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Make Me Happy!

いつもと雰囲気が違う。
みんなマスクをしてる。

それも女性ばかり。
なんだろう?

今日は友達とお出かけ。
いつもの駅前集合。

そしていつも私は、
待たされる。

友達の辞書に、
定時の文字はない。

いつしか私も、
30分待てる人間に。

現在、集合時刻3分前。
当然、友達の姿形もない。

遅刻の理由。

身支度の問題。
メイクに時間かかるって言ってた。

まあ、わかるけどね。

私も出かける時間から、
逆算して起きるから。

今日は、何時に起きたんだろ?

遅刻がわかってて、
先に来て待ってる私も私…。

さて。

いつもの店で、
コーヒーを飲みながら時間潰し…。

「お待たせ」

不意な攻撃。

ありえないことが起きた衝撃。
胸とトーンを抑えながら私は尋ねた。

「どうしたの?早い…っていうか、
 メイク変えた?!」
「うん」

「すごく…可愛い…。
 どうしたの?」
「これ、オートメイク

「え?!そうなの?」
メイクプリンターにしてもらったの」

「え?どこで?」
「この駅、2階のテナントに」

「え~!知らなかった。
 高かったでしょ?」
「うん。でもカラー代ぐらい。
 私メイク苦手だし、やりながら迷うから…。
 いつも待たせちゃって、ごめんね」

「別にいいのに。逆にお金かかっちゃって…。
 でも、そのメイクいいよ。眉も綺麗にまとまってて、
 全体的に明るめで華やかな感じ。すごく似合ってる」
「ありがとう。
 AIおまかせにしてみたの。
 パーツ別に微調整できるんだけど、私迷うから…。
 いつも決まらない目元も、
 綺麗に仕上げてくれた」

「本当、すごいね。
 こんなキレイにライン引けるんだ。
 それにまつ毛の束がそろってて綺麗」
「これ新機能なんだって」

「これで何分?」
「顔データは事前登録してたから、
 スキャンがない分早かった。
 だいたい7、8分ぐらいかな?
 吹付け…っていうか塗るのは2分ぐらい?
 やっぱりまつ毛に時間かかった」

「だよね。瞬きしたくならなかった?」
「なった!
 でも、メイク前に事前アナウンスあるから、
 大丈夫だった。でも途中でStandbyとか言われると、
 なんか緊張した」

「楽しそう。メイクプリンターって、
 印刷フィルム貼るやつは私も試したの。
 でも私は貼るのが下手でダメだった。
 だからこの熱転写式?は試してみたいと、
 ずっと思ってた。私もしてみたいなあ…。
 ちょっと、今から行ってみていい?」
「う~ん、いいけど…」

「なにかあるの?」
「待ち時間があるから…」

「だって7、8分で終わるなら、
 すぐじゃない」
「私も今日は並んだけど、97番目で…」

「97番目?!え?
 今日、何時から並んでたの?」
「開店2時間前…」

「もしかして、まだ並んでた?」
「うん、私の後ろにもう100人ぐらい…かな?」

「それは無理だね」
「うん」

「開店時間って何時だった?」
「7時。要望でそうなったみたい。
 通勤時間に合わせて…とか」

「……今日、何時に起きた?」
「4時」

「…今日は買い物あとにしよう」
「え?いいけど」

「まずは私のおごりで、
 コーヒー飲みに行こう」
「いいの?」

「いいよ。
 今日は私のいきつけの、
 リラクゼーションカフェ教えてあげる」
「うん」


この話はフィクションです。
でも遠い未来では……。

お疲れ様でした。