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015.【麻雀最強戦2024#4】さらに進化したかつての新鋭女流と、苦難を乗り越え復活したネット麻雀の雄。Mを去ったふたりが見せた至高のぶつかり合い

※この話は麻雀、および麻雀最強戦についてある程度知識のある方にしかわからない話がふんだんに含まれています。ご了承ください。
※例によって長いです。どうかお許しください。


どうも、風茶でございます。

前回の『因縁の傷跡』から1週間という短いインターバルで、麻雀最強戦の第4ラウンド『骨肉の乱闘』が開催されました。

……3週間前の話?
そうですね…遅くなってすみません…(- -;

今回は、まあなんとも組み合わせの意地が悪い(^_^;)

詳しい組み合わせは後にしますが(サムネの時点でバレてますが)


早速、予選A卓からレポしていきます。

A卓のメンバーはこちら。

浅見真紀プロ(最高位戦)
渡辺太プロ(最高位戦)
丸山奏子プロ(最高位戦)
村上淳プロ(最高位戦)

……

ドリブンズやーーーー!!

というわけで、今期よりMリーグ・赤坂ドリブンズに所属する2名と、入れ替わる形でチームを去った2名の卓となりました。


金本編集長、やりましたね?


…それは組み合わせ発表の時点でみんな察してた気もしますが(^_^;)


