100万円も逃したことだし、日本語教室の話をする

こんにちは。前回バイトの話をしてから一か月が立ちました。そろそろ辞めるんですが、相変わらず病的にユルいし、バイトリーダーのフィリピン人は薬剤師と離婚した。また、あるアイドルグループ4人のうち2人が新人で入ってきて、私は入店2か月目にして教育係的なやつを仰せつかってレジ打ちとか品出しを教えた。メチャカワで最高。「【漫画】推しのアイドルになぜかバ先の薬局でレジ打ちを教えてる件 1/4」1.6万リツイート 3.3万いいね!

あと密かに100万円を逃しました。まあ、期待はしてなかったんですが……もしかしたら不労所得で100万円手に入ると思うと期待しちゃうよね。

というのも、これに応募してたんですよね~

目を引くタイトルとしておおきな金額を持ってきたわけですが、別に全然メインディッシュの話ではないので手短に言いますと、「日本語教育能力検定試験」とゆう日本語の先生になるための試験に合格した大学生は給付型の奨学金に応募できるよ~的なやつですね。ただ、過去にツイッターで「奨学金もろたで!」て奴が一件も引っかからなかったのでそもそも存在自体が私に疑われている。まあ、こんなうまい話はないよね~夢を見せてくれてありがとな

潜在的に申し上げましたのは、昨年「日本語教育能力検定試験」とゆう毎年10月に行われる長い名前の試験を受けていたんですね。なげ~

日本で日本語教師になるにはだいたい3つの方法があって、①420時間の専門講座を修了する ②大学で日本語教育を専攻する ③この試験に受かる て感じなんですね。私は(少なくとも受験を決めた時点では)特に日本語教師になりたかったわけではないのですが、夏休み暇だし、なにがしかの検定試験でも受けるかな~野菜ソムリエかひよこ検定かきのこ鑑定士かな~みたいな感じでカタログをあさっていたときに目に留まったこの試験を受けることにしました

これがさ~結構おもしろかったんだよね 試験の話だけしてるともう1つ記事が書けそうだしそのうち合格体験記とか書いてアクセス稼がせていただいてもいいんですが(普通は養成講座に一年間通って50万くらい予備校に払うところを実質2か月で市販の教材3冊だけ使って一発合格しちゃうあたり、なかなかの好成績だったんじゃないですかね。かっこい~)出題範囲がなかなかに広くて、日本人だと逆になかなか気づけない日本語のヒ・ミ・ツとか(文法とか音声学とか)教育心理、教授法、社会言語学、日本の移民の状況とか留学生政策とか在留外国人の話とか、結構多岐にわたって東京オリンピクに向けた教養が身に付いた感じがする。オリンピク、家族がめっちゃ申し込んでるけど絶対に行きたくないから絶対チケット当たってほしくないな~

わたし的には勉強していて超・メッチャ・楽しかったので、さて忘れないうちに実践でもするかなということで合格証書が届いた12月から何となく探して、見つけた公民館に飛び込んでボランティアすることにしました。さて、週一で夜7時から2時間だけ、日本語の先生になることに。

まあ予想はしてたけど先生方はほぼ全員おじいちゃんおばあちゃんだよね 全員孫がいる。すぐ孫の話する。

学習者は(うちの教室ではまなぶ外国人を「学習者」、おしえる人を「スタッフ」と呼ぶことを徹底している。なぜなら一方的に教えるのではなく、俺たちはお互いに学び合う関係だから……)夜7時からのクラスなので大体社会人の外国人が多い。中学校で「ネイティブの先生」をやってるアメリカ人とか(ネイティブの先生、懐かしい響き!なんか数人いたよね~。なんとなく異色の存在だったけど、こうやって生きてるんだよね~)、ソニーのロボット技術者として転勤してきた寮住まいのイタリア人とか、丸亀製麺のTシャツを着ているメキシコ人とかいる。

でさ、超楽しかったんだよね~~~私、日本語教えんの結構向いてるのかもしれない。相手の母語とか趣味とか学習姿勢とかに合わせてトピック選んだり、伝え方や例に持ち出すものをその場でうんうん考えたりするのが楽しすぎる。あと、こういうことがちゃんと楽しいと思える自分がちょっとうれしかったよね~わたくしはカンボジアに出張して現地の子供たちと適度に戯れつつ地元に小学校を建てたいと人生で一度も思ったことがなかったのですが、そんなエゴい自分でもボランティア精神とゆう感じの利他的な感情がきちんと備わっていると気づくのはいい感じだよね~

あと、単純に言語学・音声学的にも学ぶことが多く、教室に飛び交う学習者の声々を聴いているだけで超・楽しい。私はいろいろな言語をたわむれにかじってきたわけですが、最終的に行き着いたのは「外国人学習者が話す日本語に香る彼らの母語」というのがとても面白くて一番興味深いナ~ということです。文法や発音などのまちがいという本来は排除すべきファクターが一番母語を反映しているのって、めっちゃおもしろくない??母語干渉とゆうやつですね。それぞれの人が背骨に持っているナショナリティや育ってきた環境が、遠くファミリーツリーの離れた日本語を話すときにふっと香るのがなんだか美しくていいな~と何度もおもいました

