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「自校学習」「基礎ゼミ」でのオンライン学習との相乗効果について

 私が所属する経済学部の1年次必修科目「基礎ゼミ」においては、広報室建学史料室から提供された本学の歴史に関する動画資料を用いたオンライン学習又は課題を出すことが強く推奨されていました。ほとんどの経済学部1年生はこれらの動画を視聴し近畿大学の歴史について学ぶことが出来ておりましたが、私は映像資料の知識のみで本学について学生たちが「知ったつもりになる」ことを危惧いたしました。
 そこで私は、自身が担当する「基礎ゼミ」および共通教養科目『自校学習』受講学生に建学史の動画を視聴させたのち、学生たちを伴って不倒館見学を実施いたしました。未だコロナ禍が収まりきらぬ中で「密」発生を回避するために少人数ごとの短時間での見学となってしまいましたが、それでも学生たちは展示物から学び取るものが大いにあったようです。

経済学部1年生「基礎ゼミ」の授業での見学の記念に
初代総長 世耕弘一の肖像と世耕弘一の苦学の象徴である人力車と共に
上記学生と同じ「基礎ゼミ」の受講生
新型コロナウイルス感染症感染拡大防止対策の為、2班に分かれての見学
経済学部共通教養科目「自校学習」の授業での見学の記念に

 以下は、受講学生による感想レポートの抜粋です。「世耕弘一先生が愛用されていた多くの私物を見て、親近感を持ちました」、「世耕先生が今まで築き上げたものや生活で実際に使われていたものがそのまま展示されてあり、大学愛を感じました」、「創設者の世耕先生の展示品が今でもこれだけ残されていることで、よほど尊敬されていた人なんだということが分かった」、「世耕先生は苦労をしながらも我々に学びの場を作って下さった。その恩恵を受けている我々は、学べることが決して当たり前のことではないことを肝に銘じつつ、これからも勉学に励んでいきたい」
 本学に籍を置く学生として、また本学卒業生としての学位とその社会的評価を背景に社会に巣立つ者として、母校である近畿大学の歴史について学んでおくことは重要です。そしてそのためのツールとして、オンライン学習は非常に有効であると考えられます。しかし、大学の歴史を「知識として知る」ことと、その歴史から「何かを学び取って自分自身の大学での生活をより良くしようと意識付ける」こととのギャップを埋めるための有効な手段が、「実際の事物を通して『歴史を感じ取ること』」ではないかと私は考えます。本学とご縁を持たれた学生の皆さんや教職員の皆さんには、不倒館を見学されることを強くお勧めする次第です。


文:広報室建学史料室研究員・近畿大学経済学部准教授  藪下 信幸
写真:執筆者近影(不倒館にて)


(2023年3月31日公開)




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