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宝石のような冬のお菓子

本やラジオは、想像する余白があるのが面白い。読んだり聞いたりしながら、見えない部分を自分で映像化して楽しむことができる。

何年か前に、日本の良いものを再発見していく「ジャパモン」というラジオ番組があった。パーソナリティーは小山薫堂さんで、ゲストはたしか八乙女光さんだった気がする。その日は、宮城県仙台市のお菓子を紹介されていたのだけど、薫堂さんの初見での解説が、とても素敵だった。

これは、、砂漠に埋まっている、宝石のかけらのようなお菓子ですね。
と、静かに淡々と語られていた。

その説明だけで、ふわりと幸せな気持ちで満たされ、そんなにときめくお菓子があるのなら、ぜひ見てみたいなと思った。しばしその余韻に浸りながらも、続きに耳を傾けてみる。どうやら冬季限定の商品らしく、九重本舗 玉澤さんの飴菓子「霜ばしら」ということが分かった。

宝石のかけらというのは、飴部分で、砂漠と表現されていたのは、らくがんの粉。繊細さゆえ、破損防止のために、敷き詰められているのだそう。

お菓子自体、とても魅力的な存在なのだけど、私が知識なしに初めてこれを見たとしたら、同じような、夢のある表現が出来ただろうか。想像するのももちろん楽しいけど、想像を楽しんでもらえるような作品や表現が出来るようになったら、さらにうれしいなと思う。

そして、この飴菓子の存在を、私はなぜか夏になると思い出す。涼しげだからかな。冬までが待ち遠しいなと考えつつ、もっと先の楽しみとして、まだまだ取っておきたいなという気もする、思い入れのあるお菓子です。



お読みいただきありがとうございました。おだやかな1日になりますように。