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リードの響きに心が酔う

サキソフォン奏者、上野耕平さんのリサイタルに行ってきました。もうかなり前になりますが、愚慫さんのnoteで毒多さんの写真と共にこの方の演奏を初めて耳にして、古典バッハをポピュラーな楽器での演奏で、とっても新鮮な感じだなと、好感を持っていました。生演奏が聴ける機会がこんなに早く来るとは…。

人気のある方なのでしょう、会場は満員、しかも今日は女性が圧倒的に多いようでした。上野さん、伴奏ピアニストの山中さん、若く清々しい青年で、トークも楽しい、女性には人気でしょうね(笑)

上野さん、ソプラノサックスとアルトサックスを持って登場。

1曲目は、ベダールというカナダ出身の作曲家のファンタジーという曲。演奏はソプラノサックス。とっても軽快で凄くしなやかな音の流れが、私の心の澱を流してくれてるようで、気持ちが軽くなっていきました。

2曲目は、シューマンの3つのロマンス作品94、こちらはとても美しい切ない旋律で、私の過去の記憶に絡み付いて離れない、一緒に揺れて行く感じが、少しだけ涙腺を刺激してきました。シューマンが妻のクララに贈った曲で、オーボエとピアノのための作品なのですが、印象的な旋律のためか、他の管楽器による演奏も少なくないそうです。心に病いを抱えていたシューマンの苦悩が惹き付けるのか…。

3曲目は、ビセーのカルメンファンタジー・サキソフォン版。お色々な楽器用に編曲され演奏されているこの曲ですが、サキソフォン版はなかったそうで、今回、ピアノ伴奏者の山中惇史さんが渾身の一曲に仕上げてくださったようです。「盛りだくさんの内容を20分に納めるのが大変だったけれど、どうしても入れたいものがあって…」と、熱く解説されていました。上野さんとの演奏も熱くほとばしるものを感じて、とても濃かったです。

休憩を挟んで、次は上野さんの独奏です。J.S,バッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番。私が初めて聴いた上野さんの演奏曲は、J.S,バッハの無伴奏チェロ組曲第1番ト長調 BWV1007 プレリュード…。その新鮮な響き、印象深く、今回もこれをとても楽しみにしてました。管楽器なので、バッハの神々への捧げもの的な和音は、奏でる事ができない訳ですが、サックスのリードの音は、声帯を振るわせ絞り出すような人の響き声のようで、別物として魅力を奏していました。ただ、一つ気になったのが、ブレス。息を吸い込む時の音です。吹く楽器なのだから当然なんですが、途中で何度も入る訳です。これが、私は気になってしまったのが、残念…。私だけかもしれないですが。ピアノ伴奏がある時には感じなかったものだったので、面食らいました。吸う音を聴く度に、何を吸ってるんだろうって考えてしまう。空気だけじゃない気がしていまうのは、ほんと私だけでしょうね…(.  . )

とても良いコンサートでした。お二人の熱演、「楽しくってこの気持ち聴いてほしい」って叫んでいるような熱演でしたし、会場のスタッフも気持ちよい対応をしてくださるし、日常から少し離れて、一人の楽しいリラックスした時間を過ごせて、楽しかったです。

演奏終了後、会場にたくさんいる女性陣の賑やかな演奏を讃えるおしゃべり声も、いつもと違って面白かったですね。(笑)

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上野耕平サクソフォンリサイタル 

演奏曲 ベダール/ファンタジー シューマン/3つのロマンス作品94 ビゼー(山中惇史編)アルトサキスフォンのためのカルメン・ファンタジー   J.S.バッハ/無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第2番ニ長調BWV1004

ピアノ伴奏 山中惇史


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