東1局。

親の浅見選手がドラの七萬を絶好の形で引き入れテンパイ。
そのままリーチとします。

待ちはカン7筒。リャンカンが残った形からのリーチなので、宣言牌の4筒のスジで待つ形になります。

そこに一向聴となったのが村上選手。
しかし、ここから粘るとなると手が伸びるのは…

愚形を解消する7筒でした。

これをとらえた浅見選手。
リーチ、ドラ1は親の40符2翻、3900点のあがりとなりました。


続く東1局1本場。

反撃したい村上選手からリーチが入ります。

待ちは2索と6筒のシャンポン。
山に3枚いたこの待ちですが、なかなか姿を現さず。

巡目が深くなったところで前後の2人に2索が流れるなど、あがりにたどり着けず。

流局となり、この表情。

大きく戦局が動いたのは東2局。

南家の太選手が3副露を入れて東、南、混一色、対々和のテンパイ。

まだ筒子が河に余ってない状況で…

浅見選手から切られたのが7筒。
これは太選手のあたり牌。

跳満となり、大きな加点となります。

さらに東3局。
この局の主役は丸山選手でした。

筒子の混一色に染まりきった形から引き入れたのは3枚目の發。

欲張ればツモり三暗刻なども考えられましたが、ここはシンプルに4、7筒待ちの両面待ちを選択。ダマテンとします。

直後、メンツのできた浅見選手から両面固定で放たれた7筒がクリーンヒット。

發、混一色の8000点のあがり。
太選手と丸山選手が飛び出し、連続放銃で2局で2万点失った浅見選手が苦しくなります。


東4局。

親番を迎えた丸山選手が、白の対子落としで攻めの姿勢を見せます。

親の手が整っている、と警戒ムードが流れる中……

太選手がペン七萬を引き入れて5、8索待ちでリーチをかけます。

しかし丸山選手も臨戦態勢。
現物の四萬に続き、宣言牌の隣で通ってない三萬も切っていきます。

ほどなくテンパイし、6、9筒の高目一盃口のリーチとします。

結果は、9筒を太選手が掴み、そのまま放銃。

リーチ、平和、一盃口、ドラ1の12000点のあがりとなり、丸山選手が抜け出します。

東4局。
離された浅見選手はなんとか盛り返したいところ。

2、5、8索の3面張を手にし、リーチとします。

しかしこれをツモれず。
大物手だけに決まらなかったのはかなり痛かったです。

南1局1本場。


先制リーチは太選手。
平和、一盃口を確定させてのリーチになりました。

後がない浅見選手が副露で応戦するものの、太選手がツモあがり。
リーチ、ツモ、平和、一盃口、裏2の跳満に仕上げます。

南2局。

浅見選手の手が七対子に育ち、6筒単騎のリーチ。

直後、村上選手からチーが入って一発が消え、さらに太選手と丸山選手に6筒が連続で流れ、丸山選手もテンパイとなり追いつきます。

浅見選手にとっては流れが悪そうに見えましたが……

次巡に太選手の手元に現れたのはドラの9索。
先ほどツモってきた6筒が浮く形になります。

打点が伴ったことで押し引きの選択を迫られた太選手。

彼の選択は『押し』。
この6筒が浅見選手にあたります。

リーチ、タンヤオ、七対子の6400点。
これで各選手がそれぞれ1万点ほどの間隔で並ぶ形となります。


南3局。

追うしかない浅見選手に満貫級の手牌が整ってきます。

目一杯に構える浅見選手。

この姿を見て解説席の園田賢プロも、

「安牌持ってる場合じゃないですよね(中略)真っ直ぐいって切り遅れての放銃は許される、それはしょうがないでしょう、ただ、日和った挙句のあがり逃しだけは許されないですね、浅見の立場ではね」

と、今の浅見選手の立場を鑑みて、判断が正しいものであるとの見解を示します。

次巡。

さらに手が進みます。

これには実況の日吉辰哉プロも「先切りだったらこの未来はなかった!」と興奮します。

しかしここで親番の太選手が先制リーチ。

浅見選手に両面の選択が訪れます。
先に切った6筒を再度引き入れた形ですが、リーチが入った太選手に6索7索が通っており、浅見選手は6索から切り出します。
この時5、8索が山に2枚。5、8筒は山に4枚残り。一度手放したチャンスが戻ってきたかに見えました。

しかし直後に引いてきたのは少ない方のはずの5索。山に残っている数は選手にはわかりませんが、実況解説席はあまりに運の悪い裏目引きに「痛ーーっ!」と絶叫します。

結局浅見選手はテンパイも叶わず。

太選手もツモれず。

太選手の連荘となりますが、浅見選手にとってはチャンスだった上に、意図の明確な選択の上での裏目ということもあり、痛い結果になりました。


南3局1本場。
ここまで我慢を強いられていた男に、ついにチャンスが訪れます。

タンヤオや七対子も見える手牌を携え、ドラ9筒を切り飛ばしていく村上選手。

押しの強さで有名な太選手でも、打点が必要な状況の村上選手のドラ切りには受けの準備をせざるを得ません。
そんな中、村上選手と同じく勝負をかけないといけない人がひとり……


