水の遺跡

願わくば、貴方と。

……………………水の遺跡

 ふう、ふう。荒い息づかいが聞こえる。盗んだ装飾品でジャラジャラと音を立てながら彼は走る。
「いたぞぉ!」
後ろには憲兵が迫っている。彼らを撒くように森の深くへと踏み入る。足に絡まる小枝のせいで転び、盗んだ装飾品が散らばる。拾っている暇などなく彼はすぐ立ち上がり再び走る。
「走れ走れ! 捕まっちまう!」
そう独り言ち、追われながらも男は楽しそうだった。鳶色の髪、同じ色の無精髭。女性を口説くには困らない程度に整った顔立ち。背は高く四肢はすらりと長い。よれた服の上にぼろぼろの上着を羽織ったその壮年の男は名をレムと言った。生業は、盗賊。
 森を抜け開けた場所に出る。目に入ったのは遺跡の入り口らしきものだった。
「しめた!」
遺跡は入り組んでいることが多く、憲兵を撒くには丁度良い。石の階段を転がるように降り、駆け抜ける。やがて長い通路の終わりが見えてくる。光差す向こう、吹き抜ける大きな風に顔を上げるとそこには──苔むした石に彩られた高い高い塔が姿を現した。その壮大な景色に彼は心を奪われていたが、追っ手を思い出し振り返る。憲兵は既にいなかった。
「ふぅ、撒いたか……」
レムは呼吸を整え、近くにあった水場で顔を洗う。虫も湧いていない綺麗な水だと分かると、彼は頭を突っ込んでがぶがぶと水を飲んだ。
「ぶはぁ。久々にまともな水だ!」
両手で水を拭う、次に視線を感じ顔を上げた。いつの間にか水場の柱の上で彼を見下ろす者がいる。緩やかにうねる美しい白銀の髪。白い肌。年頃は7つか8つと言ったところだろうか? 少年とも少女ともつかぬ美しい顔をした子供。レムはその者から目がそらせず、射止められたように動けなくなった。
「今度は盗人か」
子供らしからぬ口調でそう言うと、その者は音も立てず水場に降り侵入者の額に手をかざす。一瞬目が眩んだかと思うと、彼の意識は途切れた。

 はっと目を覚ますと、レムは遺跡の中で横になっていた。先程の水場からそう遠くない場所のようだ。念のため持ち物の確認をする。奪った装飾品は走っている時に全て落としてしまったらしい。戦利品がないと分かると、彼は溜め息をついた。ついでに腹が減っていることにも気付いたので、余計に落ち込んだ。
「何だったんださっきのガキは……。あー、腹減った。なんか食い物ねーかな」
遺跡の外に出て木が生えている場所をうろうろしてみると、赤い実がなった樹木を見つけた。
「……食えるか?」
一つもぎ取り、においを嗅ぐ。食べられそうな果物らしいかおりがするので、手持ちの刃物で二つに割ってみる。皮は薄く、刃物を容易に通した。中には白くてフカフカした実と、黄色い種がびっしり入っていた。見たこともない奇妙な果実を、恐る恐る口にしてみる。味はほんのり甘く、瑞々しい。ふわふわした食感のせいで食べ応えはなかったが、丸々一つ食べ終えると空腹感は消えていた。食べられるのであれば、と彼は二つほど果実をもぎ取り衣服にしまった。
 遺跡の中に戻ると、そこにはこれまた見たこともない大きな獣が眠っていた。一見白くふわふわとした毛皮に覆われた大きな獅子であったが、背中には大きな羽根が生えており普通の生物ではないことが窺えた。獣を起こさぬようそっと横切る。奥へ進むと、上へと伸びる階段を見つける。そのまま光に誘われる蛾のように、彼は階段を上り始めた。
 大きな広場を通りすぎその先の更に上へ続く階段を登っていく。途中までは真っすぐな階段が幾つか続いていたが、その先は螺旋階段になっていて塔の壁を伝って歩くようになっている。この塔は外から見たときの高さがかなりあったことを思い出したが、足を止める気にはならなかった。最初はそれなりにひょいひょいと登っていたのだが、案の定いくつかの階段と踊り場を越えた頃から膝が笑ってしまっていた。限界になったところで足を休める。
「ああ、足が……」
太ももを拳で叩きながら今いる踊り場から螺旋階段を見上げる。終わりは見えない。真上は天井がないのか天窓になっているのか、光が差し込んでいる。
「どんだけ高ぇんだよ」
