花譜ファーストライブ「不可解」への想い

いつも花譜を応援してくれてありがとうございます。バーチャルシンガー花譜の運営チームから、御報告があります。

花譜1st ONE-MAN LIVE「不可解」無事終了いたしました。ファーストライブ閉幕まで辿り着き、関係者の皆様と支援してくださったファンの皆様には心より感謝しております。

また、ライブの最後に発表された花譜ファーストアルバムについて。このアルバム「 観測」は、花譜とカンザキイオリ氏の全面的なコラボレーションによる、花譜の初めてのアルバムとなります。全曲カンザキイオリ氏書き下ろしによる若き異能同士の、今この瞬間しか産まれない事件を是非ご期待ください。

また京都アニメーションさんへの「不可解グッズの売上全額寄付」に関しての詳細は来週別途御報告させて頂きますが、花譜の大事なファーストライブが結果的に(一部分ですが)チャリティーライブの要素も兼ねれたこと、花譜自身もとても喜んでおります。

「花譜や運営がちゃんと利益を取って欲しい」との声を頂けてその気持ちが凄く胸に刺さったのですが、「ビジネス」のことは継続させる為にも(チームを運営するものとしての義務としても)忘れないように考え続けるつもりです。でも今回は花譜の気持ちの部分が大きいのと、お金以外のお金以上のものを皆さんから受け取ることが出来たので、それで充分です。花譜はしっかりと継続していける体制を組みつつあるので御安心ください。

沢山の方々の協力でようやく創り出した花譜の「プロローグの終わり」である、ファーストライブのエンドロールには、関わってくれた全ての方々のクレジットを入れさせて頂きまし た。

総勢100名を超える様々な立場の個人、チーム、会社の方々が入り乱れて参加した「不可解」は、ファンの皆様と共に遂に完成に至りました。この体験を作り出す時に、組織やいくつかの利害関係を超えて、私達一人一人は本当にただの「花譜」が好きなだけの人間でした。

「企業」は得体の知れないナニカなどでは実は無くて、あくまでも血の通った「個人」の集合体であり、また美しい作品や事象を産み出す為には一つの映画制作の如く沢山のスタッフが関わり、その「血と熱」によってのみ物語は形創られるのだ、という表現をする上では当たり前のこと。

例えば物語のはじまりは、最初はたった一人の孤独から輪郭を帯びる。

仮に孤独こそが次世代の情景を産み出すある種の資格であるとするならば、同時にたった一人きりではその情景を育て描き切ることなど出来はしないのです。

しかし一人が二人に、二人が複数人となることで孤立していただけのただの妄想は初めて「時間軸を伴う生きている物語」へと進化します。私達はなるべく沢山の人達と生きた物語を作りたいです。

だから最後のエンドロールに全てを込めました。「TEAM FUKAKAI」として組織や会社のクレジットは外して個人名義のみを、ファンの皆様のお名前と共に並列表記させて頂きました。

※各制作チーム&会社へのリスペクトという観点においてはチームや社名を外すことは本来は良くないことかもしれないですが、ライブの趣旨を説明させて頂き今回はこの表記で了承を頂きました。創り手のみならず色々な形で参加してくれた皆様が観測者であり共犯者、ライブを目撃してくれた方々も含め皆がひとつの「TEAM FUKAKAI」という想いです。参加してくれた皆さんに対しては感謝と感動しかありません。

そして、いずれバーチャルビーイング時代を迎えるのだとしても今はまだテクノロジーのみでは「本物の激情」をゆり動かすことは出来ないと感じています。

たとえ未来は違う帰結だとしても、「感情的で曖昧で暴力的でいて美しい、少しだけ向こう側の情景」は未だ“人間”にしか作り得ないのだ、ということが(花譜のファーストライブを成功させるという大命題以外に)このライブを通じて、もう一つだけどうしても私達が皆様にお伝えをしたかったメッセージです。

VTuberにとっての「キャラクター」というインターフェースは使い方によっては個人を守る”盾“にもなるし、”封印“にもなり得ます。

「人間の出来ないこと」を補完し新たな可能性を推進するのか?或いは「人間性の否定」を加速させていくのか?どちらにでもなり得るという事です。本来は「祈り」そのものであったはずのものが時を経てある種の「呪い」に転換してしまった事例を私達は現実でも幾度となく見たことがないでしょうか?

