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044話:沈没船から引き揚げられたロシアンカーフ

231年以上前の革。それを2013年にZinRyuは手に入れることができました。

その当時、ごく少量ですが市場に出回っていました。発見から製品化されるまでの経緯は次のとおりです。

1786年10月:
 ロシアンカーフと麻を積載したデンマーク船籍キャサリナ・ボン・フレンズバーグ (Catherina von Flensburg) 号が、帝政ロシアのサンクトペテルブルクからイタリアのジェノヴァに向けて出航。
1786年12月10日:
 キャサリナ・ボン・フレンズバーグ号は英国南西部の近海で激しい荒天に見舞われ、同日夜半、プリマス湾にて沈没。
1973年:
 沈没したキャサリナ・ボン・フレンズバーグ号の存在がプリマス湾海底に確認され、当時の歴史を知るための積載品サルベージ作業の折、他の物品類と共にロシアンカーフが船底から発見される。

Wikipediaより

◆ロシアンカーフとはどんな革か?

牛・ヤギ・トナカイ等の原皮を、帝政ロシア当時の伝統的ベジタブルタンニン製法でなめし、革とする。それが沈没し、海底で200年の時を過ごす。その後引き揚げられ、白樺のオイルなどで処理、革製品に使えるように加工しています。

ちなみにこんな革です。

少し黒っぽくなっているところは海底の泥が革に多い被さったため、このような模様ができたとのこと。

◆革製品の例は?

私も何足か靴にしてきましたが、革の繊維質が不均一であり、靴として実使用するには当たり外れが多く出て、最悪破断してしまいます。

一方で、革小物製品として使用する場合、靴ほどには屈曲や引っ張りの負荷がかからないため、適すると感じています。

個人的には、革そのものの質より、230年のエイジングがなせる雰囲気を楽しむ革だと思っています。

◆革小物はいくらで手に入るの?

市場に殆ど出回っていないため、かなり高価になっていますね。さすがに下の例は高価過ぎだと思いますが。

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ちなみに、ZinRyuは過去、こんな靴も作っていましたが(ヒモ穴の箇所がロシアンカーフです)

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今は、靴にする気がないので、ロシアンカーフを取り扱っていません。革小物にするのが適切と思い、所持分全量をthree2fourさんのところに置いています。いま現在もロシアンカーフのオーダーを受けていますので、ご興味あれば問い合わせてみてはいかがでしょうか。

次回は、その高価なロシアンカーフを革加工して遊んじゃったお話でも。

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