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無知を自覚していないことこそが一番恐ろしい 〜知ってるつもり―無知の科学〜

GW最終日、
「知ってるつもり―無知の科学」 https://amzn.to/3ul5tED
を読みました。
本書は、
「人はなぜ、自らの理解度を過大評価してしまうのか?」
「それにも関わらず、私たちが高度な文明社会を営めるのはなぜか?」
について追究していく本です。

すごくおもしろかったので、備忘録の意味合いも兼ねてあらすじを書いていこうと思います。(ざっくりといくぜ。)
かなり抽象度高めです。

序章 個人の無知と知識のコミュニティ


人間は自分が思っているより無知である(容量にして大体0.5GBらしい)
思考する目的は、行動である
入手できる知識は、自分の脳の内側にあっても外側にあっても利用可能であり、この境界線が曖昧だからこそ、人は理解度を過大評価する

第1章 「知っている」のウソ
ロゼンブリットとカイルという人が「説明深度の錯覚」という実験手法を用いることで、
「人間が、自らの理解度を過大評価している」ことを証明した
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3062901/

第2章 なぜ思考するのか
思考する目的は、行動である
それゆえ、脳は有効な行動をとる能力を支えるために進化した

第3章 どう思考するのか
個人の認知システムの働きは、因果関係の推論である
人間は因果モデルを構築し、それに基づいて推論をする

第4章 なぜ間違った考えを抱くのか
「直観」と「熟慮」と「説明深度の錯覚」の関係で説明できる
CRTスコアが高い熟慮型の人は、説明深度の錯覚がみられない
逆の場合、かなりの錯覚がみられた

説明深度の錯覚の原因は、私たちの中にある直観システムが、自らの熟慮能力を過大評価しているためだと考えられる

ざっくり言うと、直観で「わかりそう!!」と思っても、実は自分はそんなに賢くなくて「わからない」ことが多いよ。ということです

第5章 体と世界を使って考える
人は、外部の視覚情報など利用しながら、思考をしているよという話
例えば、野球選手は物理法則を理解していなくてもフライを取れるということなど

つまり、外部からの手助けがあると、個人はかなり無知ではなくなる

第6章 他者を使って考える
人は、自分の知識と他者のそれとを明確に区別することはできない

私の行動する能力は、ある瞬間にたまたま頭に入っている知識によって決まるわけではない。必要なときにアクセスできる知識によって決まる

つまり、個人としてどのような貢献ができるかは、知能指数より他者と協力する能力によって決まる部分が大きいことを意味する
(これは自分自身仕事の中で結構意識している。自分は何も知らないから)

知識の保管を他者に委ねることのデメリットは、
外から入手できる知識と頭の中にある知識を混同するため、たいていの人は自分がどれだけモノを知らないかに気づいていない

第7章 テクノロジーを使って考える
システムは複雑化していくけれど、利用するのは簡単になっていく
つまり、知識の錯覚はますます強くなっていく
そのため、自分が本当は何が起きているかわかっていないことを自覚する必要がある
良い面としては、
知識のコミュニティを最大限に活かす方法を身につければ、世界中の専門知識を自由に活用できるようになること

第8章 科学について考える
遺伝子組み換えやワクチンを毛嫌いする人の多くは、それらの原理を知らない

第9章 政治について考える
第8章の政治版
例えば、ウクライナの位置を知らないような人が、ウクライナに対する軍事介入を賛成したり反対したりしている

第10章 賢さの定義が変わる
この章がすごく肝。
知能とは???
言語能力、認識能力、空間イメージ能力などいろいろ言われている。
しかし事実として、
「知識はコミュニティの中にある」(人1人が持っている知識などたかが知れているから)
そうであるならば、
知能というのは、個人がどれだけコミュニティに貢献するかというもの(ここが難解。僕は2回目で理解した)
思考が集団の中で起こる
個人の知能は、その個人がチームにとってどれだけ重要な存在であるかを表す
知識のコミュニティという視点で考えると、
知能の中身は、言語能力などに加えて
他者の立場を理解する能力など、
はるかに広範なものとなる
だからタイトルが「賢さの定義が変わる」なのだ
結論
異なる能力を持った人がバランスよくいることが、有能な集団には必要
「知能は個人ではなく、コミュニティに属する」
集団として仕事を遂行する能力が大事

第11章 賢い人を育てる
何を知らないかを知ること
それこそが本物の教育

第12章 賢い判断をする
知らないことへの対処方法が何よりも大事
「知ってるつもり」が一番危険
まさに無知の知


こんな感じです。
おもしろかったー。
普段から周りに頼りまくっている僕ですが、
この本を読んで、さらに「周りを頼ろう」という気持ちになりました。

それと同時に
自分はコミュニティの知能の中のどのピースを埋めているかも意識していこうと思います。

持ちつ持たれつ、それが人間の本質なのかなと思いました。


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