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ミュージック

(※この記事にセットリストへの言及はないです)
サカナクションのライブツアーSAKANAQUARIUM 2024 "turn"に行った。僕は音楽に対して強いこだわりがなくて、特に誰かのファンを公言しているわけでも自認しているわけでもないんだけど、サカナクションに関してはもう10年間くらい聴き続けているしライブも三回ほど行っているので、そろそろ「魚民」と名乗ってもいいのかもしれない。別に名乗ったからといってどうなるわけではないのだけど。※魚民=サカナクションのファン

ライブは幕張メッセで行われた。久々に幕張に行ったら蓮の空のオタクたちもライブだったらしく楽しそうにはしゃいでいたので面白くなってしまった。いつもは彼らの後をついていけば会場に着くのだけど、今回はひらひらとした黒くて長いコムデギャルソンをお召しになった男女の後をつけていかないとたどり着けない(僕もきちんとコムデギャルソンの黒いパンツを履いていった)。

ボーカルの山口一郎氏はしばらく体調不良で、この二年間病気に苦しみ続けていた。僕もずっと心配していたんだけど、当日はそれを感じさせないようなパワフルなライブだった。僕の好きな曲もたくさんやってくれたし、爆発的な光と音と踊りで脳が完全にトリップしてへとへとになってしまった。精緻でテクニカル、コルビジェの建築を思わせるアーキテクチュアルな構成。それと対比して、原始的な祭事を根底とするような音と光、ランダムな身体性を伴うライブは、サカナクション以外では体験できないような気がする。映像も美しく、エモーショナルで全く隙がない。楽しかったです。

SAKANAQUARIUM 2024 "turn"

ところで音楽ってみんなどんな感じで聴いているんだろう。僕は音楽の権威性だったり歴史みたいなことがあまり分からないし、これが名作なんだよって言われても自分で聴いて本能的に「アリ」か「ナシ」でしかないからあんまりこの曲がいいみたいなことが分からないんだよね。洋楽もなんて言ってるのか分からないしメロディーも難解であんまりピンと来ていないんだけど、以前「洋楽ってよく分からなくて」って言ったら「そもそもこのジャンルは洋楽ではなくて~」みたいなことを言われて、そうか、英語の歌詞だから洋楽という訳ではないのか、と浅学ながら思ったんだけど、一方で違いが分からんという冷ややかな感じもあって、音楽界隈の豊かな文化を取り逃している感じもする。ただそこに素人特有のコンプレックスみたいなことだったり逆張りみたいな感情はなくて、自分にとって音楽とはとても個人的で卑近で言語化できないものであるという感覚だけがある。メロディーが良ければいいし、歌詞が良ければいい。誰かと共有する必要もないし、夜に一人で聴くのが一番いい。

そんなわけでサカナクションは、メロディーが良く、歌詞が良く、音楽の素人でも10年間聴き続けられる魅力がある。なにより深夜2時に作業をしながらヘッドフォンから流れてくる「ミュージック」を聴くのは最高に気持ちがいい。


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