゾーンのようで、無理して立たずに自由に楽しんでというと待望のバラードゾーンへ

確かに本ツアーはバラード枠が2本では無く3本。
しかも時間が6分、6分半、5分と計17分半に及ぶ近年では見ない長尺。
(基本ワンマンツアーでしか拝めないし好きなので大歓迎ではあるけど)


光のどけき春の日に

こちらも直近のラジオで触れられていた曲で、いい曲だけど今作るとしたらここの部分カットして〜なんて話していたのを覚えている。

1番と2番が同じ構成になっちゃってるから冗長かも。とか。

光の破片が地面に映し出されているようなライティングで温色のライトがいい具合に差し込まれていて見方によって顔に見えなくもない感じになっていた。更に綺麗だったのが暗転後に床の模様だけ残ったとき。

表現が難しいんだけど、歌い方が拳入れてしっかり歌い聞かす感じからに柔らかく流れるような(ニュアンスで伝わることを祈る)感じにシフトチェンジした感じがある。今の歌い方で聞いたらめっちゃ心地よかった。

あと聴き心地の良さを助長しているものがもう一つ。
素晴らしく綺麗なコーラス。
コーラス隊がうますぎて座るどころか呆気にとられて立ち竦んでしまった。

いつかの少年

ここで聴く機会逃したら一生聞けねぇかもとさえ思った曲。
曲の転換でふっと床の光の破片が消えてシンプルな照明の中で歌っていたのが尚良しだった。

ラストの間違ってないはず...の余韻から後奏に入るまでのわずかな間が本当に最高だった。はず...のワードの含ませからの時間停止かのようなある種の精神時間に没入する感じ。

さらに珍しい光景に思ったのが、その間で斎藤さんが足を結構な大ぶりで結構ダイナミックにタイミングを取っていたところ。
(いつもは踵を軸にしてタイミングをとっているのに膝を軸にして足を振ってタイミングを取っていたように見受けられた)

他にも気づけばほのかに変わっていく照明とか見どころがぎっしりと詰まっていた。

クロスハート1号線(advantage in a long time)

前方二人の立っている足元の照明で丸い影のかたちが重なって見ようによってはハートに見えなくもないなと思っておお〜と感じたのが最初。

曲順からしてバラードから徐々に加速していく次のセクションの移り変わりをうまく担っているなぁとしみじみ。光のどけき春の日に、いつかの少年と来て徐々に助走を上げていくゾーンへ

箱庭ロック・ショー

ここからは一回間にMCは挟まるものの、上げて上げて上げまくって終わるような構成に。
箱庭ロック・ショーも実は今まで生で聞いたことはなくて(度々演奏してくれていたようにも思うけど)ここに来てようやくの巡り合わせとなった。

特徴的なフレーズのメリハリがめちゃくちゃ気持ちよかったことと、ステージより上部の位置から全体を眺めていたこともあって、まさにタイトルを体現しているかのような光景におお...となったり。

間奏の見応えも十二分。

フルカラープログラム

箱庭ロック・ショーに続いて初期から愛され続けているフルカラープログラムへ。

ステージの照明がこれでもかというほどに様々な色で照らされており、ボルテージ上はもはや最終盤みたいな熱量。とはいえ実のところ最終セクションでも無くアカペラ演出があるわけでもない。
(ただし、いつもアカペラを行うゾーンで貴雄さんが意図的にドラムをフェードアウトさせていた。)

ドラムソロ〜場違いハミングバード

Drums! Takao Suzuki!から超速プレイを見せたあとに即セッションへ。
セッション自体の時間は少ないのだが、その分、身のぎっしり詰まったドラムプレイだった。

熱量をそのままにステージ上では熱線が動き回る中でバンドメンバーが三者三様に激しいプレイングを見せてくれる。正直ここら辺はバカほど楽しすぎて記憶からすっぽ抜けているようです。


