見出し画像

先に言い訳して買わせようなんて、そうはいかない顧客心理

6月に入り、ファッション小売の店頭に立つ販売員にとっては売上をつくるためになかなかの工夫がいる時期です。販売員の皆さま、いかがお過ごしですか。

あと数週間で大々的にセールが始まるため、お客様の買い控えを感じたり、顧客様はもう秋冬の新作待ちでお買い物モードではなくなっていたりしますよね。

しかし実はこの時期、一期一会の波動が大きいときです。ずっと売れなかった商品がポンと売れたり、ふらりとご来店されたフリーの方がかなりのまとめ買いをされたりと、ちょっと読めない日々の連続ではないでしょうか。

毎日が綱渡りの気分でヒヤヒヤしますよね。
いよいよ今日はゼロかも!?というとき「今日買ってもらいたい」気持ちが接客中に出すぎてしまうことはありませんか?

セールストークのつもりがごまかしトーク、言い訳トークになっていては良くありません。

「在庫がない、コレしかない、でもここで売りたい…!」そんな気持ちが要らぬ言い訳をさせる

今店頭はちょうど春夏シーズンの終わりかけですので、サイズ欠けや色欠け、そして、正直状態の良くない在庫もちらほら発生している頃です。

お客様の試着で少々履きじわが入ってしまったシューズ、ハンギングの擦れでピリングが出来始めたニット、キズではないのだけど気にする人は気にするかも、という状態のものが散見されます。

その「気になる箇所のある商品」の接客をするとき、お客様に対してつい前のめりに言い訳をしてしまっていませんか?

できれば「気になる箇所」を気にしないで今日それを買ってもらいたいあまり、妙にフォローを入れすぎて「あぁ、買わせたいんだなぁ」と思われてるようでは、信頼関係の構築は叶いません。

必要なのは誠意とお客様視点での伝達のタイミング

想像してみてください。
商品に使っている麻素材の繊維のフシが、ほかに比べると大きく目立つところに出てしまっているシャツがあるとします。

売り手としては素材特徴の範囲内だけれど、買い手の中には嫌がる人もいるし、実際接客して指摘された経緯があるとしましょう。

あなたはその色の在庫はもうその1点のみであることを知っています。でもそれを熱心に見ているお客様がいらっしゃるのでアプローチをしました。

早かれ遅かれお客様はその「気になる箇所」に気付くはずです。あなたはどのタイミングでその事実をどのようにお客様に伝えますか?

言い訳をされるとリアクションが難しい

もし気に入ってもらっても、あとでフシに気づいてがっかりされたくないから先に言う、という方がいるかもしれません。

「ちょっとここにフシが出ちゃってるんですけど〜、素材の特徴なんで、こういうものなんですよね〜。この色特に人気で〜、これが最後なんですぅ」

これは事実かもしれませんが、言われた方は「そうなんだ!それでそれで?」とはならないし、素直に「じゃあなくなる前に買っておかなきゃ!」ともならないと思います。全然興味を引けないアプローチということです。

さらに聞いてもないのに「ココがこうなのは素材のせいです」「もうコレしかないので欲しければコレで諦めてください」、このように言い訳を並べる流れは、お客様にとってすごくリアクションのしづらい状況でもあります。

店頭にふつうに出しているならふつうにセールストークしよう

お客様が積極的にご覧になっている商品は、普通に考えて何かしら興味を持たれているものですよね。

その興味の理由は、ほとんどが商品への好意です。好きなもの、良さそうなものを見つけてお客様の気持ちが高まっている状態にあります。

それなのに販売員が、一言目ないし二言目に、その商品の弱みやワケありな箇所を言ってくるという行為は、見せかけの誠意であり、受け取りようによっては商品への悪口のようです。

いちいち言い訳しなくちゃいけないような商品なら、出さない方がいいんじゃないでしょうか?

アバタもエクボ

お客様は、気に入ったら買うし、気に入らなければ買いません。気に入ったら、ちょっとした難点も目をつぶってしまえるお客様は実際多いです。

アバタもエクボとはよく言ったもので、先述の例えのフシのように素材特性によるものなど「麻らしくていい!」とか「世界に1点だけっぽくていい」とか言われる方もいらっしゃいます。

販売員がやるべきことは、お客様に気に入っていただくことです。誠意あるふりをして保身することではありません。

気に入ったけど、どうしてもココが気になる!というのであれば、客注なり、色違いや類似品番のご案内なり、カスタマーカードだけでも書いていただくなり、できるはずです。

言い訳は、必ずお客様に伝わります。

綱渡りのこの時期、一期一会を大事にできるよう、一期一会で終わらせることのないよう、前向きに商品の価値を伝えていきましょう。

読んでくださりありがとうございます。いただいたサポートは、個人ブログの運営費に使います。