しかし何故かここで引き返すという考えはなく、再び階段に足をかける。速度が落ちゆっくり上がるようになったが、体力的にはまだ少し余裕があった。ふうふうと息をしながら登っていく。気を紛らわせるため時々鼻歌を歌っていたが、次の踊り場までが先程より若干遠かったためその余裕もそのうち消えてしまった。彼は再び休憩を挟むことにした。寝転びぜえぜえと息をする。
「く、くそ……上までどんだけあるんだ……。はぁー。こりゃ、今日中に登るのは無理か?」
鼓動と息が落ち着いた頃、彼の耳に微かだが水の音が届いた。さらりさらりと水が落ちていく音を聞くと、彼はまた気力を取り戻した。持っていた赤い実の一つをむしゃぶると、自分の顔をばちばちと叩き鼓舞する。
「せっかくだから頂上まで行きてぇ」
登ってきて分かったことだが、あの水場へ流れていた水はこの遺跡の中を通り遺跡全体へ流れていっているようなのだ。つまりこのまま上を目指せば源泉があるはず。水の生まれる場所がどんなところなのか彼は見たことがなかった。だからこそ見てみたい、そう思った。残りの力を振り絞り、立ち上がる。赤い実を食べたお陰なのかその後の疲労の蓄積は少なく、幾度か休憩を挟みつつも先程のような足のつらさは感じなくなっていた。塔の真上は天窓すらなく、ぽっかり空いた丸い石壁の中に空が見えた。その空が段々と近づいてくる。あと少し、あと少し。
 頂上に辿り着くと、そこには緩やかな勾配を持つ幅の広い水路がありその先には小さな泉が佇んでいた。その泉を前にして、子供の体躯でやっと座れる大きさの石で出来た椅子が鎮座している。ここはとても神聖な場所に感じられた。ならばここはどこかで耳にした、水の神がおわすあの”水の遺跡”なのだろうと悟った。そしてあの白銀の髪の子供が恐らく──。
「水の神──美しい人」
彼は思わず自分の口を覆った。今、なんと言った……? 己の喉からまるで別の人間が喋ったように思えて、彼は身震いをした。気のせいだろう、そう思いたい。何度か深呼吸をし気を落ち着ける。そして大きく息を吸うと、彼はそっと玉座に近づいた。よく座っているのであろう、背もたれの裏側は苔むしているのに腰を落ち着ける部分と肘掛けはほどよくすり減っていた。レムは肘掛けに赤い実をそっと捧げる。この為にここへ来たのかと思うほど、彼は満足した。さて戻るかと踵を返すと、そこには水の神が立っていた。出会ったときと同じように目がそらせなくなる。男を尻目に水の神はその横を通り過ぎ、玉座に音も立てず座る。神は肘掛けに捧げられた赤い実を手に持つと、ぽんと遠くへ放り投げた。ちゃぽん、と音を立て赤い実は流れのまま水路を滑り落ちていった。その光景を、レムはただ眺めていた。
「私に供物は要らぬよ」
その容姿に似合わぬ仰々しい口調で、神は言う。
「盗人よ、名は何と言う?」
「……レム」
「レムか。レムよ、お前はどうしてここまで登ってきた?」
「さあ? 俺にも分からねえ」
「ほう」
「ただなんだか、一度はここへ来なきゃいけない気がした。そんだけだ」
「…………」
「もう降りるよ。玉座に人間がいちゃならんだろ? そんじゃ」
立ち去ろうとする彼の背中に、水の神は話しかける。
「神の遺跡には宝物がある、と人はよく言う」
「ああ、まぁ。そうだな」
「事実、神の遺跡には宝物が多い。どれも人が捧げたものだが。お前はこの遺跡の宝物を手に出て行くつもりはないのか? 盗人はそういう思考のはずだ」
今までの彼なら、この遺跡が神々の遺跡の一つであると始めから分かっていたならばそうしたのだろう。貧しい生まれを嘆き、女も宝飾品も酒も欲したからこそ盗人になった男だった。だが遺跡の源泉を目指し始めた時に彼から物欲はすっかり消えてしまったらしい。所詮その程度の欲だったのか、と彼は自嘲した。
「んー、ここに来る前ならそうしたんだろうが。どっかに欲深さを置いてきちまったらしい。だから宝はいいや」
「そうか」
「うん、じゃ」
さようならと言うのは違う気がしたので、彼はそのまま来た道を引き返した。階段をゆっくり降り元いた場所に戻ると、すっかり日が暮れていた。灯りを持っていなかったため、起きていても無駄だしこのまま眠ろうと決めた。つぎはぎだらけのボロの上着を身体の下に敷いて、目を閉じる。
「ああ、疲れた……」
