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049話:コードバン靴に傷ができた時の対処

歩いていたら、どこかにぶつけてこんな傷がついてしまいました。

こんなとき、ショックは大きいと思いますが、レザーケアする上で冷静に革の状態を観察することが大事になります。

◆どんな状態?

傷がついてツヤが失っている箇所と、ツヤを保っている箇所に分かれています。ツヤはどんな時に出るかというと、表面が均一に慣らされており、靴に当たる光が乱反射する割合が少ない場合。

靴磨きするとき、ワックスで革表面の凹凸を埋めると鏡みたいに光るのもその論理です。おそらくここまではみなさんご存知だと思います。

ツヤを失っているのはその反対。不規則に革表面が乱れており、乱反射する場合。その対比が上記の写真に現れています。

◆どうすれば治るか?

乱れている部分を整えましょう。例えてみれば、朝起きた子供。寝癖でボサボサであれば髪のツヤは控えめになりますが、寝癖を直して、よくクシで整えれば天使の輪ができる感じ。これと同じ処方を靴に対して行います。

用意するのは靴クリームの瓶。(クリームではなく瓶)これをはじめに使用します。

こんな感じでガラスの底で力を入れて強くこすります。

そうすると傷がだんだんと目立たなくなってきます。⏬

なぜに、こんなことをしたかというと、コードバンの革を作る時、ガラス瓶で擦るのと同じような工程をたどるからです。

こんな感じで。(出典:久保柳商店さん

記載通り、革のツヤを出すための加工法の一種でグレージングといいます。この工程を経る前のコードバンにはツヤはありません。表面が少し乱れており乱反射している状態です。

その後、クリームを塗布。明るい革なら無色。それ以外は革の色に合わせればいいと思います。

塗布した後はブラッシングしてなじませます。

その後、(布ではなく)手の指で強くこすりながら磨いて完成。布ではなく、指でやるのは、よりコードバンの繊維を寝かせて表面を整える効果があるからです。私はコードバンを磨く時は布ではなく手を使うことが多いです。

完成。無事復活!ちなみにこの方法はコードバン以外にもブライドルレザーやヌメ革など、タンニンなめしの革には有効です。不幸にも傷がついてしまった場合はぜひ、試してみてください。

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