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076話:靴販売店の店員さんのフィッティング技術

私のpeingに投稿された、販売店のフィッティングについて考えさせられる質問がありました。


ZinRyuの答え:

靴販売店で適切なフィッティングができた人に、会ったことがありませんでした。靴を制作していない当時、xxx万円分の靴を散々買ってきましたが、一人として出会わなかった。

制作を始めた2009年以降も、靴販売店でフィッティングしてもらいましたが、ここでも同様。私の足が踵が小さい、イレギュラーな足であることも一因かもしれませんが。

とにかく、自分はかなりの数、実際にフィッティングして頂きながら、出会うことがなかったというのが事実です。

店員さんが悪いわけではない:

木型について実践が伴い技術が身についてから、靴好きなら誰でも知っている百貨店の店員さんを見て気づいたことがありました。

そもそも、「店員さんがフィットした靴を履いていない」

私のツイッターに、このような返信もありましたが、

店員さんは悪意を持って自分の成績のために、履く人を無視して進めているわけではないと思っています。私は伊勢丹さんや三越さんで働く方を直接知っておりますが、本当に誠実で仕事に対して真摯。

少なくとも、「売り付けてやろう」と何が何でも買わせるような、方ではありません。その靴が履く人に合っている靴だと、本気で思っている。にわかには信じられないのですが、自分の体験上のひとつの答えです。

何故店員さんが適切なフィッティングを提供できないか?

一点に尽きます。

「残念なことに店員さん自身が正しいフィッティングを体験したことがない」というのが、ZinRyuの考えです。靴に限らず自分が体験していない以上、そのサービスを人に提供するのは難しいのではないでしょうか。

フィッティングを端的に言えば、履く人の足を把握し、靴内部の形状や靴の性質を把握した上で、両者に最適なマッチングを提供するサービスです。

履く人の足を把握するときは、形状だけでなく、性質まで把握する必要があります。本当に把握しようとしたら、足の状態を計測した上で、つまんだり、引っ張ったり、押し込んだりといった行為が必要になる。

その上で、売り場のすべての靴内部の形状(靴の形状ではない)を把握していることが求められます。単にカタチというだけでなく、それぞれの形状が履いた時にどのような意味を持っているかを理解した上で。
でも、そんなことを体で知っているレベルで押さえるのは、靴木型を削って、靴の形状設計をした経験がないと、なかなか難しいと思います。

やはり、百貨店の一階の販売員(大抵の場合靴専業ではないはず)に求めるのは厳しいでしょう。

履く人はどうすればいいか?

世界中の、あらゆる革靴を実際に履き、自身でも木型を削り、形状設計に精通しており、たくさんの人に靴のフィッティングを提供した経験のある店員さんにお願いすることです。

はぃ。。。。無理ですね。

でも、ここはベストではなくベターでいきましょう。フィッティングの2要素に分けて考えます。

履く人の足の形状と性質を把握:
 
なるべくプライベートの空間で、足を診る時間を確保できる靴屋さん。足の形状と性質を把握しようとしたら、どうしても足を計測して、よく触ってみる必要が生じます。そういうサービスが可能な靴屋さんがいいですね。
 ただし、そういったサービスを受けるには、自身が所有する靴のフィッティングに不満な点を明確に、あとは予め要望を伝えた上で予約するのが良いでしょう。

靴内部の形状や靴の性質を把握:
 
扱っている靴製品は少ないお店の方が適します。扱うブランドの数が多くなればなるほど、一つ一つの靴を把握するのが難しくなりますし、そのブランドについて人に合わせる経験を積むことも難しくなります。

まずは、靴の名店と呼ばれるところに足を運んでみてはいかがでしょうか。パッと思いつくところでは、KOKONさん系列のお店が上がります。また、販売店ではなく、メーカーでもありますが、RENDOさんも間違いがないと思います。

特にRENDOの吉見さんは、足を見てきた経験と、ラストを実際に削った経験をお持ちですので。

少しでも皆様のご参考になれば幸いです。

ZinRyuのツイッターはこちら。


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