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とあるインターネット業界のエンジニアのこれまでのキャリアをゆるく振り返る - vol.5 初めての退職編

禁煙セラピーの内定をもらったは良いもののいつ上司に話そうかまでは特に考えていなかった気がする。転職するとしてもまだ5ヶ月ほどあったのだ。

当時の上司と午後仕事サボって職場近辺にあるパチスロメーカーのショールームに行ってパチスロ打った帰りとかだった気がする。何かのついでの話か何かでこう切り出した。

「来年の3月末で会社やめたいです」

詳しいことは覚えてないが場面は覚えている。こんな感じで上司にふわっと伝えたらそれはまぁよくあるパターンの返答が返ってきた。

「え!どういうこと?」
「なにするの?」
「3年は頑張ったほうが良いんじゃないかなー?」

禁煙セラピーという本を読んでタバコをやめて衝撃的すぎてネットで色々調べていたら日本でフランチャイジーを創業する人がいて、その人と先日会ってきて内定をもらいました。という話を簡潔に話した気がする。

そのあとどうなったかは覚えていないが、さらに上の上司とも話して、「君がそれに挑戦したいなら応援するよ。もしダメだったら戻っておいで」的な感じの優しい返答をもらえた気がする。

ちょっと話は逸れるが、直上長よりもさらに上の上長にはとても可愛がってもらえていたと思う。その上長をNさんと呼ぶことにする。

NさんはWeb周りやFlashや音楽制作など何か色々と手広くクリエイティブなことをやっていて凄いなーと思っていたのでクリエイターとして尊敬していた。サラリーマンなのにカラコン入ってるし、朝会社来ないし、朝というか何日も無断欠勤するような人だったし、仕事中もどこかへ遊びに行っちゃうし、何か色々とぶっとんでいる人だった。

特に夜の街が大好きすぎてキャバクラとかで数百万も借金抱えちゃってたり、家庭を大事にできなかったり、自宅がクラブみたいな感じの独特の香りが放っていて、キャバクラの優待券とかが常備してあったので、よく一緒にキャバクラとか行きまくっていた。

誕生日のお祝いしてあげるよって休日に呼び出されて一緒にキャバクラに連れてってくれたのも今は良き思い出である。確か何件か周ったのだが、最後のお店でNさんが金欠になっていて、指名したキャバ嬢からお金借りて支払っていたのを目の当たりにして何とも言えない気持ちになったのも良き思い出である。そんなNさんが好きだった。

このキャリアをゆるく振り返るnoteで六本木編が出てくる予定なのだが、その六本木に通ずるきっかけをつくったのもNさんである。

これもまた休日にNさんに呼び出されたのだが

「六本木にxx時に集合ね」

みたいな感じで何かの集いに呼び出された。六本木に行くのは初めてで「六本木ってちっさくてせまいな」というのがファーストインプレッションであった。そしてどこだったか忘れたがロアビルの中に入っているどこかのバーに行って、そこでNさんの学生時代からの友人であるAさんという人と出会った。

Aさんはとある広告代理店のバリバリの営業マンで、Nさんが「こいつは歩いてるだけで友達ができるんだ」と言っていた。いったいどういうことだってばよ…、と思いながらこのあとそれを目の当たりにすることになる。

確か夜18:00頃に六本木で飲み始めて、途中Nさんが自分をAさんに預けてしまい、「あとはよろしくー」みたいな感じでどこかへ行ってしまった。Aさんと一緒に残った自分は新卒なのでどうしたら良いかもわからず、ましてや他人である。いきなり他人と放置するなんて酷い話だも思ったが、わくわくの方が勝っていたのもありそのままAさんと行動を共にする。

夜も21時くらいを過ぎた頃だったと思う。Aさんが次行くぞ!とばかりにタクシーを捕まえてどこか見知らぬ場所へ走り出した。一体全体どこにいくのだろうか、タクシーは六本木通りを北上し、気付いたら恵比寿についていた。恵比寿のどこかはわからないが3坪程度の狭いバーであった。