浅見選手がカン七萬を引き入れます。

2着抜けが必要な条件で、親も落ちてもはや時間のない2人。
ここで手がぶつかります。

ほどなく村上選手がテンパイ。高らかにリーチを宣言します。
しかしこの伍、八萬待ちは山に1枚残り。

丸山選手にテンパイが入りますが…

ここは無理する必要なし。
現物の7筒を落としていきます。

結局この局は流局となり、勝負のオーラスに入ります。

オーラス2本場。供託が2本残っており、村上選手からは、通過圏内の2着まで満貫ツモ条件が残っています。

この手牌から七対子を見切り打9索。
かなり遠いものの、三色に向かっていきます。

その後、カン8索、ペン7筒を何とか引き入れ、狙い通りの形に向かっていきます。

次巡、二萬を暗刻にしテンパイ。待ちはドラの七萬。
ツモれば三色、ドラ1で逆転の手となり、ここはダマテンとします。

浅見選手から七萬が出ますが、これは条件を満たせないため見逃し。

最後まで粘りを見せましたが、結局ツモれず。


流局でこの対局は終局となりました。
結果、A卓の通過は丸山選手、太選手となりました。

解説の園田プロは村上選手に対し、

「(全体的に)結構キツめだったじゃないですか、あれをね、条件満たすテンパイをね、入れるってことが凄いですよね」

と称えました。共に所属団体のリーグ戦では最高峰のA1リーグで闘う関係。敗れた中にもその強さを再認識したということかもしれません。

通過した2人も素晴らしかったですし、敗れた村上選手、浅見選手もチャンスをものにしよう、逃すまいという闘牌が光る、素晴らしい一戦でした。


続いてB卓。

仲林圭プロ(協会)
小林剛プロ(麻将連合)
朝倉康心プロ(最高位戦)
石橋伸洋プロ(最高位戦)

……

パイレーツやーーーー!!

金本さ……(以下略)


東1局。

朝倉選手から先制リーチが入ります。リーチのみ、ドラもない手ですが、積極的に前へ出ます。

そのままツモあがり。
リーチ、ツモの500、1000のあがりとなりました。

東2局。

親番を迎えた朝倉選手がさらに攻め立てます。
しかしこのリーチはこの時点で山にありませんでした。

直後にテンパイを入れていた仲林選手でしたが、リーチに通ってない一萬を引き入れ迂回。
浮いた6筒はあたり牌ですが、例えば三色が見えてきたりしない限りは出ないか。

そうこうしてるうちに…

小林選手がカン四萬を引き入れ追っかけリーチとします。
こちらは山に1枚。1対0のめくり合いとなります。

このラス牌の9筒を小林選手が見事にツモ。
リーチ、ツモ、平和、三色同順の2000、4000のあがりとなります。

東3局は仲林選手が朝倉選手から1000点のあがり。

小林選手が少しリードし、他3人が横並びの状況で中盤に入ります。

東4局。

朝倉選手が最初にテンパイ。
好形を求めてダマテンとします。

ほどなく両面変化し高目一盃口のリーチ。

そこに親番の仲林選手が追いつき、追っかけリーチとします。
めくり合いとなりましたが、結果は…

朝倉選手が高目の8索をツモ。リーチ、ツモ、タンヤオ、一盃口の2000、4000のあがりとなりました。


南1局。

小林選手が得意の鳴きを入れていき、早々とテンパイを果たします。

一方、ここまで手が入らず苦戦する石橋選手は3筒が暗刻となり、9索を切った時点であたり牌の8索が浮いた状態に…
しかしこの8索はドラ。簡単には出ると思えません。

その後發を引き入れてしまい、完全に捕まってしまいます。打七萬で耐えますが、ひとつ手が進めばどちらかが飛び出してしまう、かなり厳しい状態に追い込まれます。

そんな中、仲林選手も混一色、一気通貫のとんでもない手を仕上げ、字牌シャンポンでダマテンとします。

そんな中、耐えに耐えてきた石橋選手の手元に現れたのは、両面2つの一向聴となってしまう4索。当然切られるのは浮いている牌になりますが、先述のとおりどちらも小林選手のあたり牌で完全に捕まっています。

