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兵庫県選抜を全国初優勝に導いた、江藤正博の3-1システム

2018年9月21日(金)~23日(日)、島原復興アリーナ(長崎県島原市)にて開催された第34回全国選抜フットサル大会は、兵庫県選抜の優勝で幕を閉じた。
http://jff-futsal.or.jp/news/?p=3379

 フットサルが盛んな(特に女子が強い)兵庫だが、意外にも兵庫県選抜の全国選抜大会は今回が初優勝。悲願に向けて、協会が監督に迎えたのが、イタリアから帰って来て兵庫(カンカンボーイズ)での活動を再開していた、元フットサル日本代表の江藤 正博だった。

 フットサル全国選抜あるあるかもしれないが、(練習できる)「時間が無かった」と江藤は言う。全国優勝までにチーム練習は6回(関西大会までに3回、全国大会までに3回)。メンバーも江藤の戦い方の核となる『ピヴォ=武石 高弘』と『足元のあるゴレイロ=杉山 哲一』の2人以外は、選考会に来た選手からだけで構成。ほとんどのメンバーが江藤と「はじめまして」状態だった。

 限られた時間の中で、まさにゼロからのスタート。そこで江藤は「何をどうやったら勝って行くのかを伝えた」という。その中のひとつで、メインの戦い方となったのが今回紹介する『3-1システム』だ。

 Fリーグでバルドラール浦安、湘南ベルマーレ、デウソン神戸、アグレミーナ浜松を渡り歩いた江藤。スペイン人監督に師事することが多かったため、「元はクアトロ派だった。体を当てられないように、走力を活かして、動いて、動いて、というのは日本人にも合っていると思っていた」というが、「イタリアに渡って考え方が大きく変わった」「今は『3-1』が最強のシステムだと思っている」「強いチームには必ず良いピヴォが居る」と話す。

 江藤の考え方のポイントは「いかに早く相手ゴール前にボールを近づけるか」にある。「ピヴォにいつ当てるか、知っている?」と選手に尋ねても答えることのできない選手が多かった。そこで江藤はまず「ピヴォへの当て方を伝えた」という。それは、具体的に言ってしまえば、「パス2本以内に前線にボールを送る」手段だった。クリアランス、自陣のキックイン、キックオフ、この3つのリスタート時すべてで、この攻撃パターンを狙うことができる。

 江藤は中央にピヴォを張らせない。理由はスペースが無くなりがちになるのと、ピヴォが動き過ぎないようにするため、だ。「ピヴォ動き過ぎて、ボールを受けた時には疲れ切っていることがある。それでは、仕事ができない」。江藤は『偽ピヴォ』を、どちらかのサイドに張らせ、反対サイドには大きなスペースをつくっておく。基本、ピヴォが動かずとも、『ピヴォ当て』が入るようになっている。

具体的には、こうだ。

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