改良

華僑心理学No.4 なぜ、中国人は反日なのか?

こんにちは、こうみくです!

前回、なぜ中国人は、声が大きくてうるさいのかという題目について、たくさんの感想を頂きました。

 皆さんからの感想は、すべてこちらから見れます。↓


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本日は、「なぜ、中国人は反日なのか?」といった少々トリッキーなテーマについて解説していきたい。一方で、上記疑問点に触れる際に、「本当に、多くの中国人は反日感情を持っているのか?」という前提について、整理したい。


そもそも、どうして我々は、中国人は日本に対してネガティブな感情を抱いているに違いない、という漠然とした印象を持っているのだろうか?

恐らく、大きな原因のひとつとして、2012年の中国で起きた反日デモの影響が挙げられるだろう。当時日本にいたわたしは、TVで連日流れる映像に、とてもショックを覚えた記憶がある。

中国全土で、大衆が日本の百貨店や飲食店に石を投げたり、破壊する姿は、とてもショッキングで、ただただ悲しかった。正直、あの光景をみたわたし自身、反日感情を持った中国人は思ったよりもたくさんいるのではないかと、思ったくらいだ。

しかし、調べれば調べるほど、このような社会的騒動がおこる引き金として、表面的に語られる理由以外にも、政治に対する不満や経済的格差、雇用問題など社会問題、日々の生活に対する不安やストレスなど、様々な要因が複合的に絡まっていることが分かった。

もちろん、ああいった暴力は肯定できるものではない。一方で、「日本が嫌いだから」といった単純な感情的な理由だけで、説明できるものではないことも事実である。

現に、2012年の反日デモ騒動時に、ネットで出回った、一番有名な写真がこちらである。

片手に中国の旗を持っているこの女性。 彼女は、反日デモに参加した帰りに、デモ会場に乗り付けた日産の愛車が破壊されているのを見て涙目のお姉さんである。

この画像が出回ると、ワロタという感想が中国のネット民で湧きおこった。中には「本気で日本製品をボイコットしたかったら、まずは、奥さんの資生堂の化粧水を割ってみろよ。」との声もあり、暴動にタダ乗りする人々に対して、冷ややかな見方をしている人が大勢いることが垣間見えたのであった。

よって、反日デモが起きたからと言って、多くの中国人が反日感情を抱いている、と単純に結びつかないのである。


2.中国人にとっての日本=日本人にとってのハワイ

では、中国人は日本に対してどう思っているのか。その疑問に対する答えを、統計的に示す根拠として、次のデータを見て頂きたい。

昨今、経済発展が著しい中国では、年に2回ある大型連休の春節と国慶節で海外旅行に出掛けることが非常に流行っている。そして、その人気の海外渡航先として、日本は2年連続1位を記録している。

2017年通年で見ても、来日した中国人観光客は700万人以上を突破し、全訪日外国観光客の4人に1人は中国人…という構成である。

そして、もうひとつのデータに注目してほしい。2018年3月20日に観光庁が「訪日外国人消費動向」を発表しており、その中に「日本への来訪回数」という項目がある。それによると、なんと、中国人観光客のうち、実に全体の45.6%が2回以上日本を訪れたことのあるリピーターだったのだ。

皆さん、自分のこととして思いを巡らしていただきたいのだが、嫌いな国にわざわざ旅行で訪ねるだろうか?

さらには、嫌いな国にわざわざ2回も3回も訪ねるだろうか?

海外、国内問わず、大抵の旅行先は一回行けばいいもので、どうせなら次は別のところへ~…と思わないだろうか。わたしは、思う。そして、2回3回とリピートする行先は本当に稀で、ハワイとサイパンくらいしか思いつかない。そして、言うまでもなく、わたしはハワイとサイパンが大好きだ。大好きだからこそ、何回も何回も訪れている。

つまり、多くの中国人にとっての日本は、何度もリピートしたくなるハワイ的な存在であるということが、統計で証明されているのだ。


3.中国観光客の消費行動から読み取れること

「でも、どうせ日本に来ても、爆買いしているだけでしょう?」

このような疑いの気持ちがぬぐい切れない方も多いだろう。そこで、中国版のインスタグラム的な存在であるREDというアプリを使って、検証してみた。このアプリは28歳以下の若者の間で非常に流行しており、合計1億人のユーザーがいる。ありとあらゆるジャンルの口コミ情報を検索できることが特徴であり、試しに日本旅行と検索してみると、このような結果が出てきた。


中には、右下ような「日本在住11年のわたしがおススメする絶対買うべき一覧!」といった爆買いの指南書がある一方、同じくらいたくさんの「日本に行くなら、これをやるべし、食べるべし」といったアドバイスもたくさんある。

その中で、代表的なのがこちら。

4泊5日の九州旅行の歩き方を示した内容であるが、太宰府天満宮を回ってから光明禅寺と九州国立博物館。夜は湯布院で神楽器の演奏を見てから、次の日はUMITAMA水族館と高崎山を巡って~…と、日本在住歴20年のわたしもびっくりな、かなりマニアックな旅程が紹介されている。