何故か次の朝目が覚めなくてもいい──そんな風に思った。遺跡の中に夜が訪れ、彼の意識も闇へ溶けていった。

 朝日と風と樹々に囁かれ、ぼんやりと意識が浮上する。硬い床で寝たせいで身体が痛かったが、睡眠はほどほどに取れたらしい。ぐうっと伸びをすると、彼は半身を起こした。視界に入ったのは、白い塊。大きな羽根が生えた白い毛玉だった。
「……昨日のあのでけぇ獣か」
ぐうぐうといびきをかきながら大きな獣は寝ていた。昨日見たときは一頭だけだったが、どうやらもう一頭いたらしく白い塊は二つ存在していた。体格的に親子かつがいのように見える。その二頭にぐるりと周りを囲まれレムは眠っていたらしい。無防備に寝ている獣を横目に、彼は立ち上がり軽く運動をする。敷いていたボロの上着を羽織ると、朝食を確保しに外へ向かう。樹々についた朝露が輝き、小鳥達がさえずっている。朝の穏やかな光景を楽しむ。そういったこととは無縁であったが、良いものだなとレムは思った。昨日と同じ場所へ行き赤い実をもぎ取る。やはり食べ応えのない不思議な実だったが腹は満たされた。一晩経ったのだからもうあの追っ手たちは自分を捜してはいないだろう。このまま遺跡を発っても問題はない。しかしもうしばらくここへ留まっていたいと思ったので、それならばと寝具の代わりになる物を探しに行こうと考える。
「おっと、昼用にもう一個」
果実を服に仕舞い、緑の多い遺跡の周りを探索しに彼は出掛けた。
 適当な鼻歌をふんふんと鳴らしながら、遺跡を見て回る。水の遺跡は全体的に塔を囲うようにおおよそのものが円状に配置されていた。遺跡の周りには樹々以外これといった物はなく、物を探すなら中へ行った方が良さそうだと思い始めた頃、遺跡の真後ろに差し掛かる。同時に、くぼみからボロ布がはみ出しているのを見つけた。
「お、どれどれ」
身体を覆う程度の面積があればいいのだが、と彼は布を引っ張りだす。手に持った感触でこの布は何かを包んでいることが分かった。くぼみを覗いてみると、小さな木箱を見つけた。重さはさほどなく、箱は容易に手元に引き寄せることが出来た。
「宝箱って感じじゃないな」
朽ちた木箱だが、一応錠がくっ付いている。盗人にとって鍵開けなどいつものことなので、彼は服に仕込んだ細い金属棒を取り出すとちょちょいっと開けてしまう。中には二冊の手帳とペンが入っていた。彼は文字の読み書きは出来なかった。いつもなら捨ててしまうだろうその古い手帳を、興味をそそられるまま開いてみる。するとどうだろう? 読めないはずなのに彼にはその手帳の内容がスラスラと頭に入ってくる。彼は驚き、しかしその見たこともない古い文字から目を反らさずただただ読んだ。その内容は“この遺跡に訪れ女神に出会い寝食を共にし、やがて神の元へ私は嫁いだ。”と。水の神は女神だったらしい。
「ん? 男の方が嫁いだのか?」
彼は疑問を口にしながら先を読み進める。すると次は全く違う形の文字で”前述の男と全く同じ体験をした。私は驚いている”という旨が書かれていた。恐らくこの二人は出身の国や時代が違うのであろう。そのくらいは分かった。次に進むとさらに別の文字で”我が魂も流るるは水のごとく。”とだけ書かれていた。なんのことだろう? 手記の一冊目はそこで終わり、二冊目に取り掛かる。また違う文字だった。しかしレムには見覚えのある文字で、比較的近代の、近隣国の言語であることが分かった。その比較的新しい手記には女神との些細な日常や、あの白い獣たち──神獣たちとの交流など心がほぐれるようなことが書いてあった。今の彼には響かないものだったが、不思議と惹かれた。最後に”私もまた彼らと同じように女神と連れ添う。美しい人、私はあなたのものだ。”と書いてあった。彼もまたこの手記の男たちと同じ体験をしたらしい。残りのページは空白になっていた。ふと”美しい人”という言葉が引っかかる。昨日玉座を前にした時己の喉から出た言葉だ。関連が気になるものの、考えても思い当たるものは何もないので手帳を持って戻ろうと思った。箱にまだ何か入っていないだろうか? と、木箱を改めて覗いてみると小さな鍵を見つける。試しに錠に差し込んでみるとぴったりと合い、つまりこの木箱の鍵なのだと分かった。鍵がかかっていたのに、何故内側にその鍵が?