ここはドラの8索と發の比較。当然のように打たれた發が小林選手にストライク。

実はどちらで打っても打点は同じでした。
南、發、ドラ2の8000点のあがりとなり、石橋選手はかなり厳しい展開となります。



南2局。
苦しい石橋選手ですが…

なんと2巡目で七対子テンパイ。
早くもリーチをかけます。

しかし、この男が立ちはだかります。

一度はダブ南も落とした小林選手が、なんと一盃口を確定させテンパイ。ダマテンで待ち構えます。

ほどなく一萬をツモ。
早いリーチにも強い押しを見せた小林選手が、さらに局を進めていきます。


南3局。

粘る石橋選手は四萬を引き入れ、一盃口の形を作れる一向聴。

4索を引き入れ順子ができ、カン四萬のリーチとします。

しかしこれもツモれず。
この局は流局となり、オーラスを迎えます。


オーラス1本場。

仲林選手が軽快に役牌2つをポン。
序盤で12000点のテンパイを入れます。

対して2番手の朝倉選手が2、5、8索待ちで対抗。

そのままダマテンとし、試合を終わらせにいきます。

しかし結果は仲林選手が3筒をツモって4000オールの1本場、4100オールのあがり。
これで朝倉選手をかわし、通過圏内に一気に入ってきました。


オーラス2本場。

3着目に後退した朝倉選手の手がまとまってきます。

カン6筒に期待し、1索の対子落としに入ります。

追われる側となった仲林選手はとオリを選択。流局なら伏せればOKの状況、できるものならやってみろ、と全てを委ねます。

すると朝倉選手が3段目に入って、一番欲しかったカン6筒を引き入れ、条件を満たしたリーチをかけます。

互いが通過を目指し死力を尽くした最終決戦。
その結果は…

朝倉選手、渾身の一発ツモ。

リーチ、一発、ツモ、ドラ2の2000、4000の2本場、2200、4200のあがりを決め、再逆転に成功しました。


この結果、B卓の通過者は小林選手と朝倉選手となりました。


後のインタビューでは、仲林選手が開口一番、

「アサピン(朝倉選手の愛称)が見事でしたね。あっぱれでしたね」

と晴れやかな表情で称えました。

朝倉選手も思わず「ありがとうございます」と返していました。


朝倉選手にとっても会心のあがりだったようで、朝倉選手に改めてインタビューで話が振られた際も、

「最近こういうあがりができてなさすぎて、久しぶりすぎて…嬉しすぎました」

と、隠すことなく喜びの表情を見せました。

かつて所属したU-NEXT Piratesを去ってから、リーグ戦もA2リーグに降級するなど、調子の上がらない時期もありましたし、他にもさまざまな試練に直面していた朝倉選手ですが、そこは初代天鳳位の称号に恥じぬ強さを見せつけてくれました。


……毎度長くてすみません。

いつものブレイクタイムといきましょう。

ん?解説席の方?


……この日の園田さんは大活躍ですね(^_^)


では、決勝卓に参りましょう。

丸山奏子プロ(A卓1位)
渡辺太プロ(A卓2位)
小林剛プロ(B卓1位)
朝倉康心プロ(B卓2位)


東1局。

朝倉選手が役牌の白を暗刻にして8筒をポン。

六萬切りとして一向聴にとります。

七萬を引き入れてテンパイとしますが、切り出された發に声をかけたのが…

丸山選手。こちらもテンパイとします。

しかしここは先にテンパった朝倉選手が400、700のあがり。
静かなスタートとなります。


東2局。

先に仕掛けたのは太選手。
自風の南を暗刻にし、立て続けに2副露を入れ、1、2筒のシャンポン待ちのテンパイまでもっていきます。

そこに追いついたのが小林選手。

そのままリーチとします。
待ちは2、5筒。

ほどなく朝倉選手が2人のあたり牌の2筒をもってきて、こちらも4筒を切ればテンパイの形。

長考に入ります。
実際筒子の下(数字の少ない方)は待ちになっているところであり、危険を察知したのか……

ここは四萬で迂回します。
すると次巡。

引き入れたのは5筒。今度は三萬を切れば3、6筒のテンパイ。しかし6筒はすでに自分から4枚見えています。

卓上の河を見渡します。
自分のテンパイと、放銃のリスク。
それに見合った選択は。

ここはテンパイ取り。
朝倉選手の読みの精度の高さがうかがえるシーンでした。

決着はその直後。

小林選手が5筒をツモ。
リーチ、ツモ、平和、一盃口の1300、2600のあがりでトップ目に立ちます。


東3局。
各者なかなかテンパイまでたどりつけないまま捨牌2段目も終わりそうな頃。

朝倉選手が仕掛けを入れテンパイ。
南家のため南でのみあがれる形をとります。

3段目に入り、親番の太選手がリーチ。
この時点で5、8索は5枚山に残っています。

これに対して朝倉選手は二萬をプッシュ。
簡単に連荘させまいと粘ります。

一方、こちらは丸山選手。自風の北も鳴かず、ここまで門前で大事に手を育てていました。
テンパイの形となりますが、ここでそのままテンパイをとると出ていくのはドラの發になります。