なんかもうかなり出来上がっちゃっている。みんなお酒にまみれてガンガン気持ちの良い音楽を聞きながら、はっちゃけまくっている。これがTokyo!!というかTOKIO!!である。

パリピという言葉はまだない時代だが、パリピは平日はちゃんと仕事しているから偉いと思うが、一旦羽目を外すとこうも開放的になるのか、すげーな夜の世界!と新卒ながらに思った。そうこうしているうちにAさんが次行くぞ!ということでまたどこかに連れて行かれた。

次はどこに連れて行かれたか全然覚えていないがまたバーだったような気がする。そこもまた同じような感じだった。それを3件ほど周ってまた六本木に帰ってきた。

で、Aさんはすべてのお店で全員の顔と名前を一瞬でインプットしていて、かつ気付いたらすかさず名刺とか配りまくっていて何かあったら気軽に連絡頂戴ね!みたいな感じで友達をつくりまくっていた。まさに歩く友達製造機である。コミュ力が高すぎてこれがプロ営業マンか!と感動に近いものすら覚えた訳である。パリピは夜でも仕事をしている。脱帽である。

六本木に戻ってきてAM3時を過ぎた頃に、Aさんにラーメンをおごってもらった。「転職するんだよね?俺はタバコは吸わないけど頑張れよな」みたいなことを言われた気がする。

「俺の若い頃は朝6時まで女のケツおっかけてて、とにかくその時間までにイイ女ゲットできなかったら誰でも良いから女のケツおっかけてた」

みたいな武勇伝も聞きながらラーメンを食べていた。Aさんのおごりと書いたが、Aさんはちゃっかりしていて、すべての店で領収書を切っていた。ラーメンもきっちり領収書を切っていた。さすがである。営業マンたるものすべては友達をつくるための経費にすぎないのである。

その後、AM4:30になろうとしていた頃、2階層上の上長であるNさんが、今はなき六本木のクラブバニラにいるという連絡をAさんがもらったのでAさんとバニラに出向き、Nさんと一緒にいた謎の韓国人の女の子たちと始発まで踊るハメになる。別に踊りたくもなかったし、音楽性の違いというかクラブミュージックも好きではなかったし何より眠すぎてとにかく帰りたかった。

今思えばNさんからの壮行会的なものだったんじゃないかと思う。世界は広いから頑張れよ的なエールをもらった気がする。やはり六本木は狭いという印象しかなかったけど。

それから仕事は普通にしていたが、ちょっぴり事件がおきた。

社内で代表社員会みたいなものをつくろう!みたいなものがあって、それのメンバーを募集していたのだ。自分はそういうのにのっかるのが好きなタイプであったため、即座に応募した。

応募してから数日たったある日、上長に呼び出された。

「まもなく会社をやめるやつがまっとうにそんなものができるのか?何考えてるんだ?すぐに取り消せ!」

みたいな感じだったと思う。

新卒ながらに「は?うるせーよ、なんなんだこいつ」と思いながらもとりあえず応募を取り消した。そしたら今度は会社の偉い役員たちから呼び出された。

「なんで取り消しちゃったの?あなたの上司に何か言われたんでしょ?そんなの取り消す必要なんてないわよ。やる気さえあるならやろうよ!」というような話だった。

当時の感想だが、上長は仕事もしないしスキルもないし、パチスロの引きだけは良かったけど何か割と初期化からいるというだけで偉そうにしてるだけの社内の友達も少ない感じの人だった。vol.1 就活編で内定取り消し願いを出したのもこの人の下で働きたくない気持ちがあったというのもあった。

要領は良い方だったのでこの上司からも可愛がられていたが、意味不明で理不尽に怒られることもあったので結構うんざりしていた。

そしてその上司が偉い役員たちに呼び出され何を話したかはわからないがその後戻ってきて好きにしたら良いよ的なことを言われたがすでに萎えていたので断った気がする。

その後は、やってたECサイトもクローズし、日々の仕事を淡々とこなしていた。相変わらずNさんは会社に来なかった。

そして、2005年3月末に新卒で入社した会社を1年ぽっきりで退職した。

次回、vol.6 禁煙セラピー編 に続く

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