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いろいろ我慢させたのだろうなぁーーーアオハシインコの思い出 その2

1年前にこういう記事を書きました。

ここで、我が家に残っていた、アオハシインコのみどりとぐりについて、触れていたのですが、その2羽のうちのみどりが、先日天国に帰りました。

私は、アオハシインコについては、本当に何も知らず、出会った子たちから教えてもらう状態だったのです。インターネットで検索しても、彼らの故郷がニュージーランドであることや、かなり古いお店の情報(つまり、”うちに今アオハシインコがいますよ!”というPRですね)くらいしか、ありません。昨年思い立って検索しても、状況は変わってなかったので、いまでも相当珍しい種族のインコさんなんでしょう。

昨年記事にした中チャンが、本当に陽気で人懐っこかったのに比べて、みどりは、静かな子でした。中チャンは全身黄色だったのですが、みどりはいわゆる“パイド柄”(ブチとかまだらとか訳されますね)。基本は、黄色でしたが、翼のあたりに緑色の差し毛が入っていたり、黒い斑点があったりしました。

また、中チャンやぐりより、一回り身体が大きかった。それで、口数が少ないので、どっしりした風格がありました。好き嫌いは基本的にない子でしたが、そばの実の黒い粒粒は苦手だったようで、むきオーツ(燕麦の皮をむいたもの。割に鳥さんは好きです)を欲しがりました。鳥さんは色がわかりますから、黒い粒がたくさん入っているのは、嫌だったのかもしれません。

果物や野菜が大好き。おやつにあげると、飛びついてきたものでした。大好物の時は、待てなくて、「はよう、よこさんかい!!」とばかりに、手にかみついてきたりもしました。小さい身体ですが、全力でかみつかれると、なかなか痛かったりします。血が出たことも、一度や二度ではなかったです。

我が家に来た順番で行くと、アオハシインコ族では2番目。しかも最初の子が中チャンだったので、みどりにはいささか分が悪かったかもしれません。差別したつもりはなかったし、彼も手乗りでしたから、外に出したりもしました。

ただ、芸達者で陽気な中兄貴がいると、みどりは調子が狂ったようです。やがて、人と遊ぶことを嫌うようになり、かごから出すと、我が家で初めて生まれたオカメインコのサーシャのところに、飛んでゆくようになりました。美しいサーシャに恋をしたのですね。

みどりで、おもしろいなぁ、と、印象に残っているのは、サーシャの冠羽を欲しがったことです。

或る時、サーシャのかごの上に乗っているみどりが、サーシャの冠羽を足でつかもうとしていました。オカメインコは小さくても、オウムですから、頭に飾りのような冠羽があります。この冠羽は、感情表現もするなかなかの優れものですが、インコのみどりにはこの冠羽がありません。

サーシャに恋しても、なかなか相手にしてもらえないみどりは、恋する人の頭の冠が欲しかったようです。それを頭につけたら自分を好きになってもらえると考えたのかもしれません。アオハシインコは、足で物をつかむのがとてもうまいんです。時々うまくつかんだものの、引っ張られたサーシャは怒ってしまって、「痛いわよ!!」と叱り飛ばしていました。

もうほとんどサーシャのストーカーと化していたみどりは、すっかり人との付き合いを放棄してしまいました。むしろ、かごから出して世話をした後、「みどり、ご飯できたよ!」と迎えに行くと、「邪魔をするな!」と言わんばかりに、追い払いに来たりします。サーシャの家は自分のテリトリーと認識していたのでしょう。運悪く咬まれた時の痛さと言ったら! 相方は、鳥さんに噛まれることが好きではないので、本気でみどりに怒っていることもしばしばでした。いやまぁ、私にしても、好んで咬まれたりはしませんがね(^^;

サーシャが逝くまで、ずっとそばにいたみどりでしたが(もちろん、かごは別々です)、最愛の彼女がいなくなった当座は、サーシャを探して部屋中飛び回り、鳴いたものでした。

元来は食欲旺盛で、それがために年中発情している側面もあった彼ですが、サーシャがいないことを認識するまでの数日、ご飯も食べず鳴いてばかりいました。私たちは、彼が後を追うのではないかと気を揉みましたが、やがて立ち直ると、今度は同族のぐりをターゲットにして、アピールするようになりました。

アオハシインコは、小型インコですし、彼らの結婚適齢期は過ぎていたはずですが(今確認できないのですが、7~8歳くらいにはなっていたはずです)、成熟したのかもと、同居させてみたんですね。

