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049.kuchek(クーチェキ)についてのメモ その3 インタビューのこと

kuchekでは原則的に、自筆による記事をメインコンテンツとしては掲載しないことにしている。kuchekはあくまで、「自分の考えを発表する場」ではなく、「知人・友人が興味を持っていることや考えていることを引き出すための場」として運営しているからだ。一応、編集後記を定期的に書いているが、これは「個人運営のため、誰が運営しているのか顔が見えた方がいい」「編集・運営目線で解説を加えることで、記事を読んでもらうきっかけを作る」といった目的によるものだ(ちなみに、これを書きながら4月の編集後記を忘れていたことに気付いたので、5月末にまとめてアップしよう)。

もうひとつ、自筆の要素がある記事がインタビューだ。

神玖さんのインタビューは、Twitterでのやりとりを基にしており、そもそも記事にするつもりはなかったものだ。話を聞いているうちに、これは面白いなと思ってそのままやりとりを編集し、インタビューとして落とし込んだ。
今、神玖さんとのTwitterでのやりとりと、アップしたインタビュー記事を比較しながら読んで見たのだが、会話の流れはほとんど同じな一方で、言い回しや語順を調整したり、ひとつのツイートを二つの発言に分けたりと、細かい調整は結構行なっている。

もうひとつの記事はあやのさんへの香水インタビュー。あまりのボリュームになったため、前後編に分けた。特に前編はnoteの公式にもピックアップされ、おそらくkuchekの中では一番反響があった記事だと思う。これは今年の年明け早々、あやのさんの自宅まで行って収録したものだ。
あやのさんに記事を書いてもらうのではなく、インタビュー形式にしたのにはいくつか理由がある。まず、一つの記事として書くには「香水」というテーマが大きすぎること。例えば他の単発記事は一つの作品をレビューしたものや、おすすめデートスポット3選のように、テーマをかなり絞っている。「これを書く」と決めてあればいいが、ざっくり「香水について」というお題では、どの情報を詰め込めばいいか判断が難しくなる。特にその分野に詳しい人が、初心者に向けて情報を発信する時には「どれくらいの前提知識から伝えるべきか」を見誤ってしまう場合もある。そこで、香水について知らない読者を想定するのではなく「香水について全然知らない僕」という対象に対して伝えてもらう形式を選んだ。
また、あやのさんはしゃべりの方が突発的に面白いフレーズが出そうだとか、香水がある場で話した方が色々と展開が盛り上がりそうだ、とか、そういう読みもあり、インタビューを選んだ。

神玖さんの記事もあやのさんの記事も、「特定のジャンルについて詳しい人が詳しくないインタビュアーに説明する」ということで形式が共通している。ここで、僕がインタビューする上で意識していることを思い付くままに挙げてみたいと思う。

・インタビュイーのパーソナリティから入る
インタビューの対象が有名人だったら話は別だが、神玖さんもあやのさんも一般人だ。知らない人が急に「化粧品って」とか「香水とは」と言いだしても、読んでる側としては「なんであなたがそんなに広いジャンルについて語るの?」となってしまう。そこで、いきなり「香水ってなんですか?」みたいな大枠の質問から入るのではなく、インタビュイーのパーソナリティがわかる質問から入っていく。よく分からない語り手ではなく、「リップを40本持っている化粧品オタク」「166本を自宅に取り揃える香水好き」の目線からそのジャンルを語っているんですよ、ということを最初に示しておく。

・オウム返しではなく、言い換えてまとめる相槌を打つ
聞き上手になるテクニックとして、相手の言った言葉をそのまま繰り返す「オウム返し」が有名だが、インタビューする際には「相手のいった言葉を、自分なりに噛み砕いて、別の表現で繰り返す」相槌を入れるようにしている。相手の「~なんです」に対して、「それって…ってことですよね」「例えば○○な場合は、◆◆ってことですね」という具合だ。
これによって、インタビュイーは「この人は表面上だけでなく、ちゃんと自分の発言の意味を理解してくれている」と感じられ、語りのテンションが上がる。
また、表面上は同じ言葉であっても、実は聞き手の理解が間違っているというケースが多々あり、「オウム返し」ではそのすれ違いに気付きにくい。別の表現に言いかえることで、聞き手の理解が間違っていた場合にはそれに気が付きやすくなり、より正確に内容を捉えたインタビューがしやすくなる。

・具体的な情報を聞く
例えば「化粧品が好き」と言っても、「化粧品でキレイにメイクするのが好き」なのか、それとも「化粧品を集めることが好き」なのかで話は大きく変わってくる。また、単に「たくさん香水を持っている」というより、「166個を自宅に揃える香水好き」といった方がインパクトもあるだろう。このような具体的な情報がそのままインタビューの密度になるのだけど、割とインタビュイーは普段からそこまで具体的に言語化して考えているわけではない。「とりあえず、なんとなく、これが好きだなぁ」という感じだったりする。そこで聞く側としては、Yes or Noで完結しない質問を提示することで、インタビュイーと一緒にその「とりあえず」や「なんとなく」を具体的な言葉に落とし込んでいく必要がある。神玖さんからはインタビューのやりとりのあとで「自分でも色々気付くことがありました」と言って頂けたのだが、このようにインタビュイーが聞かれて初めて気付く質問を投げかけれるとある程度成功だな、という感じがある。

ここから文字起こしして、記事にしていくわけだが、記事編集についてはあまり自分の中で言語化できていない部分が多い。誰かインタビューしてくれないかな。

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