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【山歩き記録 第83歩】牛奥ノ雁ヶ腹摺山・小金沢山(2023年8月25日)【大菩薩に連なる静寂の山脈】

不安定な天気が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。

この辺で一番天気が良さそう!な日を選んで、牛奥ノ雁ヶ腹摺山から小金沢山、大菩薩峠へと歩きました。目的はふたつ。ひとつは、人気の大菩薩嶺よりも近くから富士山を望むこと。もうひとつは、草原の尾根を歩くこと。3年前に大菩薩嶺からの周回で見た石丸峠のような草原が続いているはずだ、という期待です。

ところが、尾根に出た10時半ごろには早くもガスってくるというありさま。南から広がってくる雲から逃げるように尾根を北に進みますが、思ったより草原の範囲が狭い…。それでいて雲は迫ってくるし、バスの時間も余裕がない(※平日は本数が少なく、予定の14時の次は15時45分までない)という感じだったので、精神的にあまり余裕がなく、満足には至りませんでした。とはいえ、写真を振り返ってみると、雲が多いなりに立体的でいい感じの写真が撮れているのですけどね。

今回の山行で、このエリアの違うコースのアイデアを得たので、また次こそ富士山の見える日に行ってみたいと思います。

コース概要

地理院地図に書き込み

すずらん昆虫館前バス停からスタート。登山道→林道→舗装路を横断→登山道と登り、牛奥ノ雁ヶ腹摺山に登頂。尾根沿いに小金沢山、天狗棚山を越えて石丸峠に至ります。石丸峠から上日川峠に向かうこともできますが、大菩薩峠まで行けば山小屋があって安心なので、熊沢山を越えて大菩薩峠へ。上日川峠までは歩きやすい下りです。

記録

すずらん昆虫館前バス停8時36分着のバスを利用。座席が2席空くだけのジャストサイズでした。バスの途中でわずかに富士山が見える瞬間があるのですが、すでに3分の1ぐらい雲で遮られていました。ほかに見えている範囲は快晴ですが、ちょっと不穏な感じ…。すずらん昆虫館前で降りたのは2人だけ。他は上日川峠まで行くのでしょう。

すずらん昆虫館前バス停の登山口。「甲州アルプス」ののぼりがお出迎え

歩き始めてすぐにトイレがあります。仮設ですが、消臭剤が置いてあるなどしっかり管理されていて、快適に使えました。

きれいな仮設トイレ

少し登ると、林道と合流します。林道は日当たりが良くて暑かったです。

林道を進むと、工事と迂回路の案内があります。この迂回路、そしてその先も頻繁に、露で濡れた草が足元に覆いかぶさってきて、びしょびしょになりました。防水シューズ必須です。

看板「きをつけていってらっしゃい」

舗装路と交差したら、ネットを開けて入ります。そのあとにネット沿いに登るところがありますが、その途中にもネットを開けて反対側に出るところがあったようです。それに気づかず少し登り続けてしまいましたが、一応、上の方に、またいで越えられる程度に低くなったネットがあり、そこからコースに戻ることができました。

舗装路との交差地点にある案内板とネット
ネット沿いを登ったところ。尾根の方に雲が広がってきているのが見えていたので、青空が見えるうちに撮っておこうと…

この後もさりげなく急勾配が続きます。半袖でも暑くなるので、こまめに休息をとりながら登りました。ちょっとした岩場を越えると、少しひらけるとともに、立ち枯れが見られます。

うーん、晴れていれば最高だったが

草原をもう10分ほど登ると、牛奥ノ雁ヶ腹摺山です。10時18分。同時にバスを降りて先に出発された方が休憩されていました。その方は、南の湯ノ沢峠まで行って、林道伝いですずらん昆虫館まで戻ってくるそうです。そんなルートがあったとは。というか、『山と高原地図』だと、ルート云々以前に、その林道が別の拡大図で隠されていて、どうつながっているのか分からない状態です。
期待していた展望はというと、ちょうど登頂直後から山頂が雲で覆われていくところでした。富士山どころか何も見えない…。

雲に包まれていく…
虚無の牛奥ノ雁ヶ腹摺山

14時のバスに乗るにはのんびりしていられないので、ささっとおにぎりを食べて出発します。

しばらく歩いていると、少し青空が見えてきました。雲は南から広がってきているようで、北の方はまだ青空領域が一部残っているようです。コース上にところどころ開放的な草原になる場所があるので、ここぞとばかりに写真を撮っていきます。

テンションが上がる草原
偶然、黒い飛行物体が写り込む…。調べた感じ、クロアゲハが一番近いような気がしますが、それよりもっと大きいようにも見えました

小さくアップダウンを繰り返して、11時2分、小金沢山山頂。富士山は雲で見えません(知ってた)。ここまでの道中で1人、小金沢山山頂で2人とすれ違いましたが、この先石丸峠まで誰とも会いませんでした。大菩薩嶺の人気っぷりと比べると、よく言えば静か、悪く言えば寂しいものです。

