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快傑スパットの気仙茶摘み記

岩手県沿岸南部の気仙地方で栽培される茶樹から採れる気仙茶。
日本のお茶は一般的に静岡や熊本で採れるものが有名ですが、新潟の村上茶、秋田の檜山茶などと共に日本の北限のお茶の一つでもあります。
気仙の農家や漁師の家が自宅に植えていた茶樹から茶葉を摘み、自家用として製茶して飲んでいたそうで、大船渡と陸前高田の大きめの農家にはいくつか茶園があります。でも茶葉を摘まず自然のままにしている家庭も少なくないそうで、そこで育てている茶樹には樹齢100年にもなる樹もあります。そのような樹には農薬も撒かれることがなかったそうで、近年ではこれらの樹も含めたお茶作りを進めています。

茶摘み時のピークは5月下旬から6月上旬。東北地方なので八十八夜から少し遅くなります。
というわけで、6月1日に行われた気仙茶摘みに参加してまいりました。
雫石の焙茶工房しゃおしゃんさんの主宰で2005年からほぼ毎年(2011・12年は中止)行われています。昨年は仕事が重なって参加できなかったので、2年ぶりの参加です。昨年からは貸切バスツアーが始まり、今年は盛岡から総勢20名(東京からの参加者もあり!)の茶摘みたちが乗り込みました。
午前中は大船渡の立根町にあるやぶきた種の茶園へ。これまでの茶摘みは在来種の茶樹ばかりだったのだけど、気仙地区でもちゃんとあるやぶきた種の茶葉を初めて摘みました。芽も茶葉も大きくて、摘んでも摘んでも後から芽が見つかって時間内に摘みきれないくらいの量でした。いや本当に全部摘みきれなかったのは惜しかった。

お昼は市内に入ったお茶園のオーナーさんが経営するカフェでお弁当をいただき、ほぼ毎回お邪魔しているこのお茶園で午後は在来種の新芽摘み。こちらはやぶきた種に比べるとそれほど大きくはなかったけど、それでもたくさん摘みました。途中通り雨に降られたけど、20分くらいで止んだので助かりました。

2時半にオールアップし、摘んだ茶葉は農協の製茶工場へ移動。我々も移動して製茶の現場を見学。在来・やぶきた合わせて18.9kgで目標は達成とのこと。数週間後に製茶されたお茶が飲めることを楽しみにしながら、我々は大船渡を後にしました。
帰りには陸前高田の市街地に寄りました。ここは8年前から来るたびに寄ってもらっていて、生々しい被災の現場も記憶に残っています。海から離れたところに新たな商業施設も出来、かさ上げも済んで高い防波堤が作られているのですが、それを見ても、まだまだ復興途中だということを感じました。来年の世界的なイベントよりこちらの方に想いを寄せるのは当然です。

それから2週間後のお茶会で、今年の気仙茶をいただきました。やぶきたと在来のブレンドですが、味もしっかり出ていて美味しゅうございました。
初めてこのお茶を飲んだ15年前は、まだ茶葉もそれほど多くなくて、いただいた少量のお茶を実家に持って帰って親に飲んでもらった時には「薄い!」と言われたけど、今は美味しく淹れることができます。
農薬や肥料が使われることなく、地元の動物や植物と一緒に育ったメイドイン岩手のこのお茶、発酵させたら紅茶も作れるし応用して烏龍茶も作れそうです。今後も大切に飲んでいきたいし、これからの展開にも期待したいです。


中国大陸では茶摘みの季節には各地の茶園を転々としながら働く茶摘み師たちがいるそうで、ほぼ毎年茶摘みに来ている我々も市内の茶園各地を回っています。そこで生まれた呼び名が「さすらいの茶摘み」。そして「さすらいの…」と口にした途端、オタクなワタクシの脳裏には、よせばいいのに往年のヒーローの名乗りにインスパイアされてしまい、あるフレーズが閃いたのでした。
「スパッと参上、スパッと摘み取り、人呼んでさすらいの茶摘み、快傑スパーット!」

というわけで、noteらしくないオタクなオチをつけてこの文章を締めさせていただきます。快傑スパットの活躍は、多分来年に続く。

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