MC

「食欲旺盛なみなさんで良かったです...」と斎藤さんが話し始め、続けてここからはCIDER ROAD TOUR名物、どの曲も終わりそうなのになかなか終わらない終わる終わる詐欺ゾーンに突入すると話す。

これは実際に体験したあとに感じたことだが、マジで終わらない。(嬉しいけど)

終わりにふさわしいというか実際に終盤で使われるような曲のオンパレードでバイキングに来た子供が自分の腹の容量を鑑みないで肉を目一杯口に含むかの如く。多分でけぇハンバーグステーキ5枚くらい食ってる。

Spring Spring Spring Revivalと同様に当時のイキったMCもリバイバルしますというと貴雄さん、田淵さんを見遣ると「踊れる?」と話して


like coffeeのおまじない

Hey! Ladies and gentlemen, boys and girls!
GET READY! TOKYO!! like coffee!

と口上からご機嫌なスカの音が流れ出し、背後のロゴもさながら洒落たバーにあるみたいなネオンのように照り出す。パリピだ。

いかにも最終セクションでございますといった盛り上がりから入る。
ここからラストの曲までは曲間を繋ぐというよりかは一曲一曲がバリバリ強いため、しっかりと演奏し切ってから次曲に移るという繰り返しだった。

crazy birthday

この先にも曲が控えていることと本編なことも相まって比較的真面目なcrazy birthdayにも思えた...が。

No more happy 貴雄!と振ると貴雄さんがNo more よくなくなくない?だったりNo more happy 田淵!と振るとちょっとなんて言っているのかわからなかったり(純粋にマイクの音量絞っているから?)

斎藤さんのよくなくなくないがちょっと噛んでよくにゃく...ないみたいな感じになってたシーンもあり。

更には意図的にテンポを超速にしていると思われる箇所があり、速めたり落ち着けたりと可変で遊んでいたりも。

kid, I like quartet

like coffee、crazy birthdayに続いて出し惜しみなくアップテンポで攻めていく。どこで不意に「ラスト!」と言われてもおかしくないほどハイになっていているが、この段階で実はまだリニアブルーを聴きながらもシャンデリア・ワルツも演奏されていないことを考えると当時既に持ち玉が相当あったんだなと窺い知れる。

ここも楽しいが過ぎて記憶は欠落してます。すまないさん。

リニアブルーを聴きながら

実はリニアブルーを聞くライブは全て前・中盤だったため、終盤のセクションで聞くのは初めて。
コーラスもそれに付随するディレイの余韻すらも全てあっちーと感じてしまうくらいの状態。

曲名に合わせてか、ステージも青系の色で照らされていて熱量はあるのにステージ上は爽やかにも見えるみたいな視覚効果と感情の差分みたいなものも感じた。

シャンデリア・ワルツ

ラスト!と放ち、待望のイントロへ。

忘れてしまいがちなんだけどシャンデリア・ワルツってCIDER ROADからなんだよなぁ。今じゃもう常にセットリストにあってほしいような曲だけど当時は収録はCIDER ROADなんだなぁ。

Spring Spring Springでもやっていたよなぁと思いいつから演奏しているんだろうと思ったらfun time HOLIDAY 4のthe pillowsとの対バンに行き着いた。マジか。

2番の「譲れないものもある」の歌い方は完全に上げて歌う方向にシフトしたのかな?最近なのかは知らないけどここの歌い方アレンジ加わって気持ちよさそう。

「ステップはこうだっけ」の田淵さんの地団駄ステップ本当に好きで毎回ブログに書きたくなっちゃう。


MC

アンコールありがとうございます!と戻ってくると話を続ける。
最近ますますライブをやることが悪とされる世の中になってきてしまって正直滅入ってます。と感情を吐露しつつ、10月からのツアーもできるかは正直わからない。安全を脅かしてまで強引にライブをするつもりはないができる限り続けていきたい。というようなニュアンスで話を続けた。