このように、日本を2回、3回、4回とリピートする観光客の特徴として、モノ消費の次にコト消費に移る傾向があり、買い物だけでなく、体験や食べ物といった、日本文化により深く刺さりこんだコンテンツを求めるようになる様子が、お分かりいただけるであろうか。

例えでいうならば、日本人がハワイに行く際に、1回目はワイキキビーチ沿いのホテルに泊まりながらアラモアナショッピングセンターで買い物といった王道ルートを辿るだろう。すると、次に訪れる2回目では、カイルアビーチまで足を延ばしてみたくなるし、3回目はハワイ島でゆっくり過ごしたくなる、といった心理に非常に似ているのだろう。

ここに、中国人の日本に対する感情のヒントが垣間見れるのではないだろうか。


4.たがいの間に流れる緊張感の正体

隣人として、長い時間共に過ごしてきた中国人と日本人は、なんだかんだ、お互いに興味はあるし、リスペクトの気持ちも持っている。それなのに、なぜ、互いにぎこちない感情を抱き続けているのだろうか。

ぎこちない感情の正体。それは、「相手がじぶんを嫌っているのではないか」という不安感である。

心の中で、相手に対する不安感を持っていると、相手にもなんとなくその気持ちが伝わるものである。その結果、思考が現実となりるように、不安感が緊張感となり、緊張感が現実的な、心理的な壁となるのである。

わたしがこの事実に気付いたキッカケは、3年前の叔母の来日だった。母は3人姉妹であり、中国本土に姉が2人いる。その2人の叔母が3年前、2人そろって初来日したのだが「日本を回るのは、楽しみだけれどもちょっと怖い」という理由で、ずっと母がつきっきりで、観光をしていた。

しかし、2週間の長丁場の滞在となると、アテンドする母も疲れがたまったのか、最後の最後に、体調を崩してしまったのである。帰国前最後の1日は、一番楽しみにしていたディズニーランドが予定されていたこともあり、迷った挙句、「次いつ来れるかわからないから」という理由で、急遽、叔母2人だけ訪れることになったのである。

(ディズニーランドにしぶしぶ向かう叔母2人。緊張で顔が引きつっている)

日本語が話せない2人だけで出掛けるということで、叔母たちの緊張と不安はピークに達していた。日本は好きだけれども、日本人に対する不信感は、正直、拭いきれていない。そんな2人を、わたしと母は申し訳ない気持ちと、心配な気持ちで送り出していった。果たして、大丈夫だったのだろうか。


夜中23時を回った頃。

「ただいま!」と、自宅のドアを陽気に開けて帰宅した叔母たちは、予想外にも、いままで見たことがないほどの満面の笑みを浮かべていたのである。

「どうしたの?京都よりも、浅草よりも、そんなにディズニーランドが楽しかったの?」

驚いたわたしはたずねた。

すると、こういう話だった。

叔母たちは、不安と緊張が高まって、行きの電車で、乗換を間違えてしまったらしい。このままでは、ディズニーランドの最寄である舞浜駅にたどり着けないと何となく感づいたけれども、どう方向修正すれば良いか、全くわからない。

そこで、困り果てた叔母たちは、最後の手段として、勇気をふり絞って、隣にいるサラリーマンに、手振り身振りで助けを求めたのである。

すると、朝の通勤時間であるにもかかわらず、そのサラリーマンの方は、親切にも、叔母たちと一緒に次の駅で電車を降りて、正しいホームまで連れて行ってくれたというのだ。

「その優しさが本当にうれしくてね。感動したのよ!」

興奮冷めやらぬ叔母は、言葉をつづけた。

「京都の金閣寺よりも、銀座のデパ地下よりも、ディズニーランドのエレクトロパレードよりも、電車で日本人の方に親切にしてもらったことが、何よりも一番うれしかったし、心に残る思い出になった!」

「日本も日本人も、大好きになったわ!」

日本に対して抱いていた緊張、日本人に対して消し去れることが出来なかった不安の塊が、旅の最後の最後になって、溶け去った瞬間であった。

様々な先入観や不安がある中で、じぶんから心を開いて愛情と優しさを差し出すことは、簡単なことではないだろう。ただ、こわばった顔は相手の心にも緊張感を植え付けるように、朗らかな笑顔は、相手の心に優しさのタネを植え付けるのだと、叔母もわたしは、見知らぬ優しいサラリーマンの方に教えてもらったのだ。

あの日、叔母たちの心に植えられた優しさのタネは、今もすくすくと育っている。現に、あれから叔母たちは、大の日本好きになってしまい、今でも何かしら言い訳を作っては、何度も何度も日本を訪れているのだから。


<今日のまとめ>

1.多くの中国人が反日感情を抱いているというのは、イメージであり、証明された事実ではない。

2.中国人の人気な海外旅行の渡航先として、日本は2年連続2位をキープしており、中には何回も何回も訪れている人が多々いる。

3.互いにぎくしゃくした感情を抱いている理由は「自分は相手から嫌われているのではないか」という緊張感と不安があるから。じぶんから心を開けば、世界は変わる。


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