見出し画像

やはり、音楽のちからは大きいなぁ、と実感した日

先日の12日の日曜日、千葉県君津市まで、山下一史&千葉交響楽団&宮田大出演のコンサートに行ってきました。

この日は、朝から寒い曇天の日で、雨もパラついていました。寒がりの私は、この秋初めて、かなり着こんで出かけました(それが、結果的には良かったんですが)。

傘を持つのが苦手な私が、折り畳みの傘を持参したことがお守りになったようです。家を出るとき、若干降られたりもしましたが、君津に着いたころには、薄日が雲間から差していました。それは、コンサートが盛会であることを暗示しているように、私には感じられました。

本当に、盛会でした。若干の空席はあるものの、9割以上の座席が埋まっています。寒い外とは対照的に、いささか汗ばむほどの熱気に満ちていました。

山下さんが千葉響の音楽監督になられて、今年で足掛け8年。この間、君津のホールは、毎年11月になると、山下&千葉響のコンサートを企画してきました。この積み重ねが、コンサートへの集客を上げてもいるようです。

加えて、今回のソリストのチェロ奏者・宮田大さんは相当な人気があるんですね。私自身君津市外の人間ですけれど、東京などからも宮田さんの演奏を聴きに来られていたようです。

今回は、この宮田さんがソリストでのドヴォルザークの「チェロ協奏曲」と、チャイコフスキーの4番のシンフォニーというプログラム。どちらも人気のある大曲です。

さて。宮田大さんを初めて聴きましたが、本当に深くて暖かくて、聴く者を包み込んでしまう包容力をお持ちの音色を響かせてくださいました。以前、仙台フィルの楽団員で、つながりのあるヴァイオリニストの方が、「フラーノさん、宮田さんのチェロは、聴いておいた方がいいですよ!」と、強く勧めてくださったことがあります。仙台フィルの定期演奏会で共演された後、Facebookでコメントのやり取りをした時の言葉だったのでしたが(つまり、私は聴けてないんですね(;^ω^))、それ以来ずっと気になっていたんです。

オーケストラの音を良く聴き込み、対話するように演奏されているように、私は聴きました。黒のスエットのような上下に身を包んで登場され、はにかむような笑顔でお辞儀された後、用意されている椅子に座った瞬間からオーラ全開。宮田さんとオーケストラとの対話に酔うあまり、なかなか最愛のマエストロに目がいきません。宮田さんの表情と音色に惹き付けられてしまったんですね。

身体の一部のように大事にチェロを抱きかかえるように演奏する姿に、私は今春早世したチェリストを思い浮かべていました。彼が無事に成長していたら、この宮田さんのようなタイプの演奏家になっただろうな・・・・。ふっと、彼の熱演する姿が重なった瞬間もあります。

ソリストとオーケストラ、そして指揮者の三者のバランスが絶妙だった名演でした。

ドヴォルザークの熱演の後、宮田さんが演奏してくださったアンコールが、バッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番」から前奏曲。私が、”音楽の父”の作品群で、3本指に入るほど大好きな曲なんです。しかも、コンサートで聴いたのはこれが初めてです。柔らかくて優しい音色。それでいて、底流にある静かな強さをも感じました。この曲を聴くと、私はいつも「いろいろあるだろうけれど、大丈夫。安心して前に進もう」と、肩を抱くように励まされるんですね。

演奏が始まってすぐにバッハのこの曲だとわかりました。その瞬間、このところバッハを聴きたいと願っていたこととも相まって、感謝とともに涙腺が刺激されたことでした。

そして、後半のメインのチャイコフスキー。

前半の興奮を鎮めるかのように始まったのですが。第3楽章での弦楽器のピッチカート奏法(弦を弓ではなく、人の指で弾く演奏方法。つまむ感じになるので、音が跳ねるようなものに聴こえてきます)での、コミカルでもありながら、階段を駆け上がるような勢いある雰囲気が、この後の最終楽章での爆発を予感させたんですね。

私の予感通りでした。先月から、山下さんも千葉響も本当にフル回転です。私などは、彼らの疲労などを案じていたのですが、やはりプロはすごかった! 最終楽章でのはじけっぷりは、それまでの疲労や苦労を吹き飛ばす明るさとエネルギーに満ちていました。それは、激務だった今年の秋を、ともに乗り切った(千葉響との仕事が一番多かった山下さんでしたので)喜びでもあったのかもしれません。

千葉響は、チャイコフスキーの4番を演奏するのは今回が初めてだったそうですが、そうとは思えないほどの見事さでした。両者の信頼関係の深まりを証明する完成度でしたね。

アンコールは、チャイコフスキーの「弦楽セレナード」から第2楽章のワルツ。聴いたことがあるので、知っているものの、曲名が出てこない(^^;
7年前、山下さんが千葉響のシェフに就任されるのを周知する、記念の定期演奏会での前半のメインの曲の楽章だったんですよね。

この作品自体大好きなんですが、私自身は第1楽章とか第5楽章とかが好きなので、ちょっと度忘れしていたみたいです(ホントか? 最近物忘れ多いけれど)。

ただ、優雅に奏でられるその音色は、来年2月に開催される君津定期が、オールモーツァルトプログラムであることをも思い出させました。そして、来年2月のコンサートへの期待も膨らんだのでした。

ちょっと、寒暖差で疲れも出たのか、体調不安定な部分があったのですが、この日の演奏を聴いたおかげで、元気は回復しました。終演後にアクシデントがあって、帰宅がかなり遅れたのでしたが、それでも、今体調が大きく崩れていないのは、最愛のマエストロの指揮の、しかも、良い演奏が聴けたことが大きいと私は確信しています(まぁ、そのアクシデントについては、別記事にします)。

とは申せ、今家の工事もあり、相方ともどもゆっくりできない日が続いてもいるので、しばらくの間は静かにしようと思っています。来月も遠方への追っかけ、待ってますんでね((^^; あ、千葉県内ですけれどね)。

本当に寒暖差大きいです。皆様、くれぐれもご自愛くださいませm(__)m💕💛

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?