年収1000万より年収500万が高給?

前回:偏差値で良い大学と頭の良さを測れるのか

1. 学校

1-5. 年収1000万より年収500万が高給?

前々々回から、おかしな大人の大学の捉え方について話している。

3つ目のおかしいところは、高給ってのを他の企業と比較して言っているところだ。大学生になると周りから聞くようになるのは「年収1,000万」って言葉だ。「平均年収1,000万円は超える企業に就職したいよなあ」なんていい始めるようになる。

けどもし理想の人生が、海外リゾート地に別荘を持って、高級スーツを身に纏って社交パーティに参加し、子どもを5人育てることだとしたらどうだろう。

1,000万円なんて全然高給じゃないはずだ。けどもし理想の人生が、山奥にツリーハウスを建てて、自給自足しながら子どもを1人育てることだったらどうだろう。年収500万でも高給なんじゃないだろうか。極端な例ではあるけれど伝えたかったのは、高給ってのは他の会社に比べて決まるものじゃなくて、自分の理想の人生や夢に照らして決まるものだっていうことさ。

4つ目のおかしなとこは、一生安泰な会社があると思っているとこだ。残念ながら一生なんてことはありえない。当時最強だっただろう恐竜だって滅びたんだから。

実は、生物の世界には最強とか最弱とかはないんだ。ただ、環境への適応があるのみだ。そして、環境はどうしてもとどまってはくれない。変化し続けるものだ。だから、一生存続する種があるなんて保証はどこにもない。もちろん人間も例外じゃない。

種からスケールを大きくして歴史の教科書を読んでみたって、その当時どう想像しても圧倒的だったろう大帝国も例外なく衰退し、多くが消えている。生物や国と比べて企業の寿命は短い。ある統計では、企業の平均寿命は24年くらいらしい。これも平均値だけを見ると罠にはまるわけだけど、実際は一部の長寿命企業によって引き上げられて24年ということには注意。

一生安泰ってことは少なくとも40年以上は働く前提だろう。そうするともう、一生安泰な会社に入るなんていうことがおかしいことがよくわかるはずだ。

それにいまは人工知能の進歩で人間の職の過半数がロボットに奪われるなんて研究予測も出ているくらいだ。その予測が正しいかはさておき、時代(環境)の変化に合わせて素早く柔軟に自分を変えていけないと厳しいことは確かだ。

俺たち現生人類が生き延びた理由として、服を発明することで、環境への適応を身体から外部化したためだという説がある。逆に滅びた人類は、例えば寒い地域で寒さに適応して身体自体を変えてしまったから、急に地球が暖かくなったときに適応できなかったってことだ。

人類が長い間苦しめられているウイルスにインフルエンザウイルスがいる。なぜ人間はインフルエンザウイルスを撲滅できないんだろう。それはやっぱりインフルエンザウイルスがものすごいスピードで自らを変えていけるからだ。もしインフルエンザウイルスが変化を嫌ってそのままでいてくれたら、あの高熱で苦しむことなんてなくなるのに。

ここまでくれば、「一生安泰」という考えがどれだけバカげたものかわかってもらえるんじゃないかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?