#退屈な日々にさようならを短歌 10首連作「なにもしてない」
今泉力哉監督の映画「退屈な日々にさようならを」からモチーフを得たり、インスピレーションを受けたりした短歌です。作品に出てくるシーンを切り取ったり、描かれていることから発想して作りました。直接的なネタバレにはなっていないと思いますが、映画を観るつもりの方は、鑑賞後に読んでいただくことをお勧めします。
退屈な日々に別れを告げるとき鼻歌なのに少し上擦る
思い出し泣き 思い出し笑い 外から見てみるとなにもしてない
駆け回る女たちには帰る場所があるだろうか はなむけの花
ありったけ西瓜の種を呑み込んでみても平和な夏の隅っこ
終わるって悟られぬよう木木(々は書きたくない)に水を遣る
犬が鳴く理由をずっと考えていた君のことを考えてた
トーストを噛み破る音 永訣を迎える者は皆ひとりきり
危険ですから遊具には近寄らず思い出たちを投げ合いましょう
不在にもグラデーションがあることを黙して示す画質は無情
死ぬことを選べる人と知らぬまま同じ食事を囲んで笑う
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