そんなこんなで知的インスパイアを(知的インスパイア、かっこい~)とても受けたわけですが、それ以上に「住んでいる町にやってきた住民」についての実情についても肌で感じられた気がします。私が中国人の院生にゼミ発表で使えるボキャブラリーを教える間、同じテーブルでは研修生としてやってきたベトナム人が動詞のテ形に苦戦し、頭越しに看護師の実習生のタイ人が看護用語の教科書で試験勉強に勤しみ、中国の少女が中学校の勉強を教えてもらい、語学学校と技能研修の二足のわらじを履いた少年が居眠りに落ちる。ああ、うちらの町はこうなっているんだな~と素直に思いました あと外国人の日本語の発音をカタカナで表記して馬鹿にするテレビ番組とかにかなり腹が立つようになったので、人それぞれ生きている環境によってコンプライアンスとか逆鱗とか倫理とかって全然違うんだな~と自らの心の変化に社会学的に感心しました。

スタッフ同士で受け持ちの学習者の進度について相談し合ったり、例の福祉大学の事件について眉根を寄せてコメントを寄せたり、全然普段の会話では触れもしないような領域の会話をしたりして(普段の会話とはいいますが、サークルを辞めてから毎日ゼミ以外は特に誰とも話さずにネットフリックスを観ながらお昼を食べていたので、日本語教室で話すのが一週間で一番長かったですね。大学のお昼休みだけでストレンジャーシングス1期を観終わってしまったんですが、スティーブがかわいい)。もともとスタッフの条件が経験/資格だったので、相応に面白い経歴の人が多くて話しているだけで楽しかったです。あとスタッフ仲間の他大の言語学の教授と仲良くして頂いて毎週教室後に夕飯食べながら言語学の話で盛り上がるのは本当にプライスレスの時間だったな~と思います。人間、動けばつながるもんだな~

それでも既存の共同体に飛び込むというのは案外難しいな~と最初のころはたまに感じたりした。私はこどもの日と七夕の運営係だったのですが、「若いんだから花よ、やんなさいよ」ということで全員の前で「こいのぼり」の歌を歌うというめちゃ恥ずかしい役回りを半ば強引に任されてしまい、ほんとはメッチャ嫌だったけど「はい?やりますが?」みたいな顔で涼しい感じでちゃんとやったので、そこで初めてスタッフ~の共同体に仲間だと認められたような感じがしました。それからは別のテーブルのスタッフからも積極的に話しかけられるようになったので、こどもの日は私にとって通過儀礼(イニシエーションと読む)だったんだな~とたまに思い出します。ま、ライオンと戦うよりは全然いいよね~

七夕の日はスタッフのおばあさま方が全員平然と学習者の浴衣をてきぱき着付けてたので、世代リテラシーやべ~~!!!とアガった。あと学習者たちが書いた短冊たちを眺めてなんだか心がギュ~てなった。趣味半分に楽しんで学習しているオタクの方々や、日々の生活を生きるために必死に学習している研修生の人々や、それぞれがそれぞれに日本語とひたむきに向き合う環境はいつも和やかに凄まじかったなあ。

最後の教室の最後の日に受け持ちの学習者からお手紙をもらって、帰りの中央線で読んで超泣いてしまった。すごいね。言葉とは……みたいなね。この私が誰かにサバイブと自己表現の道具を少しだけでも与えたんだと思うと、月並みですけども超感動した。てゆうか手紙っていいよね。手紙超好き。私の名前の由来も「手紙」だしね~ 
そして合唱部引退した時以来に感じた「共同体に他でもなく自分自身として必要とされているぜ」というほの暗く悪い喜びをも覚えてしまった。

知ってる人が知らない母語で話しているのが好きだ。その人の中にもう一つ銀河系があるように感じる。まったく知らない言語体系が星の渦のように血液の中にうず巻いているようだから。私たちが日本語の文法を説明できなくても母語話者同士で互いに詰まることなく会話できるように、一概に整理しがたい言語というふしぎなものが一人ひとり脳の中に根付いている。外国語を習うということは、心の中に住んでる場所とは別の銀河系を持ち込むことであって、最初は水たまり程度ほどの単純な体系が学習を重ねることでやがて池になり、沼になり、海へ流れて星になるんだと思うと、誰かにそれを注いでみたいという欲求が芽生えてしまう。なんにでも牛乳をそそぐ女!

めっちゃ真面目みたいな話を書いてしまった。読み返しても全然読みごたえがなくて面白くないので、(しかもなんでこんなに文体がふざけてるんですかね。照れてるのかな)次回あたりアイカツの話とかして中和しないと真面目成分でドロドロの血液が体内で凝固して死んでしまう

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