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マネーの哲学:「お金」と清く正しく美しく向き合う知性

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全ての物質は時間と共にやがて朽ちる。しかし、増減こそすれど価値まで失わない「お金」は、「複利」と並ぶ人類史上最大の発明品といわれる。 20世紀初頭に「自由貨幣」を提唱したドイツの… もっと読む
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#経済

なぜ海外機関投資家は投資先企業のダイバーシティーを促したいの?〜データ解析から見えた意外!?な事情〜

なぜ海外機関投資家は投資先企業のダイバーシティーを促したいの?〜データ解析から見えた意外!?な事情〜

 上場企業に対して人材のダイバーシティ(性別・年齢・人種・能力・障がいなど)を促すことが上場市場(≒ガバナンスコード)から求められています。表面的なダイバーシティとして、トークン(象徴)のように女性役員を増やして株主アピールをするのではなく、将来的なことを見据えて管理職のダイバーシティ、誰もが働きやすい環境作りなどの長い目で見たダイバーシティ構築が求められています。下記の記事もあるように、最近では

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コメを安く作るのは本当に吉?

日本は「より安く」を長らく追求してきた。そのために、まっとうな価格で食品を買う購買力を失い、世界から食料を調達する力を失いつつあるのではないか。 https://bookplus.nikkei.com/atcl/column/022700209/022700003/index.html?n_cid=nbpbkp_twed&twclid=2-5ueun647u3eiiqgxboaeg470a

「日

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【賃上げ】賃金はどうしたら上がるの?~正規と非正規の賃金格差問題も交えて考える

【賃上げ】賃金はどうしたら上がるの?~正規と非正規の賃金格差問題も交えて考える

こんにちは。
フォレスト出版編集部の森上です。

物価は上がっているのに、賃金が上がらない。いつまで辛抱すればいいのか? 多くの人が思っているところでしょう。

昨日(1月23日)、経団連と連合の労使トップが会談し、2023年の春季労使交渉が始まりましたね。

報道によると、労使ともに賃上げに強い意欲を示したようですが、円安や物価高による資材高騰で価格転嫁が思うようにできず利益確保に苦しむ企

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お金と花伝書

お金と花伝書

お金の勉強。

魅力的な人は、“得意”を磨いて他者に価値を提供する。だけでなく、“苦手”をアウトソーシングしてじゃんじゃん雇用を生んでいる。得意なことで誰かをしあわせにし、苦手なことでも誰かをしあわせにしている。その営みが、そのにぎわいが、世の中を豊かにしてゆく。自分の得意を知り、磨くこと。そして、気持ちよく“苦手”を人に頼むこと。目の前の人を喜ばせる知恵。なんとも、あっぱれ。

月に一度、対話す

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円安メリットは海外エンタメにあり

円安メリットは海外エンタメにあり

元宝塚歌劇団宙組のトップスター、和央ようかさんのライブに行ってきました。ハワイ在住の和央さんらしい演出や選曲でした。時節柄、簡単にはハワイに行けないので、気分だけ存分にハワイを味わいました。

ハワイに簡単に行けない理由は、コロナ感染が増えているから、ではありません。旅行料金が高いからです。円安と原油高のせいで、海外渡航費用が値上がりしてしまいました。

ハワイに行けなければ、スパリゾートハワイア

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「前門のインフレ、後門のリセッション」~ECBに何が起きているのか~

「前門のインフレ、後門のリセッション」~ECBに何が起きているのか~

2か月続いた情報発信の混乱
注目された7月のECB政策理事会は預金ファシリティ金利を▲0.50%から+50bp引き上げ、ゼロ%としました。利上げは2011年7月以来で約11年ぶり、+50bpという利上げ幅は2000年6月以来、約22年ぶりとなります:

また、2014年6月に導入されたマイナス金利の歴史も8年で幕を閉じることになりました。さらに今会合では分断化対応のために提示された伝達保護措置(T

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ボーナスの現状と、その使い道

ボーナスの現状と、その使い道

column vol.710

本日、我が社では夏のボーナス日だったということもあり、今回はこの話題でお話しさせていただければと思います。

まず、「Job総研」を運営するライボの「2022年 夏ボーナス実態調査」によると、70.0%が「支給あり」だったそうです。

では、金額などはいかがだったのでしょうか?

