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ミゲル・ロドリゴ監督が見る今大会の日本代表「ポジティブにならないといけない」

 2012年、フットサル日本代表はタイで開催されたフットサルW杯でベスト16進出を成し遂げた。その時にチームの指揮を執っていたのは、ミゲル・ロドリゴ監督。現在、日本代表を率いている木暮賢一郎監督は10番を着けて自身3度目のフットサルW杯を戦った。

 あれから12年……(恐ろしい…)。ミゲル監督はタイ代表の監督に二度目の就任を果たして、AFCフットサルアジアカップ・タイ2024を戦っている。4月21日のグループA第3節ではライバルのベトナムに2-1で勝利し、グループ首位通過を決めた。

 タイは本大会開幕前に、日本と国際親善試合を行っている。その時、どんな印象を持ったのかを聞きたくて、ミックスゾーンにミゲル監督を捕まえに行った。日本人女性記者を見つけるなり「ゲンキー?」と人懐っこい笑顔で長めのハグを交わしたスペイン人監督は、日本代表の話になると、厳しい表情に変わった。

 ミックスゾーンでのミゲル・ロドリゴ監督のコメント

――今日の試合の感想は?

ミゲル 前半と後半で違う試合になりました。前半、私たちはとても良いプレー、ハイレベルなパフォーマンスをしていました。3点、4点取ってもおかしくなかったのですが、ベトナムのGKがほぼすべてをセーブしました。こうなると後半が難しくなるのは理解できます。同点に追いつかれた時は、ショックを受けてしまい、コントロールできなくなり、酷いプレーになってしまいました。それでもこの大観衆、サポーターの声援を受けたことで蘇り、戦うことができました。2つ目のゴールが決まり落ち着くことができ、再び自分たちのプレーができるようになって試合を支配できました。最終的に勝利に値したと思います。ベトナム代表は、非常に成長していました。プレッシャーを高い位置からかけてきますが、あのプレッシャーは非常に厄介でした。本当に素晴らしい成長を遂げていることを祝福したいです。また、ディエゴ・ジュストッシ監督という世界有数の監督であり、私の友人、兄弟とも言える存在が率いていることも、彼らにとって素晴らしいことです。彼らは向上しました。つまり、この勝利は我々にとってとても大きなことです。なぜなら第一に私は首位でグループを通過できました。第2に今大会の準決勝進出チームの候補との重要なテストに勝てたからです。自分たちが試合をコントロールできている時、チームがミゲルスタイル、つまりハイプレスを掛けられることも認識できました。スピードに乗った攻撃もできています。試合をコントロールできていない時、私はとにかく守って、守って、守り抜き、耐えなければいけません。そして、そこから立ち上がる。アジアには簡単な相手はもういませんから、非常に難しい戦いでした。だからこそ、ファン・サポーターも祝福したいですし、感謝を伝えたいと思います。


アルゼンチン代表をW杯優勝に導き、現在はベトナム代表を率いるジュストッシ監督

――次の準々決勝に向けては?

ミゲル まだ相手が決まっていないので、机上の空論になりますが、対戦相手はおそらくイラクになるのではないでしょうか。彼らを率いているのは、ブラジル人の素晴らしい指導者であるカカウ監督です。彼は2度、欧州制覇(UEFAフットサルチャンピオンズリーグ)を成し遂げている人物であり、戦術的にも非常に準備が難しい試合になるでしょう。なぜなら、彼のチームは5人で攻めるパワープレーを常に仕掛けてくるからです。彼らは試合のリズムを崩しに来るので、戦術的にしっかりと準備しないといけません。次の試合も、もう一つの決勝戦になります。決勝に進みたいのであれば、イラクを倒さなければいけませんし、準決勝に進むと同時にW杯進出を決めたいと思います。

日本の記者向けインタビュー

――大会前に対戦した日本代表ですが、どんな印象を持ちましたか?

ミゲル うーん……。私たちは、ポジティブにならないといけません。特にスポーツの世界で生活をしているのであれば、前向きになることはとても大切です。ただ、アルトゥールと(清水)和也の抜けた穴は、あまりにも大きなものであり、簡単に克服できるようなものではありません。アルトゥールを失ったことは、最後尾のチームのコンピューターを失ったことを意味します。和也を失ったことは、ゴール前のキラー(殺し屋)を失ったことを意味します。もう彼らはいません。

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