「魔法でも使ったんかね」
思いつきを口にする。レムはボロ布と箱の鍵、それから手帳とペンを服におさめ遺跡の周りの散策を再開した。
 木箱以外にやはりこれといった物はなかったため、そのまま彼は遺跡の周りを一周して水場のある広場に戻ってきた。水の神が神獣たちと戯れている。神獣達はその大きな体躯とは裏腹に、子猫のような声を出し女神が放り投げた赤い実を口で取っては食していた。彼女はレムに気付いたものの、一瞥をくれるだけで神獣達と再び戯れ始めた。そっけない態度だったが、そこにいてもよいと言われたように感じ、彼は女神の近くで足を休めた。仰向けになり流れる雲を眺める。
「なぁ、女神さん」
「なんだ」
「ここには他にも人間が来たんだろう? どんな奴らだった?」
「そうさな……。傷を負った若き旅人、子を連れた物売りの女性、宝物目当ての盗賊、と色々だな」
「へえ、他には?」
その問いに彼女は答えなかった。黙り込んでしまった彼女の横顔を見やる。女神は遠くを見つめたあと目を伏せた。物思いにふけっている女神の腕に、神獣たちが鼻を押し付け赤い実を催促する。彼女は彼らに微笑むと再び戯れ始めた。続きを言わぬのなら無理に聞く必要もないか、とレムはそれ以上聞かなかった。
 そのまま彼女らとのんびり過ごすのもよかったが、彼は腹ごしらえも早々に遺跡の探索に戻った。今度は中だ。所々に宝箱があったのを見つけるものの中身はなく朽ちていた。女神が言っていた賊の仕業だろうか? 宝箱には手帳の時と同じようにボロ布が巻いてあり、回収していった。
 しばらくすると朽ちた階段のある踊り場に出る。螺旋の中を覗くと底が見えぬほどに高く、地下があることが知れる。闇に目をやっていると何かチカチカと光を反射しているものを見つけた。なんだろうか? 取りに行こうと決め、彼は拾ったボロ布たちをローブのように繋ぎ合わせると身にまとう。別の道を探すとあっさりと下へ続く階段を見つけたのでそこから下っていく。明かりがないのが不便だが、幸い彼はこういった場所には慣れていた。
だが、レムはそれだけではないと気付く。暗闇に目が慣れたのではない。自分はこの地下の道を知っているのだ。目を瞑ってても何がどこにあるのかはっきりとわかる。それに気付くと彼は震えた。何故? 何故初めて来たはずの道が手に取るようにわかる? 疑念を抱きながらも進む。やがて、目的の光るもののある場所へたどり着いた。そこは広い空間で劇場のような形をしていた。よく分からない懐かしさに包まれながら、彼は落ちている光るものを手に取った。それは小さな宝石を金で縁取った首飾りだった。これは、そう。女神の首を飾っていたものだ。どうしてそんなことが分かるのか、彼は理解できないまま首飾りを手に上へ戻る。女神は変わらず神獣たちと戯れていた。
「これはあんたのものだろう?」
女神の視界に入るようにレムは首飾りを掲げる。
「この遺跡にあるものは全て私のものだ。もちろん、この子らも」
「そうじゃねえ。そうじゃねえんだ。これはあんたの首を飾っていた宝石なんだ。だからあんたが持っていないと」
女神は彼を見つめる。身体の年齢にそぐわぬ艶やかさと美しさを持つ瞳で、じっと。
「今のおぬしからは受け取らぬよ」
そう言うと女神はどこかへ歩いて行ってしまった。
「今の俺からは……?」
謎は増えるばかりであった。首飾りを放置することもできず、男は服のポケットに入れて持ち歩く事にした。いつか女神が受け取ってくれるといいのだが……。

 翌日もレムは遺跡を練り歩く事にした。女神は特に何も言わず見守っているだけのようなので、今のところ好き勝手に行動している。遺跡はなかなかの広さをしていて、もしかしたら一生かかっても全部は巡れないのではないかと思うほどであった。道は入り組み階段も多い。部屋数もそれなりにあった。大概は朽ちているので部屋と呼ぶべきか悩むところだが。祭事のための広場やかつて大人数のための台所だったような場所、いくつかの寝室を見て回りレムは昼食を取った。この赤い実を食べていると、不思議と腹は満たされる。それが不思議だった。子供の時初めて他人の農場から果物を盗んだ。あの時食べた果物は最高に美味かったが、腹をずっと満たしてくれることはなかった。
「まぁ、神のお恵みと考えれば道理も通るんだけどな…」
昼食を終え再び探索に出る。
 寝室を通り過ぎ次の階へ移ろうとした時、彼は違和感を覚えた。
「ここにもう一つ部屋があったはずなんだが……。いや、なんでそんなこと知ってんだ俺は」
部屋があったであろう石壁に手をやり、コツコツと叩いていると一つだけハマりのゆるい石を見つけた。
「えい」
グッと押すと奥でゴンと音がなり石壁が浮く。手をかけ引いてみると石壁は重さを感じさせずにすっと横へ動いた。中は他の寝室と同じようであったが、唯一毛布や寝床の灯などがあり、つい先ほどまで使われていたような体裁をしていた。レムはここは自分の部屋だと悟った。手記とペン、それから女神の首飾りを枕元に置くと、ボロ布を脱ぎ寝床でくつろぐ。ああ、帰ってきたのか。そう思った。ぼんやりとくつろいでいたが、彼は蝋燭の残りやマッチがないか確認した。蝋燭の残りはあったが、マッチの方はもうなかった。仕方ない、と再びボロ布をまとい彼はマッチの材料を探しに出掛けた。
