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2024年2月 月報

【報告・雑感】

2月はあっという間。落語観たり映画観たりイベント行ったり本読んだりして、後は低気圧に負けてゴロゴロしていたら終わった。

下北沢のB&Bのイベントに2週連続で参加。
2月4日はちょうど予定が空いてて、山本さんが出るというので、「文化系トークラジオLife 文化系大新年会2024」を見に行った。登壇者たちが流れるようにオススメ本の紹介を繋いでいくのがすごい。工藤さんのリストの中に、ちょうどその日に読み終えた『実験の民主主義』が入っていたのも嬉しかった。
翌週9日はスズキロクさんの別冊のん記刊行記念イベント「当てろ!天才妻の生レコードおつかい体験会」。小沢健二以外の音楽に全然興味がないロクさんが、夫や友人からのお題をもとにレコードを買ってくる企画。今回は買ってきたレコードをその場で流すためにDJセットが用意されていて、パッと見DOMMUNEのイベントみたいでもある。

かけたレコードがオザケンっぽくないと途端に怪訝そうな表情になるロクさんが面白い。ジャケットに載っていた「脇を固めるバックメンバー」の図像に笑った。

落語会にもよく行った。
渋谷らくごには5公演。春風亭朝枝さんの「甲府い」。後半、善吉が婿入りの話を持ちかけられて喜びのあまり、泣き崩れるシーンが印象的だった。三遊亭青森さんは掟破りのひと公演で3席、トリは最近取り組み始めた圓朝ものの長講「菊模様皿山奇談 皿塚の由来」。権六が主を諫めるシーンの魂の叫びがものすごい迫力で、この気迫を出せる二つ目ってすごすぎるのでは……となった。立川らく兵さんは小噺ひとつでサクッと会場を掴んで「粗忽の釘」に入ったのがカッコよかったな。文蔵師匠「転宅」・圓太郎師匠「妾馬」に挟まれた、三遊亭花金さん「貧乏神の良心」も淡々としながら健闘していた。
ブラック師匠の企画「英国密航を聴く会」が楽しかった。講談⇒浪曲⇒落語で、リレーではなく全く同じ演目をやるのだけど、各芸能と演者の個性が光っていて、ずっとゴキゲン。開演前に話しかけられて、会場の照明の加減で一瞬誰かわからなかったけどわかしょさんだった。先月渋谷らくごに一緒に行った際にブラック師匠の話をしたら、それからどんどんブラック師匠に興味が湧いたらしくて、最近は独演会にも足を運んだみたい。やはり、好きな落語家が1~2人見つかれば、急激にハマるジャンルだな、と思う。

シブラク以外で衝撃だったのは、笑福亭茶光さん・三遊亭小とりさんの「T・バードの会」。小とりさんの「シューズ」が、何言ってるかわかんない瞬間とワンダーな瞬間しかなくて凄かった。言ってることは支離滅裂なんだけど、場面ごとの映像は脳内にびゃっと広がっていく。しかしあれは語り口が洗練されてしまうと面白さが半減する気もするし、小とりさんは定期的に観に行きたい気持ちになった。

ハードディスクに録りためた映画も少しずつ観ていって、『その男、凶暴につき』『七人の侍』など未見だった名作もやっとこさ観れた。『その男~』は終盤の決着シークエンスがめちゃスタイリッシュでかっこよい。『七人の侍』はさすが歴史に残る名作だなぁという面白さで、ちゃんとキャラクターを好きにさせた後に、そのキャラが命を散らしていくので切ない。三船敏郎の菊千代は全編最高。勝四郎が久蔵に「あなたは素晴らしい人です。私は前からそれを言いたかった」と伝えるシーンも好き。
新作映画では『ボーはおそれている』にかなり食らってしまった。イヤな場面のオンパレードなブラックコメディを「怖ぇ~」とか言ってニヤニヤしながら観るつもりが、全編ほとんど半泣き。家族との関係性やユダヤの宗教性など色々な切り口の解釈があるが、僕はずっと、自責についての話だな、とも思っていた。端から見れば恐ろしく見える対象も、本人にとっては何かの恐れや感情の波に揉まれる最中にあり、それが外部から見れば意味不明な恐ろしいものとして表出しているかもしれない。だとすれば、あの時の自分の言動も誰かを傷つけたのではないか。あの時の自分は、相手にとって恐ろしい存在だったのでは……?しかし、それを改めて掘り返し償う勇気もなく、後ろめたさを感じながら、忘れた頃にやってくるしっぺ返しと裁きに怯えて生きていく、その感触は僕にも確かに身に覚えがあり、人生はそれが長く長く長く続くことなのかも、と思うと背筋が冷えた。

「群像一年分の一年」はできれば2月中に完結したかったができず。それでも一本は更新した。3月の早いうちに、最終回を書きたい。文フリに出すかは未定だけど、機械書房の岸波さんから「本になったらお店に置きたい」と言っていただけたので、何かしらZINEとして作りたいと思う。今回も歌集「傑作」と同じく、もりたにデザイン等を相談する予定だが、もりたもめちゃくちゃ大変になっちゃったので、都合を相談しつつできるペースでやります。

西田さんとLINEで食べたものを報告するレコーディングダイエットをやっているんだけど、そのやり取りの流れで、西田さんの職場の同僚がチョコザップを始めたら一ヵ月で結構やせたと聞いて、勢いでチョコザップに入会した。20日に入会してからは毎日数分でも立ち寄って、ちょろっと筋トレするようにはしている。最寄駅から家に向かう間に店舗があるので助かる。機械も使いやすいし、うっすら筋肉痛にはなるものの、そんなにヘトヘトにはならないし。

3月は既にもう金欠の予感があり、ちょいちょい観に行きたい落語会や映画などもあるので、食費を少し抑えてチョコザップに行って結果にコミットしてやろうと思う。

【今月の読了本リスト】

岡野大嗣『サイレンと犀』
宇野重規(著)、若林恵(聞き手)『実験の民主主義』
『紙背 2023年11月号』
榊原紘『推し短歌入門』
松波太郎『背中は語っている 〈からだのことば〉をときほぐす東洋医学』
岸政彦、柴崎友香『大阪』
我妻俊樹、平岡直子『起きられない朝のための短歌入門』
東直子『レモン石鹸泡立てる』
石田夏穂『黄金比の縁』

【今月の一曲】

ときめきだけ大事に。

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