小金沢山山頂
この奥に富士山があるらしい…

小金沢山から北に30分ほど、「思ったよりも」下りでした。というのも、
・期待していた草原の尾根ではなく鬱蒼とした森の中、
・ルートが分かりづらくテープを見落とさないよう気張る必要があり、
・全体的に木の根で滑りそうな不安定な足場、断続的に湿った岩場に西側が崖の狭い道で油断できない
という環境で下り続けるため、距離や標高差は小さいにもかかわらず、かなり疲労した感じがしますし、実際に想定より時間がかかりました。

ところでこの難所の北の端に当たる部分、YAMAPだとルートが不自然に東側に突き出ていますが、それは誤りです。石丸峠側から歩いてくると、尾根の西側の崖沿いに進むべきところ、尾根を登ってしまいがちなので、その誤った行程がルートとして表示されてしまっているのだと思います。地形図の通りのルートが正しいです。

崖沿いの岩場のひとつを振り返って撮ったところ。ピンクテープがあるのでここがルートだと分かる

この森を下り切ると、今回のコースで一番開放的な草原に出ます。これが見たかったのよ!ここから天狗棚山までが素晴らしい展望。大菩薩嶺に登る方も、余裕があれば天狗棚山まで来ると、喧騒を避けてまた違う展望を見られると思います。

森を抜けて広がる草原
手前に天狗棚山、左奥に熊沢山。あとはこのふたつを越えるのみ。
わずかですが、奥多摩側もひらけたり
天狗棚山手前から熊沢山。奥に大菩薩嶺がある方角ですが、突き抜けた標高があるわけではないので、こちらからは見えません
天狗棚山から南。晴れていれば富士山が見えそうな気がする
天狗棚山から西

天狗棚山から石丸峠に下り、最後の登りである熊沢山への登りです。熊沢山~石丸峠はYAMAPと地形図でルートが異なり、実際にはどちらも踏み跡がありますが、正規ルートは地形図の方(石丸峠から見て左側)だと思います。地形図ルートは、登った先にルートを示すテープが続いていました。YAMAPルートは、正規ルートから外れて熊沢山の山頂に立ち寄り(特に展望は無し)、そのまま石丸峠に下りてこようとする人が生んだ踏み跡だと思います。違ったらすみません。

熊沢山への登り

熊沢山~大菩薩峠は森の中で、以前来たときはけっこう道が分かりにくかったと記憶していましたが、テープの数が増えていたのか、今回は迷いそうと思うことはありませんでした。

テープがこんなにいっぱい
大菩薩峠

大菩薩峠に12時45分。『山と高原地図』のコースタイムだと、上日川峠まで1時間なので、14時のバスにはまだ間に合うはず。ということでトイレ休憩を入れて、念のため少し早歩きで下山します。大菩薩峠~上日川峠は、急坂がまったくないので快適です。結果、上日川峠に13時35分到着。お疲れ様でした。

上日川峠のロッヂ長兵衛さんは美味しそうなものを売っています

ちなみに、そのあとバスでやまと天目山温泉へ。バスに乗るときは「(甲斐大和)駅ですか?」と聞かれるので、「(やまと天目山)温泉です」で通じます。停車ベルが無いマイクロバスで運行しているので、乗るときに降車位置を聞かれるのです。

各種情報

コースタイム:4時間50分

標高:1380m(すずらん昆虫館前)~2014m(小金沢山)~1580m(上日川峠)

展望:牛奥ノ雁ヶ腹摺山と小金沢山や、秀麗富岳12景に選ばれているので、晴れていれば美しい富士山が見られるはず…。他、特に天狗棚山の山頂は広々と開放的でとても気持ち良いと思いました。

トイレ:すずらん昆虫館前登山口から100m、大菩薩峠、上日川峠

アクセス:すずらん昆虫館前と上日川峠へは、甲斐大和駅から栄和交通の大菩薩上日川線。期間中の土日祝日と一部平日の運行ですが、平日は便数が少ないので注意です。時刻表で確認できます。

なお、やまと天目山温泉~甲斐大和駅は、上記の栄和交通だけでなく、甲州市民バスも利用できます。夜の便もあるので、栄和交通の最終便で温泉に立ち寄っても大丈夫です。「甲州市(塩山・勝沼・大和)縦断線」の時刻表で確認できます。

周辺情報:定番のやまと天目山温泉。特に約30度の源泉そのままのお風呂が気持ち良かったです。なお、食事処で食事しようと思っていたら、平日の食事処は14時までとのことで不可でした。缶ビールや牛乳やアイスは常時売っています。


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