 寝室を見つけたあたりから、レムはもう遺跡のどこに何があるか、何と何を組み合わせればあの道具になるか、ということを思い出し始めていた。もはや疑問は後回しだ。彼はマッチの材料を入れておいた箱を探した。何故こんなにあちこちに色んな道具を隠しているのかまだ分かっていないが、何か理由があるのだろう。比較的乾燥した部屋で目的の箱を見つけ、開く。箱の中にマッチを作るための手順が書いてあったが、例のごとく文字自体は古いもので、だが中身はスラスラと読めた。
「これをこう……ああっ、配合が難しいのか」
独り言ちりながらマッチを数本作った後、箱をしまい部屋を出る。
 遺跡の外までやって来て懐に持っていた紙タバコを出すと、彼は久々に煙を吸った。
「うめぇ……」
草の上に寝そべり煙草をぷかぷかさせていると女神がやって来た。
「うまいか?」
「ん? ああ、うまいよ。あんたは……吸わねえな」
「吸わぬ」
「知ってるよ。あんたが吸ったら遺跡の水がヤニ臭くなっちまうんだろ」
彼は自分の口から出てくる知識に疑問は持つものの、もうそういうものなのだろうと受け入れた。女神はレムを見下ろしている。彼女の瞳は水面そのもので、光を反射しキラキラと輝いていた。
「……綺麗だな」
「ん?」
「いや、あんたの瞳がさ」
「なんだ、口説いておるのか」
女神はくっくっと笑った。女神が笑っているのを見ながら、彼は煙草を楽しんだ。一本吸い満足すると吸い殻を仕舞い、伸びをして寝直す体勢に変える。
「眠るのか?」
「ん。あぁ、お日様が気持ちいいからな。昼寝だ」
「そうか」
「あんたも眠ればいい」
「私は寝ぬよ」
「そうかい」
レムがすっかり寝たのを見てから女神はその華奢な白い手で彼の鳶色の髪を梳いた。
 レムが目を覚ますと日は傾きかけていた。女神は変わらず彼の近くに座っており、風に髪を遊ばせていた。それをじっと見てから半身を起こす。
「起きたか」
「ああ。……ずっとそこにいたのか?」
「そうだが」
「……ふーん」
「なんだ、邪魔だったか?」
「いや、そんなことはねえけどよ」
「けど? どうした?」
「え? いや……別に?」
「ふうん」
彼は女神をじっと見つめる。長いまつげは目の輪郭をおぼろげにし、幼さを際立たせている。しかし目が合えば視線は鋭く、身が震えるほどであった。レムは今までたくさんの宝を目にし、盗んで来た。どれもこれも確かに輝き美しかったが、女神の瞳にかなう宝石はついぞ思い出すことができなかった。この世で一番美しいのは、彼女だろうとそう感じた。
「どうした?」
女神に声をかけられ、はっと我に返る。
「見惚れておったのか? 愛い奴よの」
女神はクスクスと笑う。その通りなのだが、わざわざそれを言うのもこっぱずかしいので彼は煙草を吸うことで誤魔化した。空へ消えていく煙を見ながら、男は思い浮かべたことを口にした。
「……俺は生まれ変わりってやつなのか?」
女神は遠くを見たままで答えない。
「そうとでも思わねーとやってることと言ってることの辻褄が合わねえんだよな……。読めねー文字が読めるし、知らんはずの場所知ってるし。前世の記憶とかいうやつ?」
ほとんど独り言のように彼は言葉にしていた。
「なんで俺なんだかね。もう少しまともな人生送ってりゃあんたに胸も張れたのによ」
「……お前が何者でも構わぬ」
女神はそういうと、立ち上がりどこかへ去ろうとする。
「あ、おーい。どこ行くんだー?」
「どこにも行かぬ。子らと遊ぶだけよ」
「あー、そう」
去り際に見た女神の横顔が、なんだか泣いているような気がした。どうしてそんな顔をするのだろう? 貴方には笑っていてほしいのに。陽が落ちていく。また闇が訪れる。

「さーて、次は炊事場と洗濯場所か? あとあれだ、便所」
 翌朝、彼はこれから生活するであろうこの場所で、必要な部屋を先に見つけておこうと思った。
「なんで前や前々の俺は生活の部屋をわざわざ離れて設置したんかね……。不便でしょうがねえ」
遺跡の周りをうろうろすると、まず便所らしき場所を見つけた。そこからそう遠くないところに、炊事場と洗濯場所がまとまっている。食料を貯めておいたであろう穴倉を見るも、綺麗なもので中には何もなかった。
「まぁ残ってても食えんだろうしな……。外に買いに行かないとねぇか……金ねぇんだけどな」
ひとまず、着ているものの洗濯ついでに身体を洗うことにした。石鹸が残っていたのが幸いだ。服を洗いつつ身体も洗う。髭も剃りさっぱりとする。服が乾くまで腰巻一丁というところだが、人目もないので気にはしない。そよぐ風に任せていたら、服はあっという間に乾いた。身綺麗になり気持ちよく口笛を吹きながら戻ると、女神は今日も神獣たちと戯れていた。近付くと彼女もこちらに気付く。
「おや、見違えたの」
「ん? おお、そうかい?」
身綺麗になったレムを見ると女神は嬉しそうに微笑んだ。彼女の笑顔を見て、彼も嬉しくなる。
「次は地下を探るとよい」
「ん?」
「首飾りを拾ったろう? あの辺りも部屋が色々あってな」
「へえ、そう。分かった、行ってみる」
「うむ」
「…………」
女神は今の今まで彼に何をするべきかなど教えることはなかったのだが、どうしてか今ばかりは道を指し示した。順序、というものだろうか?