ここは北で迂回。

その後、小林選手が朝倉選手のあたり牌の南を掴みます。

ここは冷静に回避。

さらに朝倉選手が太選手の5索を掴みますが…

対子の南に手をかけ、オリを選択。
さすがのバランス感覚で放銃を回避します。

ファインセーブが繰り返される中…

再度丸山選手がテンパイ。
ドラを使った形ならと、終盤で追っかけリーチとし、めくり合いとなります。

局の終盤でありながら、なんと太選手の5、8索が残り4枚、丸山選手の發も3枚残り。
実況の日吉プロから「この巡目の3対4は意味がわかんない!」と絶叫が飛びます。

次巡、丸山選手が狙いのドラを一発ツモ。
リーチ、一発、ツモ、ドラ2の2000、4000のあがりとなりました。

各者の持ち味、強さが色濃く現れたこの局を制した丸山選手が、一気にトップ目に立ちます。


東4局。


先ほど悔しい局となった太選手が、早い仕掛けを入れていきます。

テンパイの形ですが役がないため、ここは混一色に向かう萬子切り。

親番朝倉選手も負けじと仕掛けます。
こちらはチャンタが見える手。再び手がぶつかる、そんなムードが高まります。

その後、朝倉選手がチャンタに三色もついた手でテンパイ。

そこに追いついたのは小林選手。


二、伍、八萬の3面張でのリーチとなります。
この時点で山に5枚。対して朝倉選手の待ちの7筒は1枚。さすがに小林選手の勝ちかと思われたその時でした。

小林選手の手元に現れたのは、ラス牌の7筒。

これをとらえた朝倉選手。チャンタ、三色、ドラ2の12000点のあがり。小林選手にとっては痛い放銃となります。

東4局1本場。

2着目の丸山選手の手が5巡目で早くも整ってきます。

しかし先制は小林選手。
ドラの4筒単騎でのリーチとなります。

ここで丸山選手が5索を引き入れテンパイ。
待ちの選択は3、6筒。一旦ダマテンとします。

次巡、2索をツモ切りリーチ。
この2索に対し、太選手の手が止まります。

すでに混一色の仕掛けを入れていた太選手。

チーの声とともに打ち出されたのは丸山選手のあたり牌の6筒でした。

リーチ、タンヤオ、ドラ、裏1の8000点の1本場、8300点のあがりとなりました。

東場は朝倉、丸山両選手の抜きつ抜かれつのぶつかり合いでリードが広がる展開。現役Mリーガーの2人は少し押され気味です。


南1局。

先制リーチは太選手。

カン5筒ですが迷わず突き進みます。

仕掛けていた丸山選手がテンパイを入れますが…

押し切れずオリを選択。

その後、朝倉選手から4筒でのみあがれる形ながらテンパイが入り…

後がない親番の小林選手も2枚目のドラを引き入れ、一盃口を完成させテンパイ。高目タンヤオでツモれば跳満という弩級のダマテンとします。
一気に手がぶつかる展開になりましたが……