君はともだち

このMCの後にこのメロディは染みる。

最後のラララまでもなんかすごく沁みてしまって。
アンコールを挟んだ後に熱量が少しおさまった状態といい、その後のMCといい、素晴らしい方向に作用してしまった。

めちゃくちゃ綺麗な空間だった。

もうちょっと続けます!というと少ししんみりした雰囲気を飛ばすようにテンションが引き戻される

ライドオンタイム

ミラーボールがない代わりに照明が忙しなく回転しまくっている状態に。

Live on the SeatやSpring Spring Sringのライブもあってライドオンタイムといえばこの会場ですよみたいな認識が若干生まれつつある。

回転しまくっているといえば田淵さんがウキウキと斎藤さんの周りをぐるぐると回りまくっていたのはライドオンタイムだったか、ガリレオのショーケースだったか。どっちだっけ。

ガリレオのショーケース

アンコールは秩序を崩壊させましょうみたいな決まりでもあるのかまぁどえらい光景。

田淵さんが1番で謎にマイクスタンドをステージ下手側に担ぎ上げ持っていくがマイクスタンドを倒し、スタッフが冷静に定位置に戻すところから始まり、2番で懲りずに再度マイクスタンドを担いで持って行ったと思ったら定位置から離れたりと暴走もいいとこ。

斎藤さんにギター弾かせてもらったり、マイクで遊んでみたり地面を背中に這いずって斎藤さんを追っかけたり。

一方斎藤さんは田淵さんが不思議な位置にセッティングしたマイクで歌う場面があったが、マイクスタンドの背が足りない状態になっており、姿勢は屈みながら歌う感じになっていたしそもそもマイクの音量が低めに設定されていることもあってその状態で声を張り上げなければいけなかったこともあって地獄。

気づけば貴雄さんは目隠しプレイしてるしシンバルの主張くっそ激しいしバラードを綺麗に演奏していた彼らは一体どこへ...

やりたい放題やって、満足そうにバイバイっ!と帰っていったので今回も 呆然とするしかなかった。

会場にいたらしい崎山蒼志さんのから是非この辺りの感想をコメントしていただきたい。


あとがき

このライブの直前、某フェスを経てうんざりするようなやりとりがやいのやいのあった中で今回のMCがあって相当肩身の狭い立場になってしまったなぁと思いつつ。

最近のやりとりを見て一つ思ったのはそれぞれの立場があるからあいつがどうのこうの、こいつがどうのこうのじゃなくて自分のできることを考えて行かにゃならんね。

考えろって言っていたのは多分そういうこと。
あいつがどうのじゃなくて自分自身はどうなんだよと問われているのだと思ってます。(晒すのではなく)

8年前のリバイバルは残すところ、北海道のみ。

これが終わると10月、本筋に戻ってPatrick Vegeeのツアーが始まる。気が悶々とする一方でやっぱりロックバンドは楽しみを与え続けてくれる存在だなと尚更強く思います。


どうか最後まで無事にツアーが終わりますように。


セットリスト


2021/8/24
UNISON SQUARE GARDEN Revival Tour "CIDER ROAD"
東京ガーデンシアター

セットリスト
01. to the CIDER ROAD
02. ため息 shooting the MOON
03. cody beats
04. ラブソングは突然に 〜What is the name of that mystery?〜
05. セレナーデが止まらない
06. Miss.サンディ
07. カウンターアイデンティティ
08. オリオンをなぞる
09. 光のどけき春の日に
10. いつかの少年
11. クロスハート1号線(advantage in a long time)
12. 箱庭ロック・ショー
13. フルカラープログラム
14. ドラムソロ〜場違いハミングバード
15. like coffeeのおまじない
16. crazy birthday
17. kid, I like quartet
18. リニアブルーを聴きながら
19. シャンデリア・ワルツ
——— encore ———
20. 君はともだち
21. ライドオンタイム
22. ガリレオのショーケース

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