 教えられた通りに彼はすぐにも地下を目指した。階段を慣れたように降り、大広間に出る。この前は劇場のように見えたが、どうやら劇場というよりは儀式のための空間らしい。大広間からは幾つかの小部屋へ放射状に道が通じており、レムは一つ一つ調べることにした。何かの儀式の道具が置いてある部屋を幾つか見て通り、次の部屋に差しかかる。そこは書物庫であった。ズラリと古書が並び整然としている。
「……随分マメな前世さまもいたもんだな」
手頃な本を取りパラパラとめくってみると、そこに書かれていたのは様々な秘術や奇跡を起こすための手順であった。
「まるで魔法使いだな、これじゃ」
その単語を口にした途端、背後で気配がした。ばっと振り向くも、人影は見えない。しかし気配はじりじりと近付いてきていた。薄明かりに照らされた場所に影が現れる。ローブを目深に被り杖を持つその見た目はまさに魔法使いとしか言いようがなく、おごそかな気配をまとってそれは更に歩み寄った。
『そうとも。だが、魔法使いだと的確ではない』
「あ、あんた誰だよ」
『私は君だよ。ここへ置いてきた私自身の一部。私の魂が戻ってくるたびに私を導くための私の一部』
「ややこしい言い方すんなよ」
『驚かせるつもりはないのだが毎回驚くね、私は。登場の仕方を変えようか……ふむ』
「……」
『今君が見ているのは一種の記録だ。私に実体はない。君は私の生まれ変わりということは既に気付いているようだからそこは説明を飛ばそう。私は賢者と呼ばれる者で、水の神に仕える者だ』
「……話が長くなるなら座ってもいいか?」
『どうぞ。楽にしていてくれ。椅子はその辺にあったと思うよ』
「対話ができるのに記録なのか?」
椅子に腰掛けながらレムは尋ねる。
『今の君にその説明は難しいかな。話を進めるよ。賢者と魔法使いは違う。魔法使いというのは個人が先人たちの技術を連綿と繋いでいくものだが、私たち賢者は賢者という存在そのものを継ぐ』
「……分かんねえ」
『賢者は神によって選ばれる存在でね。王宮に仕える者もいれば流浪の民として生きる者もいる。私はかつて、供物として水の神にこの身を捧げた小さな村の者だ』
「ああ、だから《神に嫁いだ》……」
生贄。神の嫁。人はいつも犠牲を都合のいい呼び方で呼ぶ。
『そう。けれど水の神は受け取りを拒否した。最初はね。捧げられた時私はあまりに幼かったから。だが私がいくらか育つと、女神は条件を守るならお前の魂を受け取ってもいいと言ってきた。伴侶になることと賢者になること。この二つだ』
「……惚れたのか?」
『彼女がかい? まぁ、そうなんじゃないかな? 当時は愛情より哀れみが大きかったと思うけどね』
「……」
『私は賢者として女神から直々に秘術の数々を教わった。ここに置いてあるのはその覚書のようなものだよ。全部じゃない』
「こんなにあるのに全部じゃない、のか」
どの部屋にも天井高く本棚が積まれていた。それでもなお収まらぬとは……。レムは唸った。
『書けないものもあるということだよ。君も思い出したら分かるさ。さて、じゃあ早速賢者としての記憶を取り戻してもらおうかな』
「は? もう?」
『賢者とはいえ肉体には限度があるからね、時間は惜しいよ。そこの本棚の三段目、一番左の本を取ってご覧。そう、それ。その本を持ったまま私の詠唱に続いて復唱して』
言われた通りに本を持ち、賢者の影の前に立つ。
『我が名、我が肉体は継がれしものなり』
「我が名、我が肉体は継がれしものなり」
『この身、我が主へ全て捧ぐ』
「この身、我が主へ全て捧ぐ…」
手に持った本が銀色に輝き始める。風がおこり、書庫内を揺らす。賢者の声とレムの声は一つとなり、呪文を唱える。
「全ての丘の果て、全ての森の奥、人の身の内、獣の爪先にまで我が主は在り。我は伝えし者。新しき肉体の名は……レム」
詠唱が終わると、レムの頭には様々な記憶と知識が駆け巡った。荘厳なこの遺跡のかつての姿、美しい鳥たち。神獣たちや自分と戯れる女神の美しい笑顔。教わった秘術の数々。生きるための知恵……。それらを吸収し終わると、朝になっていた。レムは積み重なった道具の中からローブと短い杖を取り出し、幾つかの本を持って上へ向かった。広場に戻ると、神獣の上に女神は座って待っていた。荷物をその場に置き、ひざまずく。
