一週間スウェーデン語を習得してみた

こんにちは。前回に引き続き一週間ぶりのやつです。結果発表。

先週は真面目にこつこつ語学に励みました。こつこつ励み過ぎて文章の書き方を忘れてしまったので淡々とやります。

今回はMondlyという語学学習アプリの一週間無料お試しを使って勉強するつもりだったのですが、アプリの仕様にミスリードされて普通にお試しじゃなくて1年分払ってしまったのでめっっちゃ腹を立てています。腹立つな~~~~~~しかしその分30言語ぐらいタダで学習できるので、これからまたいろいろ試してみようと思います。ウルドゥー語とか、トルコ語とか。

本題に戻ります。Swedish. svenka.まずは客観的データから。

こちらが証拠になります。


一週間の総勉強量はアプリによると3時間21分(一日当たり30分弱)、単語410words、フレーズ260sentences。


8日になっているのは植木算の関係です。

単語数はま~なんとも少ないですね。幼児の理解語彙が4000を超えることを考えると旅行者程度の太刀打ちしか出来なそう。だけどわりとこれくらいが定着を図るなら一週間のいっぱいいっぱいかな~という感じ。

続いて文法事項。

そもそもMondlyは外国語→母国語、母国語→外国語の変換を練習することで身に着けていく学習法を取っており、文法解説は一切ない。それを念頭に入れつつ、

肯定・否定・疑問文
人称の格変化(主格・所有格・目的格)
挨拶
単数形の名詞
過去・未来形
need、wish、have to などにあたる補助動詞の使用
いくつかの前置詞の使い分け
数詞

ができるようになった。

これは大阪外国語大学のスウェーデン語学習モジュールのだいたい半分くらいにあたるかな。複雑な時制とかまでにはさすがにたどり着かない。複数形がまだ身につかなかったのは痛いかも。

また気づきとして、人称による動詞の活用はない(ヤッター)が時制にともない動詞が変化すること、なぜか再帰動詞が多い(後述)こと、冠詞が後置詞化する場合があること(いつ発現するのかは分からなかった)。否定詞inteは後置で使う。あと、単語の1/5くらいは英語とルーツが一緒なのでカンでいける。


まずはアプリの構造と学習法について内省してみよう。

前述の通りこのアプリは文法解説がなく、ひたすら単語確認と瑞典→日、日→瑞典を繰り返す。一見「天気」「時間」「恋愛」など話題シラバスに基づいた旅行者向けの構成だが、課が進むにつれて処理可能性理論的に文法事項が増えていくので、配列順にこなすならどちらかというとコースデザインは構造シラバス寄りだ。機械的にこなしても応用の聴かない数フレーズを暗唱する程度しか鍛えられないが、使いようによっては化けるアプリだ。

さて、第一言語習得のしくみには先天的/後天的の2つの説がある。すご~く平たく言うと言語の習得機能、ひいては文法ってうまれつき備わっているの?というものだ。ここでいう文法とはチョムスキーの提唱した普遍文法という全ての言語に共通する文法体系のことです。

今回はインプットをこなすうえで行動主義心理学の、スキナーの提唱した後天的メカニズムを意識した。かれは、

刺激→模倣→反応→強化→習慣形成

こそが子供が第一言語を習得する手順だと考えた。親が子供にあたえる言語インプットを子どもは模倣して、それが合っているかどうか周りの反応を伺いつつ判断し、修正しつつ自分の文法を作り上げて習慣にしていく。アプリの仕様も同じだ。提示された目標言語の文を単語の組み合わせで模倣して正解・不正解を確認し、文法を習得するのである。

ただし、第一言語の場合と違って、日本語など既存の個別文法がすでに自分に備わっている分、この作業には意識的な介入が必要になることに気が付いた。つまり、目標言語の文から文法事項を類推するという作業を、刺激と模倣の間に挟まねばならないのである。この段階ができるかどうかが、アプリMondlyの強みを最大限に引き出せるかの分かれ目だ。

たとえば、

Familijen är inte liten.

(A family is not small.)

というフレーズを見て、まずはinteが否定詞であるという予測を立てる。この語順は英語と同じなので、なるほど、使い道は英語に倣えばいいのね、とおもう。「家族」という課のFamilijen、be動詞är、進出単語litenは最初の単語学習で習得済みだ。

次に、

Jag föstår inte ordet.

というフレーズが出てくる。ここで「お?」と思うのは語順だ。逐語的に訳すと、I understand not the word. となる。そう、否定のinteが動詞の後に来ていることに気づく。このような、既習の言語と目標言語にみられる違いをインプットから自覚し、自分の中に作り出した目標言語の文法をそのつど修正していくことが、中間言語を目標言語に近づけていく近道だ。そして、

Jag förstår inte meningen.

=I understand not a sentence.

という、同じ文法構造を取った別の文章によって自分の推測を検証していく。このようなトップダウン処理を意識的にしていくことが、とくに有標性の差異の小さい言語において求められるのではないだろうか?


あと学習法について思ったことは、やっぱり音声に合わせて口に出すのは大事だな~ということ。特にスウェーデン語は発音がエグい。先週も書いた通り母音の使い分けがえげつないし、表記通りに発音するものとそうでないものが多いので、今回は説明なしにただインプットを降らせただけでは完全に理解することはできなかった。

あと、アプリで習得した文法の考証に今初めて使った大阪外国語大学の独習コンテンツがめっちゃ良かったので、次に別の言語をやるときはこっちを試してみたい。よくこんなん無料で公開しているな!という充実具合だった。


次に、スウェーデン語について思ったこと。

・いや~語形変化やさし~!!!いくつか言語やってきた中で一番やさしい。ありがとう

・再帰動詞がやたら多い。

「lära sig」が教える、「lära mig」が学ぶ なのがエモい。正確にはちょっと違うんだけど。
läraというのが教える、という意味で、これは必ず目的格を取る動詞なんだけど(sigというのは3人称の目的格)、自分が学習するときにはteach myself (migは一人称の目的格・再帰代名詞)という形をとるのが面白い。ほかに、

gifta sig med X

というのが「Xと結婚する」なんだけど、逐語訳するとmarry oneself with Xという取り方をしていて、marryは他動詞なんだけど目的格に相手じゃなくて自分を取る感じがロマンチックだな~と思った。たぶん”bring marriage (with X)to oneself"という感じ?英語の「Xと結婚する」という感じより、スウェーデン語の「Xとの結婚を自分にもたらす」という印象を受けた。

このポイント、スウェーデン人の結婚観の現れなのでは?と妄想してしまうね。という言語社会学的な話。

・多言語社会において言語は似てくるっていうけど、フィンランドでスウェーデン語とフィンランド語が共存しているのすごいな!と学習していて気づいた。フィンランド語はウラル語族であることからしてまるで別物だ。ちなみにムーミンはフィンランドで書かれたけど、作者の祖母がスウェーデン語話者だったことからスウェーデン語で書かれているんですって。

・IKEAに遊びに行ったとき、子供部屋においてあった本がわりと読めてびっくりした


また気が向いたら別の学習法を使って一週間言語をやるのやってみたい。ケーススタディは単純に6000あるわけだし、いろいろ積み重ねて自分なりの言語学習の考察を構築出来たら楽しそう。

言語学はまだまだかじっただけなので、間違いがあっても責任は持ちませんが気づきしだい修正していきたいね。

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