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【画像12枚動画4本】手縫いを超えるミシンで縫われたシャツ

昭和28年創業の山喜さん(山喜株式会社、大阪市中央区)にお訪ねして、シャツの縫製を特殊なミシンの操作とともに見学させていただきました。

山喜さんは、明治19年創業の老舗シャツメーカー「蝶矢シャツ(CHOYA)」の会社清算後の事業譲渡先です。「蝶矢シャツ(CHOYA)」は平成27年3月にメーカーの歴史に幕を下ろしましたが、山喜さんの中で高級シャツブランドとして製造販売が受け継がれています。

私が今回楽しみにしていたのは、蝶矢さんの、①シャツのアームホールのすくい縫いができるミシンと、②ボタン付けが根巻きまでできて裏もキレイな仕上がりのミシンです。

…なんのこっちゃ?な方にも分かりやすく心がけて説明をしますので、続きをぜひ読んでください!

①シャツのアームホールのすくい縫いができるミシン

このアームホール(身頃に袖がつくところ)の、糸が点々で見えている部分ですが

一般のシャツ好きに片足突っ込んだくらいの人が見て、「おお、手縫いなんだ…手がかかっているね、これはいいシャツだね!」と物知り顔で言いたくなってしまう部分です。シャツ好き界隈では目利きポイントとして広く認知されています。

しかし!

縫製を知っている人が見ると、二度見三度見の末、「は?ナニコレ??もしかしてミシン!?」と驚嘆してしまう事態なのです。

だって裏返すとこうなっているので…ミシンですよね!?と気づきます。

どういうことかというと、

画像のように表にあまり縫い目を出さずに「点」で縫うやり方は見た目に上品で着心地もごわつかず素晴らしいのですが、手縫いじゃないとできないはず、というのが一般的な認識です。ミシンだと、皆様よくご存知のキリトリセンのように断続的な「線」でダダダッと縫うしかないはず、なのです(お手持ちのシャツをcheck!)。

それがなんと、ミシンでできるわけです。すごくないですか?このミシン。手でやるしかなかった美しさを、機械で早く正確に実現できるのですから、手縫いのぬくもりなどを求めないかぎりは最高の技術と言えます。

人知の結晶、スバラシイ…。機械を人間が進化させてうまく付き合ってる感じも良い!昨今の、AIにとってかわられるなどという煽りをよそに、使いこなしています。そういえば機械って人間がつくるものだったわ、とあらためて感じました。

②ボタン付けが根巻きまで出来て裏もキレイな仕上がりのミシン

「根巻き」というのは、ボタンの裏の面と、縫い付け相手の生地の表面がぺたっと接着しないように、糸をぐるぐる巻きつけてボタンの裏面を生地から少し浮かせることを指して言います。

こうすることで、ボタンホールにボタンをかけやすくし、留めた姿も前立てに無理がなくてきれいな様子になります。着やすく、見た目も美しいです。

さらに蝶矢さんのこのボタン付けミシンは、裏が超キレイなんです。やって見せてくださった方が、何度もおっしゃっていました。

正面はこんな感じで、右手にパネルがあります。

動画と仕上がりをご覧ください。

蝶矢さんのシャツは縫製のクオリティが高くて、服ヲタも唸らせる技術をお持ちです。私自身、手持ちのシャツを見せて何人も唸らせましたし、食い入るように見る姿を目のあたりにしてきました。

そこで最後に、「これだけは」と一番大事にされていることは何ですか?と質問をしたところ、返ってきた答えは「品質」

企業が一番大事にしていることが顧客や見る人に伝わっているって、すごくないですか?理想だけど簡単じゃないですよね。本当に素晴らしい。

プレスの機械もデモンストレーションしてくださいました。

病院みたいですが、左側の機械にシャツをセットして、右側の機械を温めます。温まったらそれが左に動いてプシューっとプレス。ピシッとふわっと美しく仕上がります。

ふわっ。

レポートは以上です。
プロモーション動画があるので最後に貼っておきます。

蝶矢さんと、山喜さんの2つを、どうぞごらんください。

かっこいい!

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