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奇妙な果実 シリーズ1

 私の独自研究の中に、黒人社会と差別、そして音楽、夭折のミュージシャンというカテゴリーがある。そのなかでも、やっと出会えた魂、それがビリー・ホリデイ。ジャズ歌手である。
 私は、一時期ゴスペルを習っていた。というより、クアイアに入り練習していた。幼きときより魂を受け取って、音楽を聴くということに楽しみを見い出していた私は、心の奥底から滲み出るアフリカンアメリカンの方たちの魂を歌うゴスペルに興味を持ったわけだ。彼らの生きてきた歴史と苦悩、そして叫びと、神や信じるものへの愛。どの音楽ジャンルでも大好きなのだ。
 話を戻そう。
 ビリー・ホリデイは1915年、アメリカのメリーランド州ボルチモアで、17才の父と19才の母との間に生まれる。(自伝では15才の父と13才の母となっている)
父はすぐに家を出てしまい、母子2人で生活することとなるが、母は売春などを生業とし、働かなければならず、母の親族に預けられ転々とする。従姉妹の暴力、曾祖母の死去などを経験する。曾祖母は昼寝をビリーとしていた際に急に亡くなったことで、そのまま死後硬直、寝ていたビリーの首を絞める形となり、それがもとでPTSD、数週間は無言症(緘黙)となる。
 10才の時、母とまた暮らし始めていたが、母は売春宿にビリーを預け、家を空けることが多かった。その留守の時、近所の中年男性に性的暴行をされてしまう。母親には子どもの保護と療育が十分でないと判断され、数年前少年裁判所で言い渡され入っていたカトリックの寄宿舎学校へ再送致されることとなる。
 その後、売春の容疑で逮捕、留置された。その頃、ビリーはナイトクラブに出入りするようになり、歌い始めることとなる。ここまで15才です。汗
 ここまでの彼女の生涯と比べると、私の人生の人生なんて、何てことの無い平凡なもんだ。
 日本という単一民族の中で生まれ育ち、愛を持って育ててくれた両親がいて、兄弟もいる。そんな中でも満たされない何かがあった私だが、ただ感謝が足りないだけなのか、好奇心が旺盛なだけなのか。他人様の人生を知りたいという欲求は未だ強い。なぜ、人はそうなるのか、必ず理由があるはずだ。探せ、見つけて対話をするのだ。その相手はその人自身であり、自分自身だ。その生活背景、時代背景、人間関係、選択。人生にはありとあらゆるものが絡まり合い、変化していく。人間は一日最大3万5千回もの決断をしているという。人そのものが物語なのだ。一人一人尊い。
 次回は歌手活動編へと入っていく。(シリーズ物にしてみました!)

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