民間企業は増加傾向に一般社団法人日本経済団体連合会が発表した『2022年夏季賞与・一時

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ラーメンの値段を考えてみよう

ラーメンの値段を考えてみよう

ラーメン屋を始めてからずーっと思っていることを先日つぶやいた。
想定以上の反響があり驚いた。
というよりも、今までおざなりにされていた、いや目を背けられていた事実の蓋がうっかり開いてしまったという感じかもしれない。

つぶやきの内容はこれだ。

ラーメン業界に入って25年。
ラーメンの味作りをして18年くらいになる。
多くのラーメン職人が入れ替わる業界の根底にあるものはなんだろう?

それは自分の

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多様化する世界の外貨準備運用~非ドル化は止まらず~

多様化する世界の外貨準備運用~非ドル化は止まらず~

再び過去最低を更新したドル比率

3月31日にIMFから外貨準備の構成通貨データ(COFER)が公表されました。為替市場を中長期的に展望するにあたって重要なデータであるため、筆者は定期的に観測しております。1年前もnoteでは議論させて頂きました:

世界の外貨準備は2021年12月末で12兆9373億ドルと前期比+800億ドルと3期連続で増加しました。昨年10~12月期に関し、期末と期初を比較す

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スタグフレーションが始まった - 自分を守るために

スタグフレーションが始まった - 自分を守るために

こんにちは。僕は仕事でテクノロジー分野の会社経営と投資をしています。いつも世の中の動きを調べて、「世の中がこう変わっていくだろう」と考えながら仕事をしています。最近、日本を含む世界全体で「スタグフレーション」という大きな世の中の流れが始まりました。

スタグフレーションは、社会全体がじりじりと貧しくなる現象です。いま生きている多くの人は、いまの暮らしが当たり前で、これからもずっと変わらないだろうと

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シルビオ・ゲゼル入門 減価する貨幣とは何か/廣田裕之

シルビオ・ゲゼル入門 減価する貨幣とは何か/廣田裕之

デジタル通貨が普及はじめたいま、お金に色をつけることは可能になっている。

色をつけるとはどういうことかというと、誰がそのお金をいつどこで何のために使ったかを明らかにできるという意味でだ。色をつければ当然不正な利用、やましい利用はできなくなる。なぜ富む者がさらに富み、貧する者がさらに貧しくならざるを得ないかも明確になるはずだ。税金が何に使われ、支払った代金、寄付したお金の利用用途も明確になり、お金

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成長がなくとも分配できる

成長がなくとも分配できる

前回、成長と配分との関係を整理する論考を書いた。結論をシンプルにいうと、成長がなくても配分できる、ということである。そして、GDPの成長と分配は直接は関係ないということである。

これを書いたのには、以下の問題意識からである。

それは、お金という基本的なことを、誰にも分かるように説明しているメディアや専門家があまりいないことである。多くは経済の専門用語や概念を前提に報じられることが多く、普通の人

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「悪い円安」の読み解き方

「悪い円安」の読み解き方

「悪い円安」の意味
「悪い円安」というフレーズがそこかしこで目に付くようになってきました:

2013年、アベノミクスに疑義を抱く向きにおいては「輸出の増えない円安に持続的な景気浮揚効果はない」との基本認識が強調されてきました。当時、そのような主張をすると酷く批判されたもので、例えば筆者も当時は以下のようなコラムを書いたりしたのですが、やはり大変な批判を受けたことを覚えております(これは2014年

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消えてなくなる詩のようなお金を夢見て

消えてなくなる詩のようなお金を夢見て

ケイト・ラワースの『ドーナツ経済学が世界を救う』を読んでいて、こんな一文に出くわした。

新しい経済の自画像には、世界のなかにおける人類の位置も反映されなくてはいけない。昔から西洋では、人間に自然を足もとにひれ伏させ、好きなように利用する存在として描かれてきた。「人類に自然に対する決定権を取り戻させよ。自然は神によって人間に授けられたものなのだから」と17世紀の哲学者フランシス・ベーコンは述べてい

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