職人さんの方が東大卒サラリーマンより考える力がすごい?

前回:考えるのは本当に自分の「頭」?

1. 学校

1-10. 職人さんの方が東大卒サラリーマンより考える力がすごい?

「自分の頭で考える」というとき、それが大学まで行って勉強をした人たちだけが持っている特別な能力みたいに捉えている人たちがいる。君にはそんな風に思ってほしくない。考える力は、別にお勉強をした人たちだけのものじゃない。少し前に話した疑う姿勢がなかったら、勉強してる人たちにだって考える力はない。それはただの知識やろうだ。

このことに気づかせてくれる良いテレビ番組がある。『プロフェッショナル仕事の流儀』だ。この番組は、なにかしらの道を極めた(本人たちはそれを認めないけれど)人たちに密着して、その仕事振りや思想を明らかにしていくドキュメンタリー番組だ。NHKだから民法の番組と違って、世間の人気や注目度を無視した人を選ぶことができる。だから、この番組に出てくるプロフェッショナルたちの分野は実に様々だ。プロスポーツ選手、シェフ、大工、医者、農家、研究者、ビジネスマン、写真家、サービスマン。観るまで存在すら知らなかった職業のプロフェッショナルもよく出てくる。

この番組に出るほどのプロフェッショナルの言葉を繰り返し聞いていると、分野は全く違えど似たようなことを言っていることに気づき出すんだ。彼らは、常により良いアウトプットを生み出す方法を探し続けている、という点で共通している。

探し続ける、これはつまり考え続けてるってことだ。「より良いアウトプットを生み出すにはどうしたらいいか」とか、「より良いアウトプットとは何か」みたいな問いがあるからこそ探し続けられるからだ。

その問いを持つためには、現状のアウトプットを疑う姿勢がなくちゃいけない。どんな分野であれプロフェッショナルに出るほどの、少なくとも相対的にはその道を極めたような人たちはみんな考え続けている。だから何が起きるかっていうと、同じ質問を投げ掛けたとき、中卒でその道に入って大成したような職人さんが、世間で良いとされる大学を卒業したサラリーマンより、はるかに深い答えを言ったりするんだ。

君が幸せに、自由に、意味のある人生を生きていくために考える力ってのは大切だ。だから君にその力を育てていってほしいとは願ってる。けれどその育て方は勉強に、学問に縛られなくていい。なんだっていい。どんなことからでも考える力は育てていくことができるから。

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