【独男向け】ぽっちゃり既婚者役に立て⑬【エッセイ】

そこから、富士山は鳴沢氷穴、鳴沢風穴に向かった。要するに洞窟である。
時は6月も半ば。外を歩けば汗ばむ陽気が、洞窟内では真冬である。そういうことを教えてもらえなかった、いや悟れなかった。
フェスTシャツを来ていた。受付で話しかけられる。

「音楽関係者の方ですか?」

確かに体格はデカいし、髪も染めていたから、自身でもそれっぽい自覚はある。はいそうですとか言っとけばサインとか残せたかしら。続けて
「中寒いですけど大丈夫ですか?」
「大丈夫です!!」
元気いっぱい言ってみた。
結論、−7℃である。いや、寒いとかじゃなくて。もう少し強調してほしかった。”氷点下です”って言われたら、ね?
小学生の林間学校らしき探検隊と共に征く。半袖1枚あたしだけ。ヘルメットは付けていた。これもしなかったら、髪の毛ごと持っていかれること数回だったろう。
無限の可能性たちとの洞窟旅を終えて、鳴沢をあとにした。

埼玉への道の途中、母親と姉を”まっさん”の講演から迎えに行き、そのまま無事、帰還したのである。

〜つづく〜

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