「我が主、ただいま戻りましてにございます」
「そうか。此度はなかなか早かったな」
「……」
「そう畏まらずともよい。普段通りにしておれ。……のう? レム」
「は」
「首飾りは、まだかの?」
顔を上げると、女神はクスクスと笑っていた。

 賢者となったレムは今まで盗んだ宝物の数々を取り戻しに行った。元の場所へ納め、壊れていれば直し持ち主の元へ届けた。今までの罪滅ぼしを終えると、彼は賢者として様々な地へ赴き困った者を助けた。東方の賢者が戻った。各地の人々はそれに気付くと、先代の賢者へ出来なかった礼や詫びをレムにした。彼は賢者として、後世に名を残す偉大な者となった……。


 とある日、とある市場。汚れた薄着の少年は棚の上の瑞々しい緑の果実を見つめる。彼は店の女主人が棚から目を離すのを待っていた。女主人が飲み物を手にし、顔を背けた瞬間少年は飛び出した。あと一歩、あと人一人分という距離まで迫ったところで、彼は別の客の袖に遮られ盗みを失敗してしまう。
「二つおくれ」
「はいはい。あら、賢者様じゃないかい?」
少年は身を翻し逃げようとするが、賢者と呼ばれた鳶色の髪の男にがっちりと腕を掴まれてしまう。
「くそ、離せ!」
「何か困ったことはないか? あー、自分自身のことじゃなくてもいいが」
「特にないですかねえ……その子供は?」
「何でもないよ。ではまた」
腕を捻られ、少年は悲鳴を上げる。
「離せよ!」
「お前、今盗ろうとしたろう? まあ、飢えた奴の気持ちも分かるからな。ほら、やるよ。金が欲しいなら盗まず、店の主人に頼み込んで働くことだ。二度とするなよ」
賢者は購入したリンゴを少年に与える。少年は礼も言わずリンゴをむしり取り、男から逃げる。鳶色の髪の壮年の男性はリンゴをかじらず、掌で弄びながら市場を抜け市街へ向かう。物陰にいた少年は賢者の手の中にあるリンゴに再び狙いを定め、その背をつける。
 市街を歩いていた賢者は、荷車の車輪が壊れた商人を見かけ彼の元へ近付く。
「お困りかい?」
「ああ、賢者様。ボロだったんだがとうとうイカれてねえ。困ったよ」
「ちょっと退いていなさい」
賢者が杖を取り出し何事か唱えると、車輪はあっという間に直る。
「ああ、ありがとう! ありがとう! 礼をどうしたらいいかね? 悪いんだが今日は売り上げが悪くて手持ちがないんだ」
「金はとらんよ。実は遠出の最中でね、西の森まで行きたいんだが……」
「それなら、乗ってお行きよ! ちょうど家の方向だ!」
「助かるよ」
賢者は商人の隣に座る。商人は小柄な馬の手綱を引き、出発する。少年は物陰からすかさず荷台に忍び込み、売れ残った商品のいくつかを懐に忍ばせながらしめしめと笑う。
森の入り口に到着し、賢者は荷台から少年の足を引っ張りだす。
「なァ!?」
「また盗みやがったな。出しな、ほら」
「うるぜぇジジイ! べーっ!」
彼はそれを聞くと短い詠唱をし、少年の頭は下を向き足は地面から離れる。重力に負けた懐の物が荷台にぼろぼろと落ちて行く。
「ぎゃー! 何すんだ!」
「連れの手癖が悪くてすまないね」
「い、いいえ」
商人は困惑しつつも少年を責めたりはせず、賢者に見送られながら家路へ着く。吊り上げた少年に振り返り、賢者はニタリと笑う。
「悪い子は森の奥に放置って相場が決まってるんだがね、どうしたもんか」
西の森には妖精が棲み、魔法使い以外が入れば出てこれないと噂だった。少年はゾッとし、必死にもがくが逆さまになった足は地につくことはない。
「離せクソ野郎!」
「静かにしないと妖精に食われるぞ。まあ、俺の知ったこっちゃないがね」
もちろん、少年を妖精に食わせる気はない。賢者は宙吊りの少年と共に森へ踏み入る。ここへ来たのは妖精たちの守護樹が弱っていると聞いたためだ。樹木は千年を生きた老木であり、時々手入れをする必要がある。森の中をいくらか進み、目的の木の前に着くと賢者は少年を地面に下ろしてやる。