ですが、これは大失敗。みどりはなかなか亭主関白の上に、乱暴者の一面があったんです。そのため、本来は気性の強いぐりですが、身体の大きさの差もあって、ご飯が食べられなくなる始末。手遅れにならないうちに、別居させました。みどりが怒ってましたがね(^^;

そうするうちに、もともと口数が少なかったみどりが、急に老け込んできました。ご飯はたべるけれど、以前のような覇気がない。外にも出たがらなくなり、静かに寝ていることも増えてきました。

やがて。或る日相方が、洗濯を終えて部屋に戻った私に告げました。

「ちょっと、みどり、死にかけてんじゃん」

え? みどりが??? 

「ご飯食べてないし、吐いているよ」

食べてないのに吐くのは、勿論異常事態です。鳥さんは、食べたらそれがエネルギーになるという自転車操業です。食べてもないのに吐くのは、具合が悪いのですね。

原因がわからず、いろいろ食事の工夫などをしていて、何故か頭に浮かんだのが昔読んだ、日本で初めての鳥の専門医だった高橋達志郎さんの本にあった、エピソードでした。

ドクターの常連さんが愛鳥のセキセイインコを連れてきた。その子が朝からずっとご飯を吐き戻そうとする。人の食べ物もあげてないのに、と。

それで高橋ドクターが触診をすると、そのう(鳥さんのいわゆる”えさぶくろ”のことで、彼らはここでいったん食べたものをため込んで、徐々に消化してゆくのです)に、なにか塊があることがわかる。そう告げたら、飼い主さんは、「それは、絨毯の繊維に違いない。うちの子は、よくかじっているから」と答えた。

このセキセイさんはドクターの手術で無事、異物を取り除いてもらったとなって、めでたしめでたしのわけですが、これを思い出した瞬間、みどりの食欲不振の原因に思い当たることがあったんです。

みどりは、その長い脚で、かごが入っている収納設備にかけてある布に穴をあけるのが得意だったんです。穴をあけているのに、繊維が落ちていない。つまりはみどりが食べていたらしいのですね。

元気な時にはなんとかなっていたのでしょうが、年を取り、気力・体力が落ちてきて、どうやらそれらが食べ物を吸収することを阻害するようになったのでしょう。当人はなんとか異物を吐き出したいのでしょうが、うまくいかないようでした。

なんとか彼の体力を維持しながら、異物を外に出せるよう、食事などで工夫したりもしました。刺激になるようなアロマも使ってみたのですが・・・・・(>_<)

ちらりと獣医さんのことは頭をよぎりました。けれど、私が信頼しているドクターは、目と鼻の先にいるけれど、予約診療以外は今は受けていません(ドクター自身が、相当体調を悪くしていて、後日知りましたが、診療規模を縮小しているとのことです)。今は鳥の専門医は数が少ないこともあって、何処も予約でいっぱいです

すでに体力をなくしつつあるみどりを、遠方のドクターに診せられるのか? 仮に間に合ったとしても、彼が外科手術に耐えられるのか? 

そう考えると、獣医さんはむしろ現実的ではない、という結論に達したのでした。

みどりを見殺しにした、という思いも手伝ってか、彼を送った後も、泣けませんでした。私がやっと泣けたのは、彼の声を聴いたからです。

「かあさん、おれ、頑固もんだったね。ごめんよ。でもさ、痛いこといやだったしさ。ありがとうな。ナカ兄がいたから、素直になれなかったんだ。また、戻ってきていいか?」

亡くなる数日間、みどりは別人のように甘えてきたものでした。私はそれを彼からのSOSだと思って、自分を責めてもいたのですが、必ずしもそうではなかったのかもしれません。

みどりが戻ってきて、再会するのは今生では厳しいですが、何処かでまた会えることでしょう。彼が逝った日は、温かい晴天でした。彼が満足して昇天したと、私は想うようにしています。

残っているぐりのことも、早めに記事にしておかないと。だんだん自分の周辺が寂しくなってきたのか、今は完全な手乗りインコのぐりちゃんです。


今日も、寒かったですねぇ。先日ほどではなかったですが。
明日から数日は、温かいとのこと。皆様、くれぐれもご自愛くださいませm(__)m💕💛

ここまで読んでくださった方々に、心から感謝いたしますm(__)m💕💛

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