#恋人を喪った安田短歌 十首連作「推定時刻」
「あの日から一年」何をしてきたか詰問されずニュースの終わり
追悼は夜 定時には帰宅しろ 上司のメモの強い筆圧
キャンドルの列に加わることも無く温い車両に身を押し込める
ただいまと言わなくなった いつからか数えればわかるが数えない
君が消え去った推定時刻まで待つ あくまでも推定時刻
夜空より暗い瞼の裏を見るための微かな黙祷だった
焼け野原だったんですよこの町も涙こらえた僕のこころも
この風のどこに居ますか僅かでも触れる場所で舞っていますか
もう何か忘れているのかもしれず君のかたちを指でなぞった
ベッドへと倒れて気づく ああ君は次の朝日を見れなかったか
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