「さて、どれどれ……。ああ、お前俺が診察してる間はそこにいろよ。勝手に動くと妖精に食われるぜ」
命がかかっているからか、少年は黙って指示に従う。ちょっと脅かしすぎたかな、と彼は肩を竦めた。老木を心配した妖精たちが姿を見せる。小さな妖精たちは少年の顔の周りにも飛んできて、しげしげと眺めていた。
「よ、妖精……」
「ほお? お前妖精が視えてるのか?」
「む、向こう行けよ! 俺は美味くないぞ!」
「そいつらは人間食わねえよ、人間食うのはもっとでかくて怖いやつ。……元気はないが病気にはかかってなさそうだな。やるとしたら雑草抜くぐらいかね。おい少年、手伝え」
「なんで俺が!」
「労働には対価だ。手伝うなら飯おごってやる」
食事、と聞いて少年はすぐに態度を変え進んで手当たり次第に草を抜き始める。
「あー、こらこら。そっちじゃない。この木の周辺だけでいい」
二人で雑草を抜き終え、賢者はさらに森の奥を目指して歩きだす。
「帰るんじゃないのかよ」
「こっちの方が町に近い。いいからついてこい」
妖精と樹々が囁く声を耳にしながら、少年は賢者の後ろをついて歩く。森の終わりの先に見慣れた街並みが見えてくる。馬車に揺られた距離からすると、この森までは相当な距離があったはずなのに。変だな、と思っていると賢者は少年が出てくるのを待って、森の中に持っていたリンゴを放り投げた。放られたリンゴは空中で何かに受け止められ、消える。
「ななななんだ!? 消えたぞ!?」
「案内役に対価を支払っただけだ」
「案内役?」
「森には番人がいるんだよ。さ、飯食いに行くぞ」
 店に入る直前、少年の服装が気になり賢者は喉の奥で詠唱し汚れをさっと落としてやる。少年は何が起きたのか分からず、驚いて手や足を不思議そうに見た。カランカランと軽やかに鳴る扉を開く。
「いらっしゃい。おや、賢者様じゃないか! この前はありがとう、助かったよ」
「お安い御用さ。あー、焼き麺を二つ」
「お代はいいよ。いつも世話になってる礼さ」
「太っ腹だな。じゃあお言葉に甘えて、なんて言うとでも思ったか? 払うよ」
「いいって本当に」
「今は持ってるんだから払わせてくれ。金のない時に助けてくれりゃいいよ」
運ばれてきたトマトソース和えの麺類を少年は口いっぱいに頬張り、賢者はその様子を見ながら麺を口に運ぶ。
「妖精が視えるってのは珍しいな、お前」
「お前じゃねえ、ザインだ」
「ザイン。そうか、お前魔法使いの素質があると思うんだが、興味はないか?」
「……魔法使いなんて文字の読み書きが出来る奴の仕事だろ」
「覚えればいい。読み書きが出来れば大人に騙されることも減る。取れる仕事も増えるし給料も高い。いいことだらけだ」
「……無理だよ、俺には」
「俺を罵ってた時の威勢はどうした。ん? やる前に諦めるなんてもったいないぞ。と、まあ正論は言うが俺も盗っ人だったしな。気持ちは分かる。誰も助けちゃくれねえ、一人で生きていくしかねえってな」
少年は思い出を振り返る賢者の顔を見、賢者はグラスの中の水を見つめた。
「俺はたまたま運が良かったからこうしてるってだけだ。ただ、盗みは悪いことだし償うしかない。そんでそれ以上に得たものがあるから周りに返してる。盗まずに自分の面倒が自分で見れるならこれ以上のことはない、そうだろ?」
少年は聞き入っている。賢者は腕を広げニンマリと笑う。
「感謝されるってのは盗む以上に気持ちがいい」
「……本当?」
「本当だ。元盗人が言うんだ、間違いない。辞めたくなったら辞めていい。最初は読み書き覚えるまで、次は必要最低限の生活能力。その次は魔法、みたいな感じで順番にやっていけばいい」
「……文字覚えるところまでなら付き合ってやる」
「そうかい。じゃ、これからよろしくなザイン」
グラスが軽快に鳴る。それはやがて偉大な魔法使いとなるザイン・ファレルの始まりの一歩であった。


──『水の遺跡』・完

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ふろたん

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