直後、太選手が5筒をツモ。
リーチ、ツモ、ドラ1の1300、2600のあがりとなりました。


南2局は朝倉選手のひとりテンパイで流局。
丸山選手の親番が落ち、またひとつ局が進みます。


南3局1本場。

トップ目の丸山選手が整った形から雀頭のできる三萬を引き入れ、臨戦態勢。

僅差の2番手につける朝倉選手もダブ南をポンし、対抗していきます。

先にテンパイにたどり着いたのは丸山選手。
4、7筒待ちとします。

親番の太選手から、浮いていた7筒が打ち出され、これが放銃となります。

タンヤオ、ドラ1の2000点のあがり。
これで太選手も親が流れ、ファイナル進出争いは丸山選手対朝倉選手の構図となったか。

オーラス。

4400点を追って連荘あるのみのラス親・朝倉選手は1メンツあるもののやや苦しい手牌。

対するトップ目・丸山選手は比較的整った手牌。5巡目にはカン3索も引き入れ、一向聴とします。

三倍満ツモ条件の太選手はドラ色の染め手に構えます。ドラの六萬が2枚あり、できれば清一色にしたいところ。

中盤に差し掛かり、朝倉選手に選択が訪れます。
四萬というくっつきの牌としては優秀な牌が浮いていますが、萬子が河にあまり切られておらず、俗に言う『高い』状況。実際に太選手が萬子で染め手に向かっており、後に余ったら危険牌になりそうな牌でもあります。

ここは四萬を先処理する選択をとります。
しかし。

次巡に手元にきたのはまさかの四萬。
選択が裏目に出ます。

さらに次巡、2索を引き入れリーチ。
ただ、前巡の四萬を重ねて8筒、1筒と切っていれば一発であがっていただけに、解説の日吉プロも思わず「一発ツモだったよ!」と絶叫します。

リーチを受け丸山選手は迂回。

太選手もあと一歩が進まず、無念の撤退となりました。

最終盤で朝倉選手が4筒をツモ。
リーチ、ツモ、平和の1300オールで、いったん丸山選手を逆転します。


オーラス1本場。

手牌がいいのはあがればファイナル進出の丸山選手。

朝倉選手はトップ目ながらもうひとあがり欲しいところ。愚形を埋めてなんとか追いすがります。

ここで丸山選手がタンヤオに向かう4筒をチー。残れば片あがりの状態になっていた部分を解消します。

さらに二萬をポンして早々とテンパイ。
山に2枚の3、6索待ちで決めにいきます。

朝倉選手も形のいい一向聴に構えますが…

最後は丸山選手の手元にあたり牌の3索が入り、ゲームセット。

逆転に次ぐ逆転、とてつもないシーソーゲームの末に、丸山選手がファイナルへの切符を手にしました。


試合後のインタビューでは、朝倉選手がオーラスについて、痛かった四萬引きについて語りました。

やはりこの時三倍満条件の太選手が萬子の染め手に向かっていると読み、四萬のくっつきや待ちになった時の期待値などを考慮した上で先に切った四萬が裏目に出たようです。

もしもあの一発ツモが決まって2600オールになっていれば、丸山選手のオーラス1本場の動きも変わっていたかもしれませんし、結果も変わっていたかもしれない……紙一重の選択でした。
(最後の丸山選手の手が良さそうなのは朝倉選手も感じとっていたようですが…)

かつてMリーグに所属したふたり。

丸山選手はMリーグでは他の選手より試合数が少なかったり、どちらかというと『育成枠』のように見られることも多かったように思います。しかしMリーグを去った後、てんパイクイーン優勝、自団体の女流リーグではAリーグに昇級するなど、培った経験から見事に才能を開花させ、目覚ましい成長を遂げました。

朝倉選手もその実力は褪せることなく、この大舞台でしっかりと優勝を争う姿を見せてくれました。

選択ひとつ、紙一重の勝負。

かつて輝かしい舞台を去った彼らは、別の大きな舞台で相見え、観てる我々の心を確かに揺さぶる名勝負を見せてくれました。

今回優勝を手にしたのは丸山選手でしたが、朝倉選手もリベンジ枠でもう一度チャンスがあればいいな、と思ったのは僕だけでしょうか。


今回もアツい闘いをみせてくださった8名の皆様に感謝の拍手を送りましょう。



……ところで。

太さん、そのポーズは一体なんなのでしょうか?(^^;

かわいいな。


それでは。

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