“VTuber業界から脱線している身”としてシーンを少し遠くから見渡して今感じていることは、この業界の「未だ圧倒的な未知なる可能性」と「中の人に対しての無自覚な愛の足りなさ」でした。※勿論愛のある人達も居ます。

そして、クリエイティブとは科学と同じ様に業の深い側面もあり、気がつくとより「面白い」方向に向かって行ってしまうのが人間の性です。だからこそ踏み止まったりちょっと考えてから一歩前に進んだり、「バーチャルのその先に一人の人間がいること」に出来るだけ自覚的でありたいと(自戒の意味を含め)考え続けていきたいなと思います。

“「面白さ」が暴走しすぎないように、人に向き合った「面白いコト」を創れるようになりたい。”

それが私達にとってのノブレス・オブリージュであり、祈りです。

「花譜」はある種のプロジェクトであり、映画制作のようなチームワークでの総合芸術でもあり、ネット上に生きているバーチャルな歌姫でもあり、少し遠くに住んでいる極々普通の実在する15歳でもあります。

私達にとっての「花譜」は、フィクションのようでいてノンフィクション?な未だよくわからない存在なのです。でもそれで良いと思ってます。

“不可解”は分かり得ない。だからこそ“不可解”は美しい。

小さいことで悩んだり喜んだり、自分自身を疑ったり自信が無かったりする、世界の何処にでもいる普通の女の子が「花譜」で、クラウドファンディングから産まれた楽曲「そして花になる」で彼女が伝えてくれた等身大の言葉が多分彼女の全てです。

それはかつての自分達と同じでもあり、何よりもこの世界に同時代に生きる「15歳」達に深く共感してもらえる“古くて新しい御伽噺”だと確信しております。

世界の何処にでもいる普通にいる女の子の「可能性の拡張」が我々が“今実現させるべき仕事”なのです。

そして新しいコトへの挑戦は常に、「今見える事しか信じない人達」と「まだ見た事が無いものを信じる人達」の透明な戦争の歴史とも言えます。だからこそ私達は音楽や物語の奥底にある、人間自身が産み出す不確かなものを信じています。

美しくて不可解なものを信じるために。

クリエイティブの魔法をもう一度だけ確かめるために。

許せない人をいつか許すために。

花譜や仲間達や好きになってくれた方々と共鳴するために。

ずっと遠くにいる誰かのために。

観測しあうために。

この白でも黒でも無い「不可解」を捧げたいと思います。

現実にはまだ見たことのない「目指すべき情景」には未だ全く辿りついていせんが、バーチャルとリアルの繋ぎ目であるライブ会場と、生配信を埋め尽くした沢山の気配からは、不確かな感動とカオスとはじまりが確かに有ったのだと今は実感しております。何より私達自身、皆さんの凄まじい熱量に心から驚き感動したのです。

実は今回時間と予算の都合上やりきれなかったこともありました。非常に沢山の反省点があり、多方面から参加して頂いたスタッフ&クリエイターのみなさんには私達の力不足の為にとてもご迷惑をお掛けしたとも思います。もっと時間的、資金的な余裕と、事前のR&Dが絶対的に必要だったと正直今は痛感しています。

それでも「不可解」が大きな事故も無く無事に終わったことは、素直に本当に嬉しいです。(自分達が悪いのですが)流石にやる事が膨らみ過ぎてとことん疲れ果てました。ですが、ここで得た知見を今後の花譜の世界観にフィードバックして、またいつか皆様によりベストな「新たな不可解」をお見せできる日を心から楽しみにしています。

これからも花譜や皆様とワクワクするような、音楽を通じた「少しだけ」世界を変える為の実験を一緒に創っていきたいです。

本当にありがとうございました!

バーチャルシンガー花譜運営チームプロデューサー

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