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066話:ZinRyu独自のガラスレザーの開発、レシピ公開

開発のきっかけはこちら。娘に作る子供靴に使います。

きっと飛んだり、砂が散るところ少しの水たまりにも躊躇なく行けるよう、防水・防汚の機能を革にもたせました。俗に言うガラスレザーですね。

◆ガラスレザー加工する前の革について

ガラスレザーといえば、安い革を加工したコストダウン的意味合いがイメージとして強いですが、あえて最高級な革を使用しました。

使った革はこちら。生後6ヶ月以内の子牛革、俗にカーフと言われるもの。ただのカーフではなく、バブル期のコストを無尽蔵にかけられる頃、日本のタンナーが技術の粋を込めた、よく鞣されたカーフ。

風合いはこのように表情が良く、よく足に追従したはき心地も素晴らしいのですが。

元々の革の性質上、防水性能がよわく、ダメージも残ってしまったこともありました。(ツイートの靴には、この革を黒く染色して使用しました)

そんな問題を、今回のガラス加工により解決しようというわけです。

◆開発方法は?

通常は、チャーチのポリッシュドバインダーカーフ(ブックドバインダーカーフともいう)みたいに、独自性を持たせ、単価を釣り上げるため秘匿するんだけれど…なるべく広く知識を発信して楽しんでもらうのが、ZinRyuの趣旨。

というわけでレシピを公開します!

1)用意するもの(今回は、簡単に再現できるよう市販品を使います)
・バインダー(下地剤)

・合成樹脂スプレー(本剤)割れ防止剤を含んだもの

合計で千五百円あればお釣りきますね。ここで手にはいるので興味持った方はどーぞ。

工程紹介:

1)加工する革を用意する

2)埃があるといけないので、よくブラシで払い、布で乾拭きしましょう

3)バインダーを塗布します。なるべく均等に数回重ね塗り
(とはいえ、結構テキトー塗りしています)

樹脂スプレーの前にバインダーをかますことで、樹脂と革をバインダーがつなぎ、革と塗膜の両方を保護し、長く愛用することができます。

4)30分乾燥させる

5)合成樹脂スプレーを30cm革から離して素早くかける(写真とっている余裕ありませんでした)。必ず換気して(できれば屋外)やりましょう。けっこう死にかけます。というより毒ガスマスク欲しい。

6)30分乾かして、スプレーかけるのを2−3回繰り返す

7)完成

近づけるとこんな感じ。合成樹脂のコーティングがされながらも、革として元の表情を残した塗膜を形成できました。あと、ツヤも少し強くなった感じがしますね

◆効果は?

水をしっかり弾いてくれました。革を動かすと表面の水がコロコロ転がります。

4時間位経過後はこんな感じ

防水防汚加工を施す目的は達成。5月30日に思い立ってから、調査・研究・施行・検証まで10日と、結構気軽にできました。

ぜひぜひ皆様も革開発、色々チャレンジして結果をシェア頂ければ嬉しいです。

ZinRyuのツイッターはこちら。



気軽にカジュアルに履く方も作る方も革靴を楽しんでいただきたいので、有益な靴や革の情報を基本的には無償で公開していきたいと思います。 皆様のスキやサポートのおかげもあり、何とか続けてこれました。今後とも応援していただければ嬉しいです!何卒よろしくお願い致します!