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ホスピタリティ、この柔らかさの裏には長きに渡る胆力が|松坂 健さん

10月2日、武蔵野美術大学 大学院造形構想研究科 クリエイティブリーダシップコース クリエイティブリーダシップ特論 第13回の授業内にて、元大学人気教授の松坂健さんのお話を聴講しました。

観光やホスピタリティをメインに研究活動をされており、世の中のサービスや企業の実態をあらゆる角度の切り口で切って説明してくださいました。ちょうど大手老舗旅行会社のトーマスクック倒産のニュースの翌日であったこともあり、倒産に至った背景についての話になりました。中間卸のような位置付けの旅行パッケージ&代理店事業の競争優位がデジタル企業によってディスラプトされたこと、ならびに経営陣共にデジタルビジネスに精通しておらず、意思決定に失敗した結果、倒産に至りました。

これらの事例のお話の中でも面白かったポイントとしては、「商品でいい店と思ってお客さんは来て、接客でよくない店だと思って帰っていく。」ということ。たしかに実感値がありなるほどなと思わされました。ではどのようにして接客をよくするのな。それにはサービスを超えてホスピタリティが必要だということ。

ホスピタリティとサービスの違いは、本質的には何かを創るか、なにかを解き達成するかの違いだという。これまでホスピタリティの高い体験としては、やはり星野リゾートを思い出す。その地域でなにができるか、どのようなものが宿泊客に喜ばれるかを徹底的に考えて行なっている。さらに感心することは、従業員ひとりひとりがホスピタリティのスペシャリストとして考えさせていること。従業員がどう意思決定するかが非常に重要となり、それの集積で体験が創られるのである。

従業員としての振る舞いを考え議論をしました。ケースメソッドという教育方法で「赤ちゃんとホテル」と題して議論をすることをしました。ケースメソッドは成功事例を取りあげるケーススタディと対比して使われる方法とのこと。自分で考える思考力、論点を立てる力を育てることを可能とするとのことで、皆で議論をしました。端的に主題としては一流ホテルのレストランで泣き止まない赤ちゃんをつれた夫婦に対して店員としてどのような態度をとりますか?と。抱いて10分あやしてあげてお客さんに感謝された店員の行動に対してYesかNoかどちらですかと。

これには答えはありません。サービス業は結果がなによりも重要です。その結果はお客さんが心地よいと思えるかどうか。いろんな状況で変数も多くスピード高く対応しなければならないことに意思決定していかなければならない。これができるようになるには、この体験を創造するために何かしらのアイデアを出して応えようという姿勢とそれを継続し続ける胆力が重要に思います。

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