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【短編小説】終われば、始まる?①

ある日の夕方、家のベランダで空から降ってくる隕石を最近買った望遠鏡を用いて、眺める。どこか生き急いでいるようだ。
南の海に向かって、10kmくらいの位置に数十、百個程度の隕石が落ちてきて、それらをよくよく観察してみると前に図鑑で見た綺麗な隕石はいっぱいその中に見えるし、彗星っぽく色っぽい隕石も見える。
しかし、私はある一つの隕石の存在に心を奪われ、眺めている視界を狭めようとする。一見形は歪で、見るに堪えないようだけど、何か右往左往して、青く優しく燃えている。一瞬生き急いでいるように見える。

ふと我に返って、もう一回隕石を見る。今度は青く優しく地平線へ向かって動いている気になっていた隕石がどこか周りの隕石群とぶつかり始めた。威張っているように見えるけれど、まだ優しさは十分に残っている。優しく燃えている。

昼間は晴れていたので、空は夕日が広がり、雲も隕石と同じように群と為して、どこか向かっている。海岸を見ると、子供たちが砂でお城を作ったいたり、ステンドガラスを探している四人家族がいたり、なかには一人瞑想している海外の方もいる。また上の方を見ると、複数の隕石たちは群と為して、地平線へ向かっている。

隕石の様子が変わった。今度は青く優しい隕石は中央に行って、今度は内なる力を発光しているのだろうか、赤く燃え出した。一番強い赤色である。依然ぶつかりは変わらないけど、どこか他の隕石群たちのお尻に火を点けているように見えた。

またふと我に返った。数十、数百個の隕石が地球、日本という領海に落ちてきているってことを知った。猛烈に心が揺さぶられた。自分の家族や仲間に知らせる?テレビやラジオでこのことは放映されている?大丈夫?とほんの一瞬だけ思ったが、そんなのどうでもよくなってしまった。こうなってしまった自分に疑問をぶつける。何故だろう。

そうやって、手元のIPadProにあるメモ帳に書いてある日記にふと目を移した。

